銀行融資の審査は甘い?厳しい?審査基準や通過率を上げるためのコツを法人融資のプロが解説

銀行融資の審査は甘い?

銀行融資を受ける際、「銀行ならではの審査難易度」について、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、銀行融資の審査難易度や、審査通過のコツについて解説します。

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目次

銀行融資の審査は決して甘いとは言えない5つの理由

銀行融資の審査は、決して甘いとは言えません。なぜなら、銀行融資の原資は銀行に預けられた顧客の預金であり、「貸し倒れを発生させず預金を守る」という方針のもとで審査が行われているからです。

審査をスムーズに進めてもらうには、銀行が審査時にどのような考え方をしているのかを理解しましょう。はじめに、銀行の審査が甘いとは言えない下記5つの理由を解説します。

銀行融資の審査が厳しい理由
  1. 融資の原資は顧客の預金|貸し倒れが発生しないことが前提
  2. 倒産リスクを厳しく見るため
  3. 審査通過が難しい案件は後回しにされるため
  4. 特定の業種や他社借入内容によっては融資を敬遠されるため
  5. 赤字や不明瞭な事業計画は審査対象外になるため

理由①融資の原資は顧客の預金|貸し倒れが発生しないことが前提

銀行融資の審査が甘いとは言えないのは、「融資の原資が銀行に預けられた顧客の預金であること」に理由があります。

銀行融資において、万が一貸し倒れが発生すれば、預金者の資産が棄損されるリスクを抱えることになるでしょう。

そのため、審査では貸し倒れを防ぐ目的で、返済能力の調査や資金計画のチェックが念入りに行われます。

理由②倒産リスクを厳しく見るため

銀行の審査が甘くはない理由の一つに、「融資担当者が取引先の倒産リスクを十分に理解しているから」という点が挙げられます。

銀行の支店長や融資責任者は、これまでに融資先が経営難に陥り、倒産に至るケースを数多く経験しています。

その際に発生する融資金の回収の苦労が身に染みているため、「同じ失敗を繰り返したくない」という心理から厳格な審査を実施するのです。

さらに、銀行内では過去の融資失敗事例が共有されており、それに該当すると審査は一層慎重に行われます。融資先が倒産すれば、貸し倒れ損失が出るだけではなく、銀行の信用にも深刻な影響を与えるでしょう。

このような背景から、銀行の審査は「甘い」どころか、徹底的にリスク回避を図る厳しい審査が行われるのが一般的です。

理由③審査通過が難しい案件は後回しにされるため

実際のところ、銀行融資では案件ごとに優先順位がつけられ、「返済能力が乏しい」など審査通過の可能性が低い案件は後回しにされます。

融資の金額が小さかったり、稟議書の作成が難航しそうな案件は、後回しにされてしまい、ますます審査通過が難しくなるでしょう。

理由④特定の業種や他社借入内容によっては融資を敬遠されるため

銀行融資は、対外的に「公平性」をアピールしているものの、実際には特定の業種に対しては融資を行っていません

多くの銀行では融資対象業種を定めており、対象以外の事業者から融資の申込があっても門前払いをします。

具体的には、風俗業・葬儀屋・パチンコ関係・政治関連・貸金業者などは、銀行によっては「要注意業種」として扱われ、門前払いされるか審査通過の難易度が上がります。

理由⑤赤字や不明瞭な事業計画は審査対象外になるため

銀行融資の審査では、「赤字経営の企業」や「資金使途・返済原資が不明瞭な企業」は、そもそも審査の対象として取り扱われないことがあります。

特に、創業から3年以上が経過して赤字を続けている企業は、融資が極めて難しいと判断され、ほぼ審査員落ちするでしょう。

さらに、事業内容や資金使途、返済原資が数字で具体的に説明できない場合も、審査通過は困難です。

銀行の稟議書では、計画や説明が具体的なデータと一致していることが求められ、いい加減な事業計画書や返済計画書では、まず審査通過は難しいでしょう。

ただし、創業後間もない企業の場合は、赤字でも綿密に練られた事業計画が提出され、将来の収益見込みが合理的に説明できれば、融資が承認される可能性があります。

銀行融資の種類

銀行融資には、さまざまな種類があります。無事に審査を通過し、スムーズな融資を希望するなら、「融資の種類ごとの特徴や審査難易度」は理解しておきましょう。

自社の状況に合った融資を見つけることで、よりスムーズな資金調達が可能になります。

プロパー融資:銀行独自の審査基準で行う直接融資

プロパー融資とは、担保や信用保証協会の保証に頼らず、銀行が自らの信用調査や基準に基づいて行う「直接融資」を指します。

プロパー融資融資は、銀行と借り手の信頼関係が重要となるため、他の融資と比較し、もっとも審査難易度が高いのが特徴です。

プロパー融資を受けるためには、以下の条件を満たすことが求められます。

プロパー融資を受けるための条件
  • 経営者の誠実性
    不義理をせず、信頼に足る人物であること
  • 資金使途の明確化
    融資金の使い道や事業改善計画などを具体的に説明できること
  • 自己資金とのバランス
    申込額が必要額の70~90%以内であり自己資本が一定額以上あること(融資額の最低20%以上)
  • 無理のない返済計画
    資金使途に見合った返済計画を提示できること
  • 返済原資の確実性
    返済に用いる原資が明確であり、現実的に達成可能であること

また、プロパー融資は以下のような企業に適しています。

プロパー融資が適している企業
  • 5年以上の業歴があり、銀行と既に融資取引がある
  • 業績が安定しており、黒字経営を続けている
  • 既存の信頼関係がある

一方で、創業間もない企業や赤字経営の企業がプロパー融資を受けるのは現実的ではありません。特に、赤字の企業は、やむを得ない理由や具体的な黒字化計画がない限り、審査に通過するのは困難です。

信用保証付き融資:信用保証協会に保証してもらう融資制度

信用保証付き融資とは、信用保証協会に連帯保証をしてもらい融資を受ける制度のことです。

万が一、融資先が貸し倒れを起こした場合、信用保証協会が代位弁済を行う仕組みになっています。このため、プロパー融資と比較して審査難易度は比較的低いのが特徴です。

信用保証付き融資を受けるためには、以下の条件をクリアする必要があります。

信用保証付き融資を受けるための条件
  • 信用保証協会の条件に適合していること
    業種や事業規模、財務状況が協会の基準に合致していること
  • 信用保証協会の審査を通過していること
    信用保証協会独自の審査を受ける必要がある

    ※銀行の審査は保証協会の審査終了後に行われる

なお、信用保証協会の保証が付いていても、審査が必ず通るわけではありません。

例えば、経営者が不誠実である、または浪費癖があるといったコンプライアンス上の問題が疑われる場合、審査が却下されることもあります。

無担保ビジネスローン:ノンバンクや銀行が提供する最短即日融資も可能な融資

無担保ビジネスローンは、不動産などの担保がなくても借りられるローンのことで、赤字でも借りられるケースがあるなど、比較的借りやすいのが特徴です。

無担保ビジネスローンの特徴
  • 担保不要
    不動産や有価証券などの担保を用意する必要がなく、比較的柔軟に利用できる
  • 審査の速さ
    短期間で審査結果が出るため、急な資金需要にも対応可能
  • 金利の高さと低めの融資限度額
    貸し倒れリスクを織り込んだ商品設計のため、金利が高く設定され、融資限度額も大きくない

無担保ビジネスローンは、短期間で資金調達を行いたい場合や、担保を用意するのが難しい企業におすすめのローンといえます。

担保付き融資:預金や不動産・有価証券などを担保に借りる融資

担保付き融資は、預金や不動産・有価証券などを担保に借りる融資のことを指します。

万が一貸し倒れが発生した場合、銀行は担保物を処分して返済に充当することができるため、プロパー融資に比べて借りやすいのが特徴です。

担保付き融資を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

担保付き融資を受けるための条件
  • 換金しやすい担保があること
    担保物は流動性があり、必要に応じて迅速に換金できること
  • 第三者対抗要件の具備
    担保物に登記を設定できるなど、法的に担保価値を確保できること
  • 資金使途と返済原資の明確化
    具体的な資金使途や返済計画があること

ちなみに、担保付き融資の中で、もっとも一般的なのは不動産を担保とする不動産担保ローンです。

現金や有価証券を担保として差し出せる企業は少ないため、不動産担保が広く利用されています。

ただし、銀行の不動産担保ローンは、不動産価値が保守的に算出されるため、市場価格より低く見積もられることが一般的です。また、担保評価には時間や費用がかかり、担保登記費用も債務者が負担する必要があります。

担保があることで、低金利で借りられる場合もありますが、「担保がある=100%審査通過できる」というわけではありません。赤字の企業の場合、黒字化の具体的な見通しがなければ、担保があっても審査に落ちるのが実情です。

銀行融資の審査で重視されるポイント

銀行融資の審査を通過するためには、銀行が審査で何を重視しているかを理解しておきましょう。

審査では、企業の財務状況や返済能力、資金使途の明確さなどが厳しくチェックされます。

①決算内容:財務状況の透明性と安定性がポイント

銀行融資の審査において、「決算内容」はもっとも重視されるポイントの一つです。不明瞭な科目があったり、代表者の個人的な取引などが含まれていたりすると、審査に落ちることがあります。

決算書で重視される内容
  • 自己資本額・比率
    自己資本額が融資額の50%以上あること。自己資本比率が20%以上であること
  • 業績推移
    安定的な黒字経営が求められる。急激な業績拡大や利益の不安定さがあると審査通過が難しい
  • 不明瞭な勘定科目
    貸付金や未収金、仮払金などの不明瞭な科目が多いと、粉飾決算の疑いを招く
  • 資金流用リスク
    代表者への貸付金や仮払金が目立つ場合は「事業資金を個人的に使っている」と疑われる
  • 役員報酬のバランス
    売上や利益と比較して役員報酬が大きすぎると印象が悪い

事業資金の融資審査を通過するためには、透明性の高い決算書を用意することが必要です。決算書を提出する際は、上記のポイントを意識し、銀行から不信感を抱かれないよう注意しましょう。

②資金使途:資金の使用目的と計画の明確化が重要

銀行融資の審査では、「資金使途が明確に説明されているか?」が重要です。「何に使う資金なのか?」「必要性は?」「自己資金とのバランスは適切か?」なども見られます。

資金使途で重視される内容
  • 使用目的
    運転資金・設備投資・事業拡大など、妥当な目的があるか?
  • 必要額の妥当性
    融資に必要な金額と、その額が必要な理由を数字で示せるか?
  • 自己資金の割合
    銀行は100%の融資を行わない、そのため、必要資金の10~20%の自己資金を用意できるか?

資金使途を明確にし、合理的な根拠を数字で示すことができれば、銀行からの信頼も得やすいでしょう。

③返済原資:返済に無理がないキャッシュフローか?

銀行融資の審査では、返済原資が明確で信頼できるかどうかが重要視されます。銀行は企業のキャッシュフロー(収益+減価償却費)をもとに、返済能力を慎重に検証します。

重視される内容
  • キャッシュフローの安定性
    収益から確実に返済資金を確保できるか?
  • リスク対応
    売上が80%減少する事態になっても返済は可能か?
  • 代替プランの提示
    予期せぬ状況に対応するための補填計画はあるか?
  • 長期的な視点
    短期的な利益だけでなく、融資期間を通じて安定的に返済を続けられる根拠があるか?

事業計画やキャッシュフローをもとに、返済能力を具体的に説明できれば、銀行の審査を有利に進めることができます。

④債務償還年数:借入額により妥当な期間で返済できるか?

債務償還年数も、審査でチェックされるポイントの一つです。債務償還年数は、企業が借入金をどれだけの期間で返済できるかを示すもので、銀行はこの数字をもとに貸し倒れリスクを評価します。

重視される内容
  • 基準
    債務償還年数が「10年未満」であることが重要。10年を超える場合、債務者区分が「要注意先」以下になり、審査落ちの可能性が高まる

    ※債務償還年数の計算式
     債務償還年数=(総借入額ー現預金ー所要運転資金)+キャッシュフロー(経常利益+減価償却費)

    ※所要運転資金=売掛債権+在庫ー買入債務
  • キャッシュフロー
    経常利益に加えて減価償却費を考慮したキャッシュフローの健全性が評価される

債務償還年数=10年未満を達成するためには、過剰な借入を控え、キャッシュフローを強化する必要があります。

銀行融資の審査に落ちる理由

銀行融資の審査に落ちる理由には、共通するパターンがあります。赤字決算や資金使途の不明確さ、代表者や企業の信用問題など、銀行が懸念を持つポイントが審査結果に大きく影響します。

①赤字決算の場合

赤字決算は、審査においてもっとも大きなマイナス要因の一つです。たとえ1円でも赤字が計上されていると、審査が通らない可能性が非常に高くなります

銀行は、利益を返済原資として重視するため、赤字の企業は「返済能力がない」と見なすのです。

さらに、赤字決算の企業は審査の初期段階で「要注意先」に分類される可能性が高く、融資承認の基準を大きく下回ると判断されます。

融資を成功させるには、次回決算での黒字化計画を合理的に説明する必要がありますが、この計画が具体性を欠く場合、銀行からの信頼を得るのは難しいでしょう。

審査通過を目指すためには、赤字の理由を明確に説明し、それを改善するための具体的な施策を事前に準備しておく必要があります。

銀行に「返済の可能性が十分にある」と信じてもらえる資料も必要になるでしょう。

②資金使途が不明確な場合

資金使途が不明確な場合、銀行は融資を行いません

銀行は、融資が具体的に何に使われるのかを正確に把握し、その必要性を確認することを重要視しています。

仮に、1億円の融資を受けられる財務能力がある企業でも、実際に必要な資金が3,000万円であることしか具体的に説明できなければ、3,000万円分の融資しか通らないでしょう。

「できるだけ多く融資してほしい」という曖昧な依頼も、銀行に「準備が不十分である」と判断され、信用を失う原因となります。

審査を通過するには、資金使途を具体的かつ数字で示しなぜその金額が必要なのかを合理的に説明することが重要です。

③代表者個人の借入が多い

銀行は、「企業と代表者」を一体として見るケースも多く、代表者個人の借入が多いと、銀行はその背景にあるリスクを慎重に評価します。

代表者個人の借入が多いと、銀行は下記のような懸念を抱きます。

銀行が抱く懸念
  • 資金流用のリスク
    事業資金が代表者個人の返済に利用されるのではないか?
  • 経営者個人の浪費癖
    経営者に浪費癖があり、経営にも悪影響を及ぼすのではないか?

審査に通過するためには、代表者個人の借入をできるだけ整理し、銀行に「健全な経営を行っている」という印象を与えることが重要です。

④代表者個人が他社で延滞している、債務整理している

代表者個人が他社で延滞をしていたり、債務整理を行っていたりする場合も、大きなマイナス要因となります。

信用情報機関に延滞や債務整理の記録が残っている場合、代表者が経営する企業も同様に「信頼性を欠く」と見なされ、まず審査通過はできないでしょう。

⑤代表者向けの勘定が大きい

代表者向けの勘定科目が大きい場合、銀行は資金流用のリスクや浪費癖の可能性を疑い、より厳しい審査を実施します。

企業の資金が経営者個人に流用されることで、返済能力に悪影響を及ぼす懸念があるためです。

このような状況では、銀行の信用を得ることは難しく、融資審査通過も難しいでしょう。

銀行融資の審査に通りやすくするためにできること

銀行審査を通過するためのコツや対策についても見ていきましょう。

①黒字決算にしてから申し込む

銀行融資の審査を通過するためには、黒字決算を達成した状態で申し込むことが非常に重要です。銀行は融資先の信用格付を重視するため、債務者区分が「正常先」であることが融資の前提となります。

一方で、赤字決算の場合は信用格付が「要注意先」以下に分類される可能性が高くなり、審査通過は極めて困難となります。

融資申請前に、黒字化に向けた財務改善を行い、銀行に対して健全な経営状況を示すことが重要です。

②資金使途、返済原資を明確にして数字で説明できるようにする

銀行融資を通過するためには、資金使途と返済原資を明確にし、数字で具体的に説明できることが重要です。

銀行の担当者は、稟議書で「何にいくら必要か」「どのように返済するか」を上司に説明する義務があり、その内容が曖昧では融資の承認は得られません。

具体的には、必要な資金額とその使い道を詳細に提示し、返済計画についてもキャッシュフローや事業収益の予測を数字で示すことが重要です。これらの情報が揃っていないと、担当者の稟議が通らず、融資審査も進みません。

④代表者向け貸付や仮払金、未収金などの不明瞭な勘定科目は極力きれいにしておく

代表者向け貸付や仮払金、未収金などは、粉飾決算や資金流用の可能性を示す要因と判断されるため、銀行からの信用を得ることが難しくなります。

融資を申し込む前に、これらの勘定科目を整理し、透明性を確保しておきましょう。審査で「怪しい」と思われる要素は極力排除し、健全な財務状況を提示することで審査通過の可能性を高めることができます。

⑤時間に余裕があれば期初(4月、10月)ではなく、期末(9月、3月)に向けて申し込む

銀行融資を申し込む際には、時期を見極めることも重要です。

支店や担当者は、期末(9月や3月)に目標を達成するプレッシャーが高まるため、目標に届いていない場合には、審査基準を多少緩めてでも融資を実行しようとする傾向があります。

そのため、融資を急いでいないなら、8月や2月に融資の相談を始め期末に向けたタイミングで申し込むと審査通過できるかもしれません。

 ⑥融資以外の取引についても言及する

審査を有利に進めるためには、融資以外の取引についても積極的に提案しましょう。

預金の移動決済サービスの利用為替取引、さらには代表者個人の取引など、総合的な取引を銀行に提案することで、担当者も融資稟議を通しやすくなります。

例えば、「融資を実行してくれたら預金を〇〇円移す」「給与振込を集約する」といった提案は、銀行にとって魅力的な交渉材料となります。

銀行は融資だけでなく、総合的に取引を展開する企業を「理想的な取引先」と評価するため、このような交渉は審査通過に大きなプラス要素となります。

銀行融資の申し込みから融資実行までの流れ

銀行融資の申込みから融資実行までの流れも見ていきましょう。

必要な書類や手続き、確認事項をしっかりと把握し、準備を整えることが審査通過につながります。

申込から融資までの流れ

下記が一般的な銀行融資の申込から融資実行までの流れです。各金融機関によって流れは違うため、事前に担当者に確認しておくと良いでしょう。

申込から融資までの流れ
  • STEP①銀行に融資の申し込み
  • STEP②銀行による信用調査、審査
  • STEP③銀行から融資の条件提示
  • STEP④契約手続き
  • STEP⑤融資実行

必要書類

融資には、下記の書類が必要となります。特に事業計画書は作成に時間がかかるため、担当者のアドバイスを受けながら余裕をもって準備する必要があります。

必要書類
  • 融資申込書(融資申込額、資金使途、返済原資、期間、金利、担保条件、希望日などを記載)
  • 3期分の税務申告書と決算書
  • 資金使途に関する資料
  • 事業計画(返済期間分)
  • 担保関連の書類(不動産登記簿謄本、権利証など)
  • 商業登記簿謄本
  • 印鑑証明書

融資審査を有利に進めるポイント

審査を有利に進めたいなら、下記3つのポイントを意識しましょう。

融資審査を有利に進めるポイント
  1. 担当者からの質問には迅速に回答する
    提出書類や申込時の説明だけでは、銀行が稟議書を完成させるための情報が十分でない場合がほとんどです。
    そのため、審査の過程で担当者から追加の質問や資料提出の要求が行われます。
    質問に対する対応が遅れると、審査の進行が滞り、さらに融資実行が遅れます。
    担当者から連絡があった際は、スピーディーかつ誠実な対応を心がけましょう。
     
  2. 融資以外の取引にも積極的に対応する
    他行から預金の移動、給与振込、総合振込などの提案を受けた際には、可能な範囲で対応しましょう。
    銀行は、融資だけの取引しかしない顧客を好みません。預金・決済・為替など、総合的な取引を行う企業は、銀行からの評価が高くなり、金利交渉の材料にもなります。
     
  3. 事業内容を具体的に理解してもらう
    銀行員は、必ずしも専門的な事業知識を持っているわけではありません。
    事業内容や企業の強みを伝える際には、言葉だけでなく実際の商品や工場を見てもらうのがおすすめです。
    実際の現場などを見てもらうことで担当者の理解が深まり、稟議書を作成する際の説得力も高まります。

また、工場見学などを通じて支店長や上席にも直接会える機会を作ることで、優先的に審査を進めてもらえる可能性が高まります。

融資を有利に進めるには、銀行とのコミュニケーションが重要なポイントです。

銀行融資の審査についてよくある質問

銀行融資を検討する際、「赤字でも融資は受けられる?」「審査通過までの期間は?」など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。

銀行融資の審査にまつわる「よくある質問」も見ていきます。

赤字でも融資を受けられますか?

創業後3年未満の企業であれば、しっかりとした事業計画がある場合に限り、赤字でも融資を受けられる可能性があります。

ただし、この場合でも信用保証協会の保証や担保が必要となる可能性が高いでしょう。

一方で、創業後3年以上の企業が赤字の場合、審査を通過することはほぼ不可能です。銀行は、安定した利益を返済原資として重視するため、黒字経営が大前提となります。

審査通過にはどれぐらい時間がかかりますか?

銀行融資の審査には、事業内容や業界分析、財務分析などが必要となるため、1~1.5ヵ月程度の審査時間がかかるのが一般的です。

必要に応じ、追加の質問や資料請求を求められることも多く、想定以上に時間がかかる場合もあります。

融資を検討する際は、時間に余裕をもって事前に銀行とコミュニケーションを取ることが重要です。大型融資を希望する場合は、さらに時間がかかる可能性があるため、早めの準備を心がけましょう。

金利はどれぐらいになりますか?

金利は、融資の種類や返済期間、変動金利か固定金利か、担保の有無などによって異なります。

例えば、担保付き融資では金利が低く設定されることが多い一方で、無担保ビジネスローンなどは金利が高めに設定される傾向があります。

最終的な金利は銀行の判断によりますが、あらかじめ担当者に問い合わせれば、おおよその金利は教えてもらえるでしょう。金利を下げて欲しいなら、融資以外の取引(預金の移動や為替取引、代表者個人の取引など)を提案し交渉してみる方法があります。

融資額はどれぐらいになりますか?

融資が必要な理由や金額を、数字や明確な根拠をもとに具体的に説明できていれば、必要額の70~90%程度が融資されるケースがほとんどです。銀行は、実際に必要な資金額を超える融資は行いません。

したがって、融資の必要性を裏付ける資料が不足しているなど、説得力に欠ける場合は希望額より少ない融資額しか承認されない可能性があります。

また、融資希望額が必要額を大きく超える場合、銀行は「計画が不明瞭」と判断し、審査に落ちる可能性が高くなります。

融資申請時には、必要額を正確に計算し、適切な希望額を提示することが重要です。

返済期間はどれぐらいになりますか?

返済期間は、資金使途によって異なります。以下は一般的な融資期間の目安です。

融資期間の目安
  • 運転資金
    基本的には1年以内の短期融資。長期にわたる場合でも3年程度
  • 決算・賞与資金
    基本的に6か月以内
  • 設備資金
    購入する資産の法定償却年数の範囲内。ただし、実際には5~7年程度が上限

銀行は、資金使途に応じて適切な返済期間を設定することを重視しており、返済能力や事業計画を基に返済期間を決めます。

まとめ|銀行融資における審査通過のポイント

銀行融資の審査通過のポイントをおさらいしておきましょう。

銀行融資の審査通過のポイント
  • 財務の透明性を確保する
    黒字決算を維持し、不明瞭な勘定科目を整理しておく  
  • 資金使途と返済計画を具体化する
    融資に必要な金額や返済原資を数字で説明できるよう準備する
  • 代表者の信用情報に注意する
    代表者個人の借入や延滞履歴がないことを確認しておく
  • 融資以外の取引も提案する
    預金や決済など、総合的な取引姿勢を示す

これらを意識して準備すれば、審査通過の可能性も上がるでしょう。

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