建設業は、一般的に「資金繰りが厳しい業界」といわれます。
赤字体質の企業も多く銀行融資の審査通過が厳しいのが主な理由ですが、建設業ならではの事情もあります。
今回は、建設業の資金繰りが厳しいと言われる理由や、資金繰りの方法について詳しく考察します。
建設業の資金繰りに悩んでいる経営者の方のヒントになる情報もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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建設業の資金繰りが厳しい理由
まず、資金繰りが厳しいと言われる理由について改めて整理してみましょう。
資金調達の方法を考えるうえでも、建設業で資金繰りが厳しい背景などを理解しておくことは重要です。
- 重層下請構造が基本で資金管理が大変
- 工期などの関係で入金までが長い
- いまだに手形取引が多い。そのため入金サイトも長くなる
- 大規模工事をするために必要な建設業許可の取得が大変(許可が出るまでに資金が枯渇する)
- 建設業は銀行融資に通りづらい傾向がある
ちなみに、国土交通省の資料「最近の建設業を巡る状況について」という資料を見ても、人件費や材料費の高騰・担い手不足などが加速し、建設業界のコストアップや資金繰りに悪影響を与えていることがわかります。
重層下請構造が基本で資金管理が大変
重層下請構造が基本となる建設業では、仕事を終わらせるまでは売上金の回収ができないため「資金管理が大変」という悩みを抱える業者が大半です。
建設業では「元請け→下請け→孫請け」のようにどんどん下の会社に仕事を依頼する「請負契約」が一般的です。
仕事が連続して分担されるところから「重層下請構造」と呼ばれています。
上下関係があり、それぞれの段階でさらに同業の下請け企業へ外注することも多く、まるでピラミッドのようなヒエラルキー構造が建設業の大きな特徴です。
下請けや孫請けとしての仕事が終わっても、プロジェクト全体が完成しないと全額が支払われないケースもあり、代金回収まで経費ばかりが出ていく可能性もあります。
しかも孫請けに仕事を頼むとなると、今度は「孫請けに支払う前金」も用意する必要があるため、ますます自社の資金繰りを圧迫することになります。
先出しの出費・立替費用が多い
先出の出費や立替費用が多い点も、建設業の資金繰りを圧迫する要因のひとつです。建設業は請負契約が一般的で、代金を回収できるまで経費が先行します。
請負契約の場合、前金制度や分割払いでもなければ完工のタイミングまで入金を待たなければいけません。そのため、工事に必要な経費は「先出しの出費・立替費用」になってしまうのです。
【請負後に必要となる先出しの出費・立替費用例】
材料費 | 建材や資材など。 一般的には工事代金に材料費が含まれるため、先出し費用となる。 |
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人件費 | 作業員や監督者、重機オペレーターに支払う費用など。 給料は毎月、短期契約の外注なら終了時に支払うため、人件費も先出し費用になる。 |
運営経費 | 重機や機械の燃料費、電気代、リース代金など。 運営経費も、それぞれ支払期限があり、先出し費用の代表格。 |
上記は、建設業の先出し費用のなかのほんの一部です。先出しの費用は、工事が大型化・長期化するほど増え、立替期間も長くなります。
そうなれば、「資金繰りは一層圧迫される」ということになるのです。
工期などの関係で入金までが長い
工期の関係で入金までが長いのは、建設業の宿命ともいえる大きな特徴です。なぜなら、建設業の工事は完成までに数ヵ月から1年以上かかるケースが大半だからです。
たとえば、注文住宅の工期は平均で6ヵ月から1年以内です。官公庁や大手建設会社の大型プロジェクトなら、数年・数十年といった長期の案件もあります。
基本的に入金されるのは工事完成後となるため、前金や分割契約をしない限り資金繰りは厳しくなるでしょう。
ちなみに、一般的な建設業の支払いサイトで多く採用される「120日以内の支払い」で、実際に工事代金が入金されるまでのスケジュールを見てみましょう。
(例)月末締め・翌月末払いで、サイト120日の手形支払の場合
「工事完了から入金までの支払いサイトは、最大150日」
※締め日~支払日まで30日+支払日から手形が現金化されるまで120日
このように、建設業では一般的といわれている120日の支払いサイトになると、売上が現金化されるまでには半年近くかかるケースもあるのです。
建設業では、工期延長も頻繁に発生します。延長の理由もさまざまで、発注側の都合や工事・建築物の仕様変更、事故や請負側の要因(スキルや人手不足)でも、工期延長となることがあります。
工期延長が発生すると、先出しの費用がさらに資金繰りを圧迫してきます。
いまだに手形取引が多く、そのため入金サイトも長くなる
建設業ではいまだに手形取引が多いのが実態です。手形取引は現金化されるまでの期間が長いため、さらに資金繰りを圧迫します。
2026年に約束手形は原則廃止される予定ですが、建設業はまだまだ手形取引が多い業界です。
手形の支払いサイトを見ても、国土交通省の資料によれば、売掛金で適正と言われる60日を超える手形が、未だ約3割もあるのが実態なのです。
手形取引が常態化している点は、重層下請構造で請負契約が主流である建設業では構造的に避けられない部分かもしれません。
手形廃止に向けて今後の改善が待たれる課題といえるでしょう。
参考①:中小企業庁資料 2026年の約束手形の利用廃止
参考②:国土交通省資料 令和3年度下請取引等実態調査の結果概要
大規模工事をするために必要な建設業許可の取得が大変
建設業では大規模工事に伴う認可取得が必要になるケースが多く、許可を受けるために3~5ヵ月かかる点も資金繰りが厳しくなるひとつの理由です。
建設業の許可取得は非常に手間がかかり、ときには思うように進まないことあります。
「ひとり親方」などが請け負う軽微な建設工事(請負額が1,500万円以内)の場合なら、建設業許可は不要です。しかし大規模工事を請け負うためには、建設業許可の取得が必要になってくるのです。
建設業の許可は管轄により「国土交通大臣の許可」と「都道府県知事の許可」に分かれ、さらに請負額によって「特定建設業許可」「一般建設業許可」と、申請内容も変わります。
営業範囲や工事の受注形態と受注額、そして工事に必要な業種に応じて、それぞれ建設業許可が必要になるのです。
【建設業許可取得・所要時間と費用】
国土交通大臣の許可 | ・許可取得期間3ヵ月から5ヶ月程度 ・費用30万円~(申請証紙15万円+行政書士等の報酬15万円) |
---|---|
都道府県知事の許可 | ・取得期間1ヵ月から3カ月程度 ・費用24万円~(申請証紙9万円+行政書士等の報酬15万円) |
上記の所要時間を見ると、建設業では許可取得が資金繰りに大きな負担となっていることがわかります。
参考:建設産業・不動産業:建設業の許可とは – 国土交通省
参考:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)
建設業は銀行融資の審査に通りづらい傾向にある
銀行などの金融機関では「建設業は構造的に不況業種」と認識されているため、融資審査に通りづらい傾向があります。
銀行側から見ると、建設業界は「キャッシュフローが健全ではない業界」「突発的な事情で資金ショートが頻繁に起こる業界」というイメージが強いのです。
事実、東京商工リサーチの調査によると、2023年の建設業の倒産件数は1,693件で、2年連続で前年を上回っていることがわかります。
さらに、コロナ対策として政府が行った「ゼロゼロ融資」の返済期限も迫っており、今後建設業の資金繰りは、ますます厳しくなることが予想されます。
出典:株式会社東京商工リサーチ「2023年の建設業倒産1,693件 増加率40%超は32年ぶり 物価高で疲弊するなか「2024年問題」も差し迫る」
しかしながら、資金繰りが厳しいからこそ資金が必要なわけであり、銀行が「まったく取り合わない」というわけではありません。
企業の経営体質や受注状況によっては、融資が受けられる場合もあります。
建設業におすすめの資金調達方法
資金繰りが難しく、支払いサイトも長い建設業には、下記の資金調達方法がおすすめです。
- ファクタリング……売掛債権を売却し最短即日で資金調達可能
- ビジネスローン……金利は高いがスピード融資が特徴
- 日本政策金融公庫の融資……金利が低く創業間もない企業でも融資が受けられる
- 信用保証協会保証付き融資……銀行経由で利用でき返済期間が長いのが特徴
- 銀行のプロパー融資……審査は厳しいが信用や実績があれば大型融資も可能
それぞれ特徴やメリットデメリットも違います。自社の状況にあった資金調達方法を選びましょう。
ファクタリングで債権をすぐに現金化する
ファクタリングとは、保有する売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらい、早期に現金化する方法です。
ファクタリングは融資ではなく「売掛債権の売却」のため、審査は不要で利用者の信用力が乏しくても資金調達ができる点がメリットです。
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があり、取引先の信用が重視される3社間ファクタリングでは、売掛先の審査が必要になるケースもあります。
【ファクタリングのメリットデメリット】
メリット | ・融資ではないため審査不要で資金調達ができる ・利用企業が赤字や債務超過に陥っていても利用できる ・税金滞納中や融資返済猶予中(リスク状態)でも利用できる |
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デメリット | ・手数料が高く、1回の利用で10~20%程度かかる場合もある ・政府への登録や資格が不要なため、違法業者も多く法外な手数料を請求されるリスクがある |
【2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い】
2社間ファクタリング | ・2社とは「ファクタリング利用者」⇔「売掛先の企業」のこと ・売掛金の入金を待たずに業者から資金を受け取る仕組み。後日、売掛金が入金されたらファクタリング業者へ支払う ・売掛先に知られる「債権譲渡通知」や「債権譲渡登記」が行われないため、取引先に内緒でファクタリングを利用したい場合に最適な方法 ・3社間ファクタリングと比較し手数料は高め |
3社間ファクタリング | ・3社とは「ファクタリング利用者」⇔「ファクタリング業者」⇔「売掛先の企業」のこと ・売掛金の入金を待たずに業者から現金を受け取れるが、売掛先の企業はファクタリング業者へ支払う流れとなる ・売掛先の企業の信用調査が必要 ・「債権譲渡通知」や「債権譲渡登記※売掛債権買取を登記で証明すること」と行うため、取引先にはファクタリングの利用を知られてしまう |
ビジネスローンで一時的に事業資金を借り入れる
消費者金融や事業ローン会社など、いわゆる「ノンバンク」と呼ばれる業者が扱う事業資金融資がビジネスローンです。
ビジネスローンは最短即日融資が可能ですが、金利手数料が高く利用が常態化すると経営を圧迫するリスクがあります。
あくまでも一時的な資金調達方法として考えるのが良いでしょう。
【ビジネスローンの概要】
利用可能額 | 10万円~1,000万円 |
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手数料 | 最大で年率18.0%(融資額が100万円を超える場合は、利息制限法により年率15.0%) |
担保や保証人 | 原則不要だが決算内容によっては担保が必要になるケースがある法人の場合は、代表者が保証人になるのが一般的 |
資金調達に必要な期間 | 最短即日だが一般的には2~3日から1週間程度必要 |
【ビジネスローンのメリットデメリット】
メリット | ・Web完結可能で銀行などの店舗に行かず即日融資が受けられる ・赤字でも対応してくれる貸金業者も多い |
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デメリット | ・金利手数料が高い(銀行融資の3~10倍程度) ・利用が常態化すると金利手数料が経営を圧迫する |
日本政策金融公庫の融資を受ける
日本政策金融公庫の融資とは、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」が取り扱う事業資金融資の総称です。
公庫融資は公共性が高く、公平性や透明性が担保された安心できる融資制度のひとつといえます。
創業間もない事業者が利用できる融資やコロナ緊急融資など、多様な融資制度がありますが、審査が厳しい一面もあります。
そのため、商工会議所や税理士などのアドバイスを受けながら利用するのがおすすめです。
【日本政策金融公庫融資の概要】
利用可能額 | 一般的な「一般貸付」では運転資金で4,800万円。設備資金で7,200万円 |
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手数料 | 0.7%~1%台 ※利用する融資制度によって適用金利が変わる |
担保や保証人 | 原則不要 |
資金調達に必要な期間 | 約1ヵ月程度 |
【日本政策金融公庫融資のメリットデメリット】
メリット | ・金利が低い・返済期間が長い(10~20年) ・創業資金や経営改善化のための資金融資など、さまざまな融資制度がある |
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デメリット | ・必要書類が複雑 ・融資まで1ヵ月以上かかるため短期融資には不向き |
参考:日本政策金融公庫 金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表)、一般貸付の概要
信用保証協会保証付き融資を受ける
信用保証協会の保証が付いた融資を受ける方法もあります。
別名「マル保融資」とも呼ばれる信用保証協会保証付き融資は、低金利でカードローンタイプの融資が受けられるなど、制度そのものが柔軟な一面もあります。
しかし、金融機関と信用保証協会の審査をパスする必要があるため、「審査が甘い融資」ではありません。
万一返済できなくなったときは、信用保証協会が金融機関に代位弁済をしてくれますが、支払い義務を免れるわけではないため計画性をもった借入が必要です。
【信用保証協会保証付き融資の概要】
利用可能額 | 一般保証の場合は2億8,000万円まで |
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手数料 | ・金利手数料は、金融機関が決算内容などから任意で決定するものと、国や市町村ごとで金利が決まっているものがある(1.0%~2.5%前後がほとんど)・金利手数料以外に保証協会に保証料を支払う必要がある |
担保や保証人 | 原則不要だが、設備資金融資などの場合は担保が必要になるケースもある |
資金調達に必要な期間 | 約1ヵ月 |
【信用保証協会保証付き融資のメリットデメリット】
メリット | 信用保証協会が融資の保証をするため、信用力の低い小規模企業でも融資を受けやすい |
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デメリット | 申請書類が多いなど手続きが複雑で時間がかかる金利手数料以外に保証料が必要 |
銀行のプロパー融資を受ける
信用保証協会などの保証を付けずに、銀行から直接融資を受ける「プロパー融資」を利用する方法もあります。
ただし、銀行から直接融資を受けるには厳しい審査を通過しなければいけません。零細企業などが、金融取引実績がない状態で、銀行から融資を受けられるケースはないと考えておきましょう。
建設業向けには短期の手形貸付も用意されており、なかには請負工事の内容や工期に合わせた一括融資「工事代金引当融資(引当貸)」なども利用できるのが特徴です。
※工事代金引当融資とは……請負工事契約書などを証拠に借入ができる融資制度のこと。ただし融資で得たお金は該当工事関係にしか使えない
【銀行プロパー融資の概要】
利用可能額 | 明確な利用可能額は決められておらず、資金使途や業況・会社規模などにより随時決定される |
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手数料 | 金融機関が任意で決定(1%台~3%台が多い)金利手数料とは別で、事務手数料や繰上げ返済時の違約金などが設定される場合もある |
担保や保証人 | 原則必要 |
資金調達に必要な期間 | 数週間から1ヵ月程度 |
【銀行プロパー融資のメリットデメリット】
メリット | ビジネスローンと比較すると低金利で保証料も不要 |
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デメリット | 担保や保証人が必要になる場合が多い融資までは1ヵ月以上かかる |
建設業者が資金調達をしやすくするために気をつけること
建設業者がスムーズに資金調達をするには、下記3つのポイントを意識しましょう。
- 地銀や信用金庫と繋がりを持っておく
- 建設業許可の取得をする
- 赤字決算にならない、あるいは赤字からの脱却姿勢をアピールする
特に「地元の地銀や信用金庫と強いつながりをもっておく」という点は重要です。銀行融資は「信用力の大きさ」が融資可否を決めるポイントとなります。
普段から良好な取引を継続しておくのはもちろん、さまざまなビジネスシーンを通じて金融機関に協力する姿勢も大切です。
また、スムーズな融資を受けるには「赤字だから仕方がない」とあきらめるのではなく、常に経営改善に取り組む姿勢も必要になってきます。
金融機関は意気込みや決意など定性的な部分ではなく、決算内容などに表れる「数字」のみを重視します。
今後、経営が改善する見込みであることを数字で示せるような努力が必要です。
地銀や信用金庫と繋がりを持っておく
建設業を含む中小企業にとって、最も身近で頼りになるのは地域密着型の金融機関である地銀や信用金庫です。こうした地域金融機関との繋がりやパイプを複数持っておくことが重要です。
資金調達では「A銀行に断られてもB信金なら貸してもらえる」といったケースもあるため、資金調達では選択肢を多く持つことがポイントといえます。
具体策としては、預金や融資取引を円滑に積み重ねていくのが良いでしょう。そのほか、積立預金や従業員のクレジットカード作成など「金融機関のお願い営業」には、可能な限り付き合うことも必要です。
金融機関主催のイベントや商談会に積極的に参加すれば、自社を見る目もより好意的になります。また、イベントや商談会に参加すること自体「自社が金融機関と良好な取引をしている」という証明にもなります。
同じイベントに参加している企業と、イベント参加がきっかけで新規取引が始まることも多く、事業拡大のうえでも大切な取り組みといえるでしょう。
建設業許可の取得をする
建設業では工事によって建設業の許可が必要になります。したがって建設業許可が多いほど多様な受注が可能になりますので、対外的なアピールになります。
逆に「建設業の許可を取得していない」、あるいは「限定された許可しかもっていない」という場合は、工事受注の機会損失にもつながりかねません。
建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。
国土交通省「建設産業・不動産業:建設業の許可とは」
赤字決算にならない、あるいは赤字からの脱却姿勢をアピールする
融資を受けるには、当然ながら決算状況が審査通過のポイントとなります。したがって、できる限り赤字決算にならない努力が必要です。
ただ、「赤字にはしたくない」というのは、すべての企業が思うことですが実際には難しい一面もあります。
赤字を避けられないときでも、銀行に「今期は赤字でした」の説明で終わらせてはいけません。
今後の経営改善計画書などを作成し、取得予定の工事や費用削減計画など、経営を改善させる見込みを示すことが重要です。
建設業者が資金繰りを改善する方法
資金繰りが苦しい場合は、安易に融資を申し込むのではなく、いくつかの資金繰り改善策を試してみましょう。
- 資金繰り表を作成して入出金のタイミングを管理する
- 赤字案件は受注せず自社に合った規模の工事を受注する
- 支払サイトをできるだけ長くする
資金繰り表を作成して入出金のタイミングを管理する
資金繰り表を作成して入出金のタイミングを管理することで、「どんぶり勘定」を終わらせましょう。
個人事業主や小規模事業主のなかには資金繰りの重要性を認識していない代表者も多く、「なぜお金が足りなくなるのかわからない」といったケースもよく聞かれます。
建設業は、卸売や小売業などのように販売の都度売上金が入る業種ではないため、資金繰りはシビアに管理する必要があります。
管理方法としては、専用会計ソフトで簡単な資金管理をするのがおすすめです。
また、契約している税理士などに資金繰り管理についても相談する、商工会議所で相談するといった方法も良いかもしれません。
自社に合った方法で、まずは資金繰り表を作成する癖をつけることから始めていきましょう。
参考:資金繰り表を活用する | 経営ハンドブック | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
赤字案件は受注せず自社に合った規模の工事を受注する
赤字案件を受注しても、利益にはつながらないのは当然です。恩義やしがらみよりも、利益重視の工事受注に方向転換しましょう。
建設業に多いのが、業績不振や競争により利幅の薄い仕事を受注し続け、結果的に資金繰りを厳しくしてしまうケースです。
「売上が上がるから」「日銭を稼げるから」といった安易な理由ではなく、常に「利益はいくら残るか?」という経営目線で受注するようにしましょう。
もちろん「昔からの付き合い」や「以前、困ったときに助けてもらった恩義がある」など、やむを得ない事情もわかります。
お世話になった同業者と今後良好な関係を築いていくためにも、損害を出してしまうことがわかっている赤字案件には手を出さないようにしましょう。
支払サイトをできるだけ長くする
支払いをできるだけ長くすれば資金繰りは楽になります。
資金繰りを楽にしたいなら「入るお金は早く、出るお金はゆっくりと」という原則を守りましょう。しかし、将来的に手形の制度が廃止されるように、社会全体は支払いサイトを短縮する方向に動いています。
一方で、「手形支払いから現金払いに変える代わりに支払いサイトを伸ばしてもらう」など、交渉の余地もあるでしょう。
受注した仕事を責任をもって仕上げ信用を積み重ねていき、粘り強く資金繰りについても取引先と相談していく姿勢が大切です。
建設業者の資金調達|まとめ
「建設業だから資金繰りが厳しいのは仕方がない」とあきらめていては、何ら状況は変わりません。
今回ご紹介した資金調達の方法以外にも、税理士やコンサルタントなどプロに相談すれば、アドバイスをもらえることも多いでしょう。
目先のことばかりを考えず、中長期的な経営目線で資金繰りの改善に取り組むことが大切です。
提供会社:株式会社クレディセゾン
こんな方におすすめです
・資金繰りにお悩みの経営者様
・資金調達方法を複数準備しておきたい経営者様
・緊急時の資金調達手段を用意しておきたい経営者様