日本政策金融公庫の審査は厳しい?審査通過のために意識すべきポイントを解説

日本政策金融公庫の融資審査の難易度は?

日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主の資金調達を支援する政府系金融機関です。

公的機関のため、「公庫の審査は甘い」と思っている人は多いかもしれません。しかし、実態は返済能力の確認など厳格な審査が行われます。

今回は、日本政策金融公庫が扱う融資の種類や審査通過のポイント、申込から融資までの流れなどについて詳しく見ていきます。

これから日本政策金融公庫の融資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

日本政策金融公庫の審査は決して甘くはない

日本政策金融公庫の審査は、「民間銀行と比べると通りやすい」といわれることがあります。

しかし、これはあくまで主観的な意見に過ぎず、実際の審査が甘いわけではありません

公庫融資の可否は、事業の持続可能性返済能力を慎重に判断した上で決定されます。

日本政策金融公庫の審査が甘いと誤解される理由

日本政策金融公庫の審査は「甘い」と誤解されることがありますが、実際には厳格な審査が行われます

このような誤解が生じるのは、公庫が政府系金融機関であり、「中小企業や個人事業主を支援する役割があること」が原因かもしれません。

たしかに、日本政策金融公庫は小規模事業者の支援を目的に設立された金融機関です。

そのため、事業の将来性を重視し、銀行よりも柔軟な審査を行うケースがあります。

特に創業融資では、民間銀行が慎重な姿勢をとるのに対し、公庫は事業計画の実現可能性をもとに融資の可否を判断します。

この点が「審査が通りやすい」という印象につながっているのかもしれません。

しかし、実際の審査は決して甘くはなく厳格な審査が行われます。

公庫は「民間金融機関の補完を旨とする」という基本理念があるため、銀行で断られた方に融資をすることがあるのは事実です。

しかし、実際の審査では必要書類の提出や事業計画の明確化が求められ、それらが不十分だと融資は受けられません。

参考:基本理念|日本政策金融公庫

日本政策金融公庫の審査は「甘い」のではなく、政策目的に沿った柔軟な審査が行われているというのが正しい理解です。

日本政策金融公庫の審査で見られるポイント

日本政策金融公庫の審査では、融資の種類ごとに細かい基準が設けられており、審査では事業の継続性返済能力が厳しくチェックされます。特に、資金の使い道妥当性が重要視されます。

公庫融資の代表的な審査で見られるポイントは、下記の3つです。

公庫融資の審査ポイント
  • 起業の動機や事業の将来性
    単なる夢やアイデアだけでは融資は受けられず、具体的な「創業計画書」や「事業計画書」が必要。
     
  • 事業規模と融資の妥当性
    事業規模に対して申込額が適切かが審査される。
    資金繰り目的では融資は受けられず、本当に必要な資金であることを証明する必要がある。
     
  • 投資の必要性
    設備資金などの場合は、新しい設備を導入することで売上や生産効率がどのように向上するのかがチェックされる。
    少額の設備投資であっても、計画が不十分だと審査通過は難しい。

日本政策金融公庫の申込時は、資金使途を明確にし事業計画を具体的に示せるよう準備しましょう。

日本政策金融公庫と銀行の審査方針の違い

日本政策金融公庫と銀行とでは、審査の方針が大きく異なります。

公庫は政府系金融機関として、中小企業や個人事業主の支援を目的としているのに対し、銀行は営利法人として利益追求の観点から審査を行います。

そのため、審査基準や融資の対象となる事業者に違いがあります。

【日本政策金融公庫と銀行の違い】

日本政策金融公庫銀行
審査方針創業支援
将来性重視
コロナ対策などの緊急支援
財務内容重視
融資の対象小規模事業者
個人事業主
中小企業
大企業
金利や返済期間低金利
長期返済
市場金利と連動
条件によっては短期返済が求められる
審査基準柔軟厳格
(決算書や信用力重視)

それぞれの審査基準が違うのには、「資金調達の方法が異なる」という背景もあります。

公庫は政府からの資金供給を受けているため長期的な支援が可能ですが、銀行は預金者の資金を運用しているため、貸し倒れリスクを抑え、短期で融資を回収しなければいけません。

銀行は、期待感(将来性)だけで融資をすることはなく、融資先は明確な財務基盤がある企業に限定されるのです。

法人事業者が日本政策金融公庫の審査に通るか

法人事業者が日本政策金融公庫の審査に通るためには、財務の安定性事業の将来性が重視されます。

経営者自身の能力経営方針他の金融機関との取引状況もチェックされるでしょう。

公庫の審査で、法人事業者のどのようなポイントが見られるのか、詳しく見ていきたいと思います。

法人事業者が審査で見られるポイント

日本政策金融公庫の審査では、法人事業者の財務事業計画の妥当性を厳しく見ます。

直近の決算書の内容売上・利益の安定性が重視されるため、極端な増減や借入過多があると審査通過は難しいでしょう。

また、事業の継続性と成長性も審査の対象です。

単年度でなく将来的な事業計画が求められ、「資金使途と申込金額が適切であること」「成長戦略が現実的であること」などを明確に示す必要があります。

公庫は、金融機関との取引状況も審査します。

「他行からの融資を適切に管理できているか?」「過去の返済履歴に問題がないか?」も確認されるでしょう。

加えて、財務体質の健全性を判断するために、自己資本比率流動性比率などの審査が行われ、安定した財務基盤を持つかどうかも審査のポイントです。

公庫の審査は、単に「財務状況が良ければ通る」というものではなく、事業の将来性や経営の健全性が総合的に判断されます。

事前に決算書や事業計画をしっかりと整え、審査に臨むことが重要です。

法人事業者が利用できる日本政策金融公庫融資の例

日本政策金融公庫では、法人事業者向けにさまざまな融資制度を提供しています。

法人事業者が利用できる、各種融資について概要を見ていきましょう。

なお、公庫の融資制度は「一般貸付」「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」「特別貸付」「生活衛生貸付」に分類され、事業者の状況や資金用途に応じた選択が可能です。

【日本政策金融公庫融資の例】

創業融資新たに事業を立ち上げる法人や個人事業主向け融資。
事業計画の妥当性や創業者の経験をもとに審査が行われる。
運転資金仕入れや人件費、賃料の支払いなど、資金繰りを安定させるための融資
過剰な借入や不透明な資金使途は審査で問題視される
設備資金店舗の設備や車両など、事業成長に直結する設備投資が対象。
融資を受けるには「設備投資計画書」の提出が求められ、投資効果を具体的に説明する必要がある。
資本性ローン公庫独自の融資制度で、金融機関から自己資本とみなされる点が特徴。
財務体質を強化し、企業の信用力を高めることができる一方、審査のハードルが高く、一定の事業規模や成長戦略がないと審査通過は難しい。

参考:日本政策金融公庫→融資制度を探す→中小企業事業

面談で日本政策金融公庫が見ているポイント

日本政策金融公庫の審査では、面談での評価も重要なポイントとなります。特に法人事業者の場合、事業の実績や将来性を的確に説明できるかどうかが重視されるでしょう。

面談では、経営者自身の考えやビジョンについても問われます。たとえば、「どのような市場で戦うのか?」「競争優位性は何か?」などの具体的な質問に対し、論理的に答えられるかが重要です。

また、融資を受けた資金をどのように活用し、どのように返済していくのかを明確に説明できなければ、審査通過は難しくなります

加えて、公庫の担当者は経営者としての資質も見極めています。

「人を見て融資する」という考え方が根強く、財務状況事業計画だけでなく、経営者の信頼性リーダーシップも評価されるでしょう。

特に中小企業や創業融資では、事業の成功が経営者の手腕に大きく依存するため、事業への熱意や業界知識・リスク管理意識なども審査の判断材料になります。

個人事業主でも日本政策金融公庫の審査は通る

個人事業主でも、日本政策金融公庫の審査を通過し、融資を受けることは可能です。

ただし、法人と同様に、財務状況事業の継続性資金の使途が適切であるかどうかが厳しく審査されます。

特に、個人事業主の場合は、事業資金と生活費の区別が明確にできているかが重視されるでしょう。

【保存版】日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受ける方法とは?審査や必要書類・金利まで紹介

個人事業主が審査で見られるポイント

個人事業主は、事業と個人の線引きが明確にできているかが特に重要視されます。

個人事業主の場合、事業用の資金と生活費が混在しやすいため、事業資金としての融資であることをしっかり説明しなければなりません。

「事業とは関係のない借入」と判断されると、審査が厳しくなります。

財務状況も重要な審査基準の一つです。直近の確定申告書の内容が安定しており、所得の増減が極端でないか借入が過剰でないかがチェックされます。

さらに、他の金融機関との取引状況も考慮されます。過去の借入履歴や返済実績に問題がないか、他行融資とのバランスが適切かも見られるでしょう。

個人事業主が利用できる日本政策金融公庫融資の例

個人事業主でも、法人事業者と同じ融資制度を利用できます。

ただし、個人事業主は財務基盤が脆弱になりがちであるため、審査では事業の継続性成長性資金の使途がより厳しくチェックされます。

創業融資創業費用の融資
開業届を提出していることが前提。
創業計画書を提出して事業の具体的な計画を示す必要がある。
運転資金仕入れ資金や人件費など、事業継続に必要な融資
個人事業主の場合、生活費ではなく、事業用として適切に資金が使われるかが厳しく審査される。
設備資金機械や事業用の車両など設備投資が対象。
設備投資計画書を用意し、投資の目的や見込まれる効果を明確に説明することが重要。

参考:日本政策金融公庫「融資制度を探す 国民生活事業」

個人事業主が審査通過するためのコツ

個人事業主が日本政策金融公庫の審査を通過するためには、事業の安定性信用力を示すことが重要です。

また、公庫の審査では事業資金と生活費を明確に分けることが求められるため、屋号付きの通帳事業専用の銀行口座を作成し、収支を明確に分けたほうが好印象です。

確定申告を毎年正しく行っていることも大切なポイントです。

開業届を提出していることが前提となり、申告実績がないと公庫の審査では不利になります。白色申告よりも青色申告のほうが帳簿管理が適切で、審査を有利に進められるでしょう。

さらに、個人信用情報にも注意が必要です。審査の過程では、個人信用情報機関の照会が行われるため、クレジットカードやカードローンなどの支払いには遅れがないよう注意しましょう。

個人事業主は、事業の実態をしっかり伝えることが重要です。

事業内容や売上の安定性を具体的に説明できるようにし、明確な事業計画を提示することで審査通過の可能性を高めることができます。

日本政策金融公庫の審査に通るために意識すべきポイント

日本政策金融公庫の審査に通るためには、事業計画の具体性財務の健全性、経営者の資質など、複数の要素をクリアする必要があります。

公庫は民間銀行と比べて柔軟な審査を行うとされていますが、だからといって簡単に融資が受けられるわけではありません。

事業計画書で注意すべきポイント

事業計画書では、「実現性」が厳しく見られます。

ほとんどの事業者が「売上が毎年一定の割合で増加する」計画を立てがちですが、実際のビジネスでは計画通りにいかないのが通例です。

「現実的な計画」と認めてもらうには、業界の動向や市場環境を踏まえた上で、合理的な成長戦略を提示することが重要です。

収支計画の妥当性も審査の大きなポイントです。

事業計画書には収支計画を記入する欄がありますが、ここでは、売上と支出を正確に見積もる必要があります。

収入と支出のバランスが取れておらず、資金の余剰や不足を考慮していない計画は、信頼性に欠けると判断されてしまうでしょう。

さらに、具体的な返済計画も示さなければいけません。

事業計画や収支計画と連動させながら、いつ、どのようにして返済するのかを明確に説明することが求められます。

特に、利益が出るまでの期間資金の回収見込みについて、具体的なデータをもとに説明できると審査に通りやいでしょう。

【テンプレートつき】事業計画書の作り方をプロが解説!融資時に見られるポイントとキャッシュフローの見直し方

確定申告書や決算書で注意すべきポイント

日本政策金融公庫の審査では、確定申告書や決算書の内容が重要な判断基準となります。

単に黒字であればよいというわけではなく、本業の利益や資産の管理状況が適切かどうかが細かくチェックされます。

注意ポイント
  • 営業利益の確保
    公庫の審査では、営業利益がしっかりと確保されているかどうかが重要。
    本業で安定した収益が出ていることを示せなければ、審査通過は難しい。
     
  • 不良資産の処理
    回収が見込めない売掛金や、代表者への貸付金が多額に計上されていると、疑念を持たれてしまう。
    不要な資産は適切に処理しておくことが望ましい。
     
  • 減価償却の計上
    減価償却の処理状況も重要なポイント。
    表面的には利益が多く見えても、実態として資産の目減りが反映されていないと審査では不利になる。

決算書の見方は、公庫の審査担当者によっても異なります。

表面上は良く見えても、詳細を確認されると問題視されることがあり、逆に悪く見える決算書でも適切な説明ができれば高評価を受けることもあります。

申込時には、会計士や税理士と連携し、正確な決算書類を作成するように努めましょう。

代表者の人柄や意気込みのアピール

日本政策金融公庫の審査では、財務状況や事業計画だけでなく、代表者の人柄意気込みも重要な評価ポイントです。

経営者の能力業界経験が事業の成功を左右するため、面談の場で積極的にアピールすることが求められます

同業他社との差別化ポイントを説明するのも、高評価を受けるための効果的な方法です。

自社製品やサービス・技術力など、競争優位性がどこにあるのかを明確に伝えることで、成長性をアピールできるでしょう。

こうしたアピールが重要なのは、経営者の熱意や意気込みが、事業の持続性に直結するからです。

審査担当者は決算書や事業計画書を見て事業の可能性を判断しますが、最終的に融資の決め手となるのは、経営者自身の言葉と態度です。

経営者がどれだけ事業に真剣に取り組んでいるのかビジョンをしっかり持っているのかを示すことができれば、審査を有利に進めることができます。

財務状況を健全に保つ

日本政策金融公庫の審査を通過するためには、財務の健全性を維持することが不可欠です。

公庫は銀行よりも柔軟な審査を行うとはいえ、経営の安定性返済能力を慎重に評価するため、財務管理の基本をしっかり押さえておかなくてはいけません。

税金や社会保険料の滞納は、絶対に避けるべきです。公庫は政府系金融機関であるため、税金や公的な支払いの滞納には特に厳しい姿勢を取ります。

税務署や社会保険事務所に未納があると、財務管理が甘いと判断され、融資は否決されるでしょう。

また、自己資金を準備することも審査を有利に進める要素になります。公庫の創業融資には自己資金要件はありません。

しかし、10%以上の自己資金を用意しておくと、経営の本気度や財務管理能力を評価してもらいやすくなります。

日本政策金融公庫の審査に落ちてしまう事業者の特徴

日本政策金融公庫の審査は柔軟性があるといわれるものの、誰でも融資を受けられるわけではありません。

特に、財務状況や事業計画に問題があると、審査を通過するのは難しくなります。

財務状況が悪化している事業者

日本政策金融公庫の審査では、財務状況の安定性が重視されるため、赤字決算が続いている事業者債務超過が解消されていない事業者は審査に落ちる可能性が高くなります。

個人事業主は、所得が連続してマイナスになっていると「返済能力がない」と判断されてしまうでしょう。

審査に通るためには、黒字決算で利益償還が可能であることを示す必要があります。

事業計画書には、収益改善策具体的な売上増加の根拠を示し、債務超過を解消する見通しを明確に記載することが重要です。

赤字が続いている場合は、どのように経営を改善するのか説明できるよう準備しましょう。

ちなみに、公庫を含む金融機関全般においては「赤字補填資金」の融資は基本的に認められません

業績が回復する見込みがない場合は追加融資が難しくなるため、日頃から財務管理を徹底し、健全な経営を維持することが必要です。

返済能力がない

営業利益が少なく返済余力がない場合や、資金ショートが頻繁に発生している場合は、融資リスクが高いと判断されてしまうでしょう。

審査を通過するためには、支出の見直しを行い、利益を確保できる状態にすることが必要です。

仕入れや経費を適正化し、コストを削減することで収益改善できる場合があります。

売掛と買掛の支払いサイトを調整し、キャッシュフローを安定させる方法も検討してみましょう。

また、借入の一本化を図り、新たな融資の余力を確保するという方法もあります。

借入過多の状態では追加融資を受けにくいため、資金繰りを改善して経営の安定性を示せるように準備することが重要です。

【テンプレートつき】返済計画書の作り方をプロが解説!事業資金の融資を成功させるために必要なポイントとは?

資金使途に問題がある

日本政策金融公庫の審査では、資金の使い道が明確で、合理的かどうかが厳しくチェックされます。

財務状況が良好な企業が申し込んだ場合でも、資金使途が不明確だと「必要性が低い」と見なされ審査に落ちるケースもあります。

過大な設備投資や計画が曖昧な創業資金の申請も、審査通過は難しいでしょう。

業績が良いからといって無計画に運転資金を申請するのではなく、なぜその資金が必要なのかを具体的に説明できるように準備しましょう。

創業資金の場合も、事業計画が曖昧なまま申込むと審査に落ちやすくなります

創業支援には積極的な公庫ですが、計画の甘さが目立つと「金融機関との協調融資※」に誘導される場合もあるのです。

※金融機関との協調融資……複数の金融機関が連携して、ひとつの企業やプロジェクトに対して資金を貸し出すこと。

日本政策金融公庫への申込、審査、融資の流れ

公庫融資の申込から融資までの流れについても、見ていきましょう。

公庫の審査では、必要書類の準備や面談対応をしっかり行わなければ、手続きが進まないことがあります。

相談

公庫融資を利用する際は、はじめに事前相談が必要です。金融機関のように、いきなりWebから申込んでも手続きしてもらえないため注意しましょう。

窓口相談は予約制となっているため、事前に予約を取らなければ、訪問しても長時間待たされるか、対応してもらえない可能性があります。

相談時には、何を知りたいのかを明確にしておくことが大切です。

たとえば、「どの融資制度を利用できるのか」「必要な書類は何か」「審査のポイントはどこか」など、具体的な質問を準備しておくとスムーズに進みます。

日本政策金融公庫の相談予約は公式サイトから>>

申込

融資の申込みは、公庫の公式サイトか窓口、または一部の金融機関で行えます。

一般的なのはインターネット申込で、申込フォームの指示に従い、必要事項を入力すれば申込手続きは完了します。

申込みが完了すると、公庫の担当者から面談の日程調整の連絡が入りますので日程を決めましょう

面談に先立ち必要書類を準備し、事業計画や資金使途を明確に説明できるように準備しておく必要があります。

日本政策金融公庫のインターネット申し込み>>

審査

日本政策金融公庫の審査では、事業の将来性返済能力が厳しくチェックされます。

創業融資の場合は、創業計画や事業計画の内容が審査されるでしょう。

創業時は実績がないため、現時点での返済能力は乏しいと判断されることが一般的です。そのため、計画書の内容がどれだけ具体的で、実現可能性が高いかが重視されます

運転資金や設備資金の場合は、業績の推移や今後の見通しが重視されます。

決算書や試算表をもとに事業の安定性や、融資が適正であるかどうか説明できるようにしておきましょう。

融資

審査を通過すると、公庫窓口で「金銭消費貸借契約書」などの契約書類に記入押印し、正式な契約に進みます。

契約の際には、印鑑証明書などの書類が必要になるため、不備がないよう準備しておきましょう。融資金は、申込書に記載した返済口座に振り込まれます。

なお、融資金が振り込まれるのは契約書を記入した当日ではありません。公庫の手続き上、契約締結後に内部処理が行われ、後日、指定口座に入金される仕組みになっています。

日本政策金融公庫の審査にかかる期間

日本政策金融公庫の審査にかかる時間は、一般的な金融機関より長めです。案件の内容や必要書類の不備内容によっては、さらに遅れる場合もあります。

一般的な審査時間は3週間程度

日本政策金融公庫の審査は、はじめての場合は約3週間2回目以降の融資は10日~3週間程度かかるのが一般的です。

公庫の審査に時間がかかる理由は、「相談→申込→面談→審査→契約→融資実行」という一連の流れがあるためです。

公庫は政府100%出資の金融機関であり、審査のスピードよりも融資の安全性と正確性を重視しています。

公庫では「スピード審査」を売りにしていないため、急いで資金調達を考えている場合は、早めに準備を進めることが重要です。

審査時間を早めるコツ

審査時間を短縮するためには、書類準備を徹底し、担当者に好印象を与えることがポイントです。

まず、「申込書」や「事業計画書」は丁寧に記載しましょう。意外にも、必要事項を正確に記入できていない申込者は多く、記入ミスや情報の不足があると追加の確認が必要になり、その分審査が遅れます。

必要書類を速やかに準備することもポイントです。確定申告書決算書事業計画書など、公庫が求める書類を事前に確認し、提出時に不備がないように準備しておきましょう。

また、公庫の審査には「人」が関与するため、心象も重要な要素となります。書類をきちんと整え、わかりやすく記入すれば公庫担当者の負担も減り、好印象です。

日本政策金融公庫の審査に落ちて資金調達ができなかった時は?

日本政策金融公庫の審査に落ちた場合は、ほかの資金調達方法を検討してみましょう。

資金調達の方法としては、信用保証協会付き融資やノンバンクのビジネスローン、不動産担保ローン・ファクタリングなどがあります。

信用保証協会(保証付き)融資

公庫の審査に落ちた場合は、信用保証協会付きの融資が利用できないか検討してみましょう。

信用保証協会の保証を利用すれば、銀行や公庫の審査に落ちた事業者でも融資が受けられる場合があります。

取引金融機関の窓口で相談するのが一般的ですが、直接保証協会の窓口で相談することも可能です。

ただし、信用保証協会の融資でも財務状況や事業計画が評価されるため、必ずしも絶対借りられるとは限りません。

「金融機関経由保証」の場合は、取引金融機関の審査をクリアする必要があり、保証協会だけでなく銀行側の判断も影響します。

金融機関に相談する際は、「公庫の審査に落ちたからお願いしたい」とストレートに伝えるのではなく、「保証協会の融資も検討している」と前向きな姿勢を見せることが望ましいでしょう。

【プロ解説】信用保証協会の審査の難易度は?厳しい理由や落ちた原因を解説!

金融機関(銀行・信用金庫)プロパー融資

取引金融機関(銀行・信用金庫)のプロパー融資という方法もあります。

プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けずに金融機関が独自の判断で実行する融資のことを指します。

一般的に、公庫や信用保証協会を利用する前に検討するべき選択肢ですが、公庫の審査に落ちたあとでも相談する価値はあります。

しかし、プロパー融資は金融機関にとってリスクが高いため、公庫の審査基準よりも厳しくなるのが一般的です。

特に、メガバンクは審査基準が厳しく、創業間もない企業や小規模事業者の融資は難しいでしょう。

審査落ちに不安があるなら、地方銀行信用金庫に相談する方が現実的です。

【元銀行員が解説】銀行融資の審査は厳しい?審査基準や通過率を上げるためのコツを法人融資のプロが解説

ノンバンクビジネスローン

ノンバンクのビジネスローンは、比較的審査が柔軟で、公庫の融資審査に落ちたタイミングでも審査通過できる場合があります。

ただし、金融機関の融資と比べると金利が高いというデメリットがあります。

また、融資額には上限があり、1,000万円程度が限度となるケースがほとんどです。

借入期間も短めで、最長でも5年以内の返済を求められるでしょう。短期間での資金繰りを目的とした利用には適していますが、長期的な事業資金には不向きです。

ただし、決算書にノンバンクからの借入が記載されると、今後の銀行や信用金庫からの融資支援が受けにくくなることがあります。

金融機関が決算書の勘定科目明細を必ず確認するのは、ノンバンク利用の有無をチェックするためでもあります。

ノンバンクのビジネスローンは、公庫や信用保証協会の利用が難しい場合の最終手段として検討するのが賢明でしょう。

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不動産担保ローン

日本政策金融公庫や信用保証協会の融資を受けられなかった場合、不動産を担保にした融資(不動産担保ローン)を利用する方法があります。

ただし、不動産担保ローンは担保の価値だけでなく、返済原資(事業の収益力)も厳しく審査されるため、財務状況が不安定な場合は担保を差し入れても融資が受けられない可能性があります。

担保にできる不動産には各金融機関ごとの規定があり、すべての不動産が適用されるわけではありません

評価額が低い土地や、抵当権がすでに設定されている不動産では審査が通らないこともあります。

さらに、不動産の担保評価額によって融資額が決まるため、希望額を満たせない場合もあることに注意が必要です。

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ファクタリング

ファクタリングの利用もおすすめです。ファクタリングは、売掛債権(未回収の売上)をファクタリング会社に売却し、売掛金の入金日よりも前に現金を調達する方法です。

ただし、ファクタリングにはいくつかのリスクや注意点があります。

最大のデメリットは手数料が高いことです。銀行融資と比較すると10~20%以上手数料率が高く、売掛金の一部が差し引かれるため、長期的な利用には向いていません

また、売掛先の信用力が低い場合は利用できないことがあります。

ファクタリング会社は、売掛金の回収リスクを考慮するため、売掛先が倒産する可能性が高い場合や信用情報が悪い場合は、利用できないかもしれません。

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日本政策金融公庫の審査に関するよくある質問

はじめて日本政策金融公庫の融資を申込む際は、さまざまな不安や疑問が出てくるかもしれません。

金利や審査に関する不安など、いくつかのよくある質問にもお答えしていきたいと思います。

日本政策金融公庫の貸付金利はどれくらいですか?

日本政策金融公庫の貸付金利は0.85%〜3.90%です。金利は、融資制度(商品)・資金使途・融資期間などにより異なります。

また、市場の動向に応じて変動するため、最新の金利情報を知りたい場合は、公庫の公式サイトや担当者に確認するといいでしょう。

参考:金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表)|日本政策金融公庫

個人事業主でも無担保・無保証で借りられますか?

借りられます。日本政策金融公庫では、基本的に担保や保証人なしでの融資が可能です。

近年では、公庫に限らず、担保や保証人に依存しない審査を基本とする流れが一般的になっています。

個人事業主は金融庁が定める「経営者保証に関するガイドライン」の対象となっており、公庫はもちろん金融機関やノンバンクでも無保証での融資が一般的になっています。(不動産担保ローンなどを除く)

創業融資の自己資金はどれくらい必要ですか?

自己資金がなくても融資は可能です。

ただし、自己資金を準備しておくことで、審査を有利に進められるのは確かです。

以前は、「申込額の10%程度の自己資金が必要」や「100万円の自己資金が必要」といった基準が存在したようですが、現在は自己資金要件が撤廃されており必須ではありません

一度審査に落ちたら再申込は難しいですか?

再申込は可能ですが、すぐに申込むのではなく、改善策を講じてからのほうが有利です。

公庫の審査に落ちる理由でもっとも多いのが「返済能力不足」です。

審査では、直近の決算書試算表をもとに返済可能性が判断されるため、次の決算期を迎えたあとに利益や所得を計上した上で再申込するのがベストです。

審査で追加の書類提出を求められるケースはありますか?

追加の書類を求められることはあります。

公庫の公式サイトや窓口で案内される書類は、最低限必要な書類ですが、審査の過程で下記のような書類が必要となるケースがあります。

追加提出を求められるケースの例
  • 業種による許認可の確認
    事業の一部で許認可が必要と判断された場合、その許認可証の提出を求められることがある。
     
  • 直近の試算表
    決算から半年以上経過している場合、最新の業績を確認するために、直近の試算表の提出を求められることがある。
     
  • 総勘定元帳
    決算書の勘定科目明細や別表に不備がある場合、総勘定元帳の提出を求められることがある。
    特に、「役員報酬」「長短借入金」「減価償却明細」などの項目が適切に記載されていない場合、補足資料が必要。

日本政策金融公庫の審査に通るには事前準備がポイント

日本政策金融公庫の融資は、中小企業や個人事業主にとって重要な資金調達の手段ですが、審査は決して甘くはありません。

審査を通過するためには、事業計画書財務状況の整理、自己資金の用意がポイントになってくるでしょう。

面談では事業の継続性や経営者の意気込みが問われるため、明確な説明ができるよう準備しておく必要があります。

もし審査に落ちた場合でも、信用保証協会の保証付き融資や、ノンバンクのビジネスローンなどの代替手段を検討し、資金繰りに困らないよう準備しておきましょう。

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