個人事業主として事業を続けていると、開業資金や運転資金など、まとまった資金が必要になることも多いでしょう。
しかし、「個人事業主だと借りられないのでは?「どこから借りればよいのかわからない」など、融資に不安を覚える人も少なくありません。
今回は、「個人事業主でも通りやすい融資」に焦点をあて、公的融資からビジネスローンまで、それぞれの特徴や審査通過のポイント、注意点をわかりやすく解説します。
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個人事業主が融資を受けた方が良いタイミング
個人事業主が融資を受けたほうが良いタイミングはさまざまです。
事業の立ち上げ時や資金繰りに困った時など、適切なタイミングで融資を利用すれば、事業も軌道に乗せられるでしょう。
創業(開業)前や開業直後
開業前後は、もっとも融資が必要なタイミングです。開業資金や当面の運転資金を、自己資金だけで調達するのは難しいかもしれません。
融資を上手に活用できれば、資金面の不安もなくなり、事業に集中できるでしょう。
- 物件取得費や設備投資など、初期費用が必要。
- 開業後に必ず必要となる運転資金などを融資で用意できれば、自己資金を使わずに済み、積極的な事業展開も可能。
- 売上が安定するまでには時間が必要。
- 事業立ち上げ後、資金繰りが厳しくなったタイミングで融資を活用するのがおすすめ。
- 想定外の事態が起き、急な売上減少などもあり得るため、手元資金に余裕があれば、安心して事業を運営できる。
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キャッシュフローの安定化を図りたい時
キャッシュフローに不安があるときは、融資を利用することで安定化を図れます。
建設業や医療関係では、売掛金の支払いサイトが長いため、一時的に資金がショートするケースがあります。そのような時に、資金不足を融資でカバーできれば、事業も円滑に運営できるでしょう。
- 建設業で売掛金の回収が2ヶ月先となり、仕入代金の支払いが先行して発生するケース
- 飲食業で今すぐ仕入れが必要だが、売上入金が翌月末になるケース
設備投資をしたい時
設備投資を検討している場合も、融資を活用すべきタイミングです。
最新設備を導入できれば生産性や品質も上がり、それが売上向上に直結します。競合他社に先立ち、最新設備を導入できれば、市場での競争力も強化できるでしょう。
- 小規模製造業者が、老朽化した機械を新型設備に更新したいケース
- 飲食店が、時短営業や人手不足解消のために、業務用自動調理機を導入したい場合
ただし、設備投資に伴う融資は投資効果を慎重に見極めなければいけません。
金融機関に設備資金を借りる際も、事業計画書をもとに納得感ある説明を求められるでしょう。設備投資によって得られる利益と返済計画をしっかりと示すことで、融資の審査もスムーズに進みます。
事業拡大を図りたい時
事業拡大には多くの資金が必要になるため、融資を積極的に活用するのがおすすめです。
新店舗展開、広告宣伝、商品開発、人材採用など、事業拡張に伴う費用を自己資金でまかなうのは難しいでしょう。
- 新商品開発費用と広告費を確保し、事業拡大を図りたいケース
- 新店舗展開や店舗フロアの増床などを計画する場合
こうした成長のタイミングで資金が不足していると、好機を逃すことにもなりかねません。融資で必要資金を確保できれば、競合他社にも勝る戦略を実行できるでしょう。
ただし、「事業の拡大ありき」にはならないよう注意が必要です。金融機関から融資を受ける際は、事業計画の実現可能性が重視されます。
投資効果が明確であり、収益性や返済計画に裏付けがあるか、経営者自身がしっかり見極めておきましょう。
個人事業主でも通る可能性のある融資・借入先
個人事業主が融資を受ける際には、「審査に通りやすい借入先」を選ぶことが重要です。
開業初期や売上が不安定な時期には、支援を得やすい金融機関や公的機関から優先して検討しましょう。
また、個人事業主は法人と比較して「返済能力が低い」「不安定」と見なされやすいため、比較的審査に柔軟なノンバンクのビジネスローンを利用するのもおすすめです。
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日本政策金融公庫の一般貸付
個人事業主が最も利用しやすい融資先の一つが、日本政策金融公庫です。国が100%出資する政府系金融機関であり、創業期や小規模事業者への支援を目的としています。
- 設備資金、運転資金、コロナ支援など幅広く対応
- 原則として無担保、無保証人で借入可能
- 民間より低金利で、返済条件も柔軟
申込みは、最寄りの公庫またはWebで対応可能です。ただし、確定申告書や事業計画書をもとに、必ず面談が行われるため、面談前までには書類を用意しておきましょう。
公庫は、中小企業支援が存在意義でもあるため、審査基準は民間金融機関よりも柔軟ですが、決して甘いわけではありません。
とりわけ、創業期の申込者は収支計画や市場分析に基づく事業計画が厳しく見られます。
根拠ある数字をもとに説明ができるよう、事業計画書は専門家のアドバイスを受けながら準備しておきましょう。
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信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会は、中小企業や個人事業主の資金調達を支援する公的機関です。融資の際、協会が信用保証人となることで、金融機関の融資を促進する役割を担います。
- 協会が80%の責任を持つ「責任共有制度」により、貸倒リスクを軽減
- 保証料は融資実行時に差引かれ、申込者が負担
- 保証協会と金融機関、双方の審査が必要
保証付き融資は、民間金融機関のプロパー融資より審査基準が緩やかで、自治体の制度融資とも連携しています。
ただし、協会独自の審査基準があり、利用には明確な資金使途と返済計画の提示が不可欠です。
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地方自治体などによる制度融資
自治体が主体となって行う制度融資は、地元の中小事業者を対象にした融資のひとつです。
信用保証協会や金融機関と連携し、利子補給や保証料補助なども行われるため、個人事業主でも返済負担は少ないでしょう。
- 金利が低く、保証料の一部または全額が補助される
- 創業や事業拡大、経営改善など目的別の制度が用意されている
- 自治体によって条件や支援内容が異なる
制度融資を利用するには、自治体の指定窓口(役所・商工会議所)に相談し、申込書類を提出します。
そのあと、信用保証協会と金融機関による審査が行われ、条件を満たせば融資が実行される流れです。
制度融資は地域経済の活性化を目的としているため、地元事業者への支援に手厚く、創業間もない段階でも前向きに検討される可能性があります。
銀行・信用金庫のプロパー融資
プロパー融資とは、金融機関が自らリスクを負って行われる融資です。保証協会の保証がつかないため、事業者の信用力や業績、事業内容が厳格に審査されます。
- 金利や返済条件は事業主の信用力に応じて個別に設定される
- 金融機関が100%リスクを負うため審査は厳しい
- 担保や保証人の有無は金融機関の方針次第
- 安定した売上や利益があることが前提となるケースが多い
審査では、確定申告書や試算表、資金繰り表の内容が精査され、融資後の返済可能性が厳しく重視されるでしょう。
過去の実績や既存取引なども加味されるため、長く付き合いのある地元の信用金庫などは、比較的柔軟に対応してもらえるかもしれません。
一方で、創業直後や赤字決算の事業者にとってはハードルが高いため、信用力に乏しい個人事業主は避けたほうがいいでしょう。
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ビジネスローンや法人カード
金融機関からの融資が難しい個人事業主でも利用しやすいのが、ビジネスローンや法人カードです。
ノンバンクのビジネスローンなら、オンライン契約も可能で即日融資にも対応しているため、急ぎの資金が必要な場面でも利用しやすいでしょう。
- 審査はスコアリング形式で自動で行われるため結果が出るまでが早い
- 融資額は少額、金利は高め。貸倒リスクを金利でカバーするため審査は甘い
- 法人カードは経費決済にも活用でき、限度額内でキャッシングも可能
ただし、ビジネスローンは金利が年10%~18%程度と高く、返済期間も1年以内など短めに設定されるケースがほとんどです。
過剰な借入は避け、計画的な利用を心がけましょう。
法人カードは個人事業主でも発行可能ですが、信用情報や所得状況によって十分な限度額が設定されないことも多いため、大口の資金調達には不向きです。
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個人事業主の融資審査で重視されるポイント
個人事業主が融資を受ける際、金融機関は「融資が確実に返済されるか?」を重視します。
その判断材料となるのが、事業の内容や将来性、事業主本人の経歴や信用情報です。個人事業主の審査では、どのような点がチェックされるのか詳しく見ていきましょう。
事業内容と将来性
事業の実態と成長見込みは、融資の審査においては、もっとも重視されるポイントです。
特に創業間もない段階では、実績ではなく事業計画に現実味があるかどうかが問われます。
【審査で見られるポイント】
審査項目 | 審査で見られるポイント |
---|---|
事業内容 | ・誰に何をどう売るのか?(市場性や提供価値) ・商品やサービスに優位性があるか? ・代表者の経験やスキルと事業との整合性は? |
事業計画と実現性 | ・売上や収支予測は現実的か? ・市場ニーズを踏まえた計画か(市場調査済か) ・事業リスクや外部環境の変化に備えた対策は万全か? |
将来性 | ・業界全体としての成長の余地はあるか? ・差別化された商品やサービスを提供しているか? ・中長期での拡大戦略や展望が示されているか? |
事業主の経験と資質
事業を支えるのは「人」であるため、事業主の資質や経歴も重視されるポイントです。特に創業融資では、過去の職歴と現在の事業の関連性が問われます。
【審査で見られるポイント】
項目 | 審査で見られるポイント |
---|---|
事業経験の有無 | ・業界経験、営業経験などはあるか? ・経営経験があるか? |
経営者としての資質 | ・誠実さ、信頼性はあるか? ・数字に対する理解力は? ・問題発生時の対応力や柔軟性はあるか? |
事業実績 | ・創業からの継続年数や実績は? ・地域や業界における評判や実績は? |
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【テンプレートつき】事業計画書の作り方をプロが解説!融資時に見られるポイントとキャッシュフローの見直し方
信用力
融資を受けるには、事業主自身の信用情報も重要な要素です。事業資金であっても、個人の借入状況や過去の金融事故歴などはチェックされるでしょう。
【審査で見られるポイント】
項目 | 審査で見られるポイント |
---|---|
信用情報の内容 | ・クレジットやローン返済で延滞履歴はないか? ・多額の借入やカード契約が残っていないか? ・借入比率が高すぎないか?(返済能力の妨げにならないか) |
保有資産の有無 | ・預貯金や不動産、有価証券などの保有状況は? ・万一に備えた返済余力はあるか? |
自身の信用力がどう評価されているかは、個人信用情報(CIC、JICC)を事前に開示すればわかります。
手数料はかかりますが、Webでも申込めるため、融資を依頼する際には必ず確認しておきましょう。
※JICC本人開示、CIC本人開示、全国銀行個人信用情報センター本人開示
返済能力
金融機関にとって「貸したお金を確実に回収できるか?」は、もっとも重要なポイントです。収支が安定しており、利益を返済に回しても事業継続できるかどうか厳しく見られます。
【審査で見られるポイント】
項目 | 審査で見られるポイント |
---|---|
収支の安定性 | ・営業所得に基づく利益償還は可能か? ・試算表や資金繰り表の内容に問題はないか? ・キャッシュフローが黒字か?(支出>収入になっていないか) |
事業計画との整合性 | ・いまは赤字でも将来黒字転換を見込める計画があるか? ・一過性の赤字であれば、合理的説明があるか? ・返済原資(利益)と返済スケジュールが合致しているか? |
借入額と返済期間 | ・希望借入額が事業規模や資金使途と整合しているか? ・返済期間に無理はないか? |
個人事業主に対する融資は、連帯保証人無しで進められるのが基本です。そのため、融資を申込む際は、自身に返済能力があることを説明できるように準備しておきましょう。
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【テンプレートつき】返済計画書の作り方をプロが解説!事業資金の融資を成功させるために必要なポイントとは?
個人事業主でも融資に通りやすくする方法
事業資金融資では、審査を有利に進めるためのテクニックも覚えておきましょう。特に必要書類を入念に準備しておくことは、スムーズな審査につながります。
確定申告を済ませておく
確定申告書は、個人事業主の経営実態を正確に示す資料として扱われます。
最新年度の確定申告書を提出できれば、金融機関にも下記のようなアピールができます。
- 事業実績を証明できる
- 売上や経費、所得を客観的に示せる
- 毎年申告を済ませており経営管理能力があることを示せる
- 必要資金の妥当性を説明できる
- 返済可能性を証明できる
金融機関との取引実績を築いておく
金融機関は、融資の可否を判断する際に過去の取引履歴を重視します。審査を有利に進めるためにも、金融機関とは普段から堅実な取引をしておくとよいでしょう。
- 法人口座を開設しておく(事業のメイン口座として利用する)
- 入出金履歴をもとに安定した資金の流れをアピールできるようにしておく
- 延滞は絶対にしない(他社ローンはもちろん既存融資の延滞もマイナス評価)
- 家族の個人口座なども開設しておく(金融機関は「名寄せ」を通じて関連情報を一括で確認するため)
- 金融機関からの依頼(預金や保険契約など)にはできるだけ応える
個人事業主が融資を受ける際に注意すべきポイント
個人事業主が融資を受ける際には、資金使途を明確にし、契約前までに貸付条件をしっかり確認しておきましょう。
資金繰りに困った際は、資金調達に焦ってしまい、金利や返済期間などの条件を甘く見がちです。今後も安定した経営を続けるためにも、諸条件はしっかり確認しておきましょう。
資金使途を明確にしておく
融資にあたっては、資金の使い道をはっきりさせておきましょう。資金使途が明確かどうかは、審査通過の重要なポイントです。
審査の過程では。「借りた資金をどのような目的で使うのか?」が必ず問われます
。融資後も、本来の目的と異なる用途に流用した場合は、契約違反となり一括返済を求められることもあるため注意が必要です。
融資希望額と事業実態に整合性があるかどうかも、確定申告書の内容などから厳しくチェックされます。
設備資金を申請する際には、見積書や収支計画書を添付することで資金使途の妥当性を説明する必要があります。金融機関は、必要以上の融資は行いません。そのため、漠然とした「余裕資金」の申請は避け、具体的な用途を明示しましょう。
無理のない返済計画を立てる
融資を受ける際には、無理のない返済計画を立てましょう。返済計画が非現実的だと、返済途中で資金繰りが悪化し、結果として延滞や倒産リスクを高めてしまいます。
収入が減少する局面でも無理なく対応できるよう、手元資金に余裕を持たせた返済計画を立てることが理想です。
利息負担を避けるために短期での完済を目指すケースもありますが、毎月の返済負担が重くなり、事業運営を圧迫する危険性があります。
返済に余裕を持たせておき、利益や資金に余裕が出た際に繰上返済ができるよう準備しておきましょう。
貸付条件を確認する
融資契約を結ぶ前には、貸付条件の詳細をしっかり確認しておきましょう。
金利や返済期間、保証料や担保の有無など、契約内容を正しく理解していなければ、契約後にトラブルに発展するリスクがあります。
金利手数料を確認する際は、表面金利だけでなく、保証料や事務手数料を含めた実質年率をチェックしておくことが重要です。
据置期間の有無や、返済方法(元金均等返済・元利均等返済)などによっても、キャッシュフローに与える影響が変わります。
理解できない内容があれば、遠慮なく金融機関の担当者に説明を求め、納得したうえで契約に臨みましょう。
個人信用情報や納税状況を整えておく
審査の際、金融機関は申込者本人の信用情報を必ず照会します。過去のローンやクレジットカードの返済履歴が信用情報に記録されており、延滞歴や過剰な借入があれば、審査通過が難しくなります。
申込前までに、自身の信用情報を確認し、不要なカードを解約したり他社借入をできるだけ返済したりするのが理想です。
納税を済ませているかどうかも重要なポイントです。税金の未納や滞納があると、本審査にさえ進めません。
特に、日本政策金融公庫や信用保証協会を利用する場合は、納税証明書の提出が義務付けられているため、期日までに納付を済ませておきましょう。
売掛金があれば個人事業主向けファクタリングでも資金調達できる
資金繰りに悩むなら、ファクタリングも検討してみましょう。
売掛金があるなら、ファクタリング業者に買い取ってもらい現金化することも可能です。ただし、ファクタリングには手数料が高いなど、いくつかの注意点があります。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、期日前に現金化する方法です。借入ではないため、利息ではなく手数料が発生します。
- 売掛債権をファクタリング会社に譲渡する。その後、手数料が差し引かれて現金が振り込まれる
- 売掛金の入金前に現金化が可能
- 返済義務のある借入ではなく債権の譲渡取引になる
- 事業者の信用力ではなく売掛先の信用が重視される
利用者の信用調査がないため、赤字決算や税金未納などが理由で融資が難しい場合でも、ファクタリングなら審査に通る可能性があります。
ファクタリングのメリットデメリット
ファクタリングの最大のメリットは、資金化までのスピード感と、信用調査がない点です。売掛先の信用度に問題がなければ、最短即日でも現金化は可能です。一方で手数料が高い点や、取引形態によっては売掛先に知られるリスクはデメリットといえます。
- 売掛金を即時現金化できる
- 借入ではないため信用情報に記録が残らない
- 赤字や税金未納でも利用できる
- 手数料が高い(3社間ファクタリングより2社間のほうが高い)
- 売掛先との関係が悪化するリスクがある(3社間ファクタリングでは取引先に通知される)
- 契約書や条件をよく確認しないとトラブルになる可能性がある
ファクタリングは手数料が高いため、利用が常態化しないよう注意しましょう。長期的な借入には、公庫融資や金融機関の事業融資がおすすめです。
個人事業主がファクタリングを利用する流れ
ファクタリングを活用するには、売掛債権があることが前提条件となります。契約形態には「2社間」と「3社間」があり、用途や状況に応じて選択する必要があります。
- 請求書など売掛を証明する書類を用意する
- ファクタリング会社へ申込、必要書類提出
- 審査(通常は数時間〜2営業日程度)
- 契約・入金(取引方式により異なる)
2社間ファクタリングでは、売掛先に通知は行われませんが、手数料が高くなる傾向があります。
それに対して、3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要となるものの、取引の透明性が高く手数料が低いのがメリットです。
急ぎで資金が必要な場合や売掛先に知られたくない場合は2社間、コストを抑えたい場合は3社間を選択しましょう。
ファクタリング利用時の注意点
ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、利用には慎重さも求められます。とくに2社間ファクタリングでは、高額な手数料が必要になることも多く、十分な確認が必要です。
- 手数料が高いためキャッシュフローを圧迫する
- 契約内容を必ず確認しないとトラブルに遭うリスクがある
- 売掛債権の金額や取引先の信用度によっては利用できないケースがある
- 信頼できる事業者を選ぶことが重要
ファクタリングを繰り返し使うと収益を圧迫するリスクもあるため、あくまで緊急時の手段として上手に活用しましょう。
自宅などの不動産があれば個人事業主でも不動産担保ローンを利用できる
不動産を保有している個人事業主なら、その不動産を担保に提供することで、高額かつ低金利の融資が受けられる場合があります。
不動産担保ローンは、信用力や事業実績に不安がある個人事業主でも利用できる場合があり、運転資金や事業拡大に必要な資金確保にも役立ちます。
不動産担保ローンのメリットデメリット
不動産担保ローンの最大のメリットは、高額かつ長期融資が利用できる点です。
不動産の担保価値が十分であれば、数千万円規模の融資も可能で、金利も低めに設定されます。信用力に乏しい個人事業主や、一時的に事業が低迷している事業者でも、担保があれば借りやすいでしょう。
一方で、登記費用や事務手数料などの諸費用が発生することに加え、融資までの手続きに時間がかかる点はデメリットです。
さらに、返済不能となった場合には不動産を失うリスクがあるため、慎重な判断が求められるでしょう。不動産の種類や所在地によっては担保評価が下がり、希望金額に届かないケースもあります。
個人事業主が不動産担保ローンを利用するときの注意点
不動産担保ローンを利用する際には、いくつかの注意点があります。諸費用が発生する点は特に注意が必要で、利息を含めた総コストを試算しておきましょう。
各種手数料は業者によって条件が大きく異なる場合があるため、複数社を比較検討することも大切なポイントです。
さらに、貸金業法における「総量規制」にも注意しましょう。
不動産担保ローンは総量規制の対象外ですが、自宅を担保に設定した場合は総量規制の対象となる可能性があります。(貸金業者からの借入のみ)
総量規制は、個人の生活を守るためにできた規制です。自宅を担保にすると総量規制の対象になるのは、「自宅がなくなると生活が脅かされるリスクがある」と判断されるためです。
自宅を担保にする場合は、総量規制の適用を受けない、銀行や信用金庫などの金融機関を選びましょう。
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個人事業主の通りやすい融資に関してよくある質問
個人事業主がはじめて事業融資を申込む際は、「審査に通りやすいところは?」「公庫でも審査に落ちる?」など、さまざまな不安がよぎることも多いでしょう。
最後に、個人事業主が融資を受ける際のよくある質問についてもお答えしていきたいと思います。
個人事業主が審査に通りやすい銀行はありますか?
断言はできませんが、一般的にはメガバンクよりも地方銀行、地方銀行よりも信用金庫のほうが、柔軟な審査をしてくれます。
ただし、どの金融機関にも独自の審査基準があり、回収の見込みが立たない融資は決して実行されません。
金融機関のスタンスや地域特性によって「通りやすさ」に差はあるものの、それはあくまで傾向に過ぎず、融資の可否は個別案件ごとに判断されます。
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日本政策金融公庫の個人事業主向け融資の審査は甘いですか?
日本政策金融公庫の審査は、決して甘くありません。ただし、民間銀行と比較すると支援の要素が入ることから、審査は柔軟です。
その柔軟性から「審査が甘い」と誤解されることもありますが、実際には公庫独自の審査基準が存在し、返済能力に問題がある場合は容赦なく否決されます。
公庫の融資を受けるには、提出資料を丁寧に準備し、面談では誠意をもって臨みましょう。
個人事業主が必ず借りられるビジネスローンはありますか?
「必ず借りられる」ビジネスローンは存在しません。ただし、ビジネスローンのなかには個人事業主を対象にしている商品もあり、ノンバンクが提供する融資であれば、銀行よりは借りやすいでしょう。
個人事業主が融資を受ける際に提出すべき書類は?
個人事業主が融資を受ける際には、本人確認書類、確定申告書や納税証明書などの収入証明、そして事業の実態を証明する各種資料が必要です。
たとえば、開業届、許認可証、試算表、事業計画書、資金繰り表、預金通帳のコピーなどは必須で求められるでしょう。設備資金であれば、見積書や契約書、場合によっては賃貸借契約書も必要です。
自己資金がない個人事業主でも融資は受けられますか?
自己資金がなくても融資を受けることは可能です。多くの融資商品には自己資金要件が設けられていません。
ただし、自己資金があればあるほど、「計画性」や「資金管理能力」の面で好評価となり、審査も有利に進められます。
特に創業融資の場合は、自己資金があると審査通過しやすいため、必要資金の30%程度は用意しておきましょう。(例:1,000万円の資金が必要なら、自己資金は300万円)
個人事業主が融資で成功するには事前準備がポイント!
個人事業主が事業資金を借りる際は、「審査に通りやすい銀行」や「確実に借りられるローン」だけに注目するのではなく、事業内容や返済能力を客観的に示し、金融機関とは誠実に向き合いましょう。
融資制度の仕組みや提出書類、必要な自己資金の額などを正しく理解し、入念な準備を行うことが、審査通過のポイントです。
融資担当者から「信頼される事業者」として認識してもらえるよう、事前準備を徹底してから申込みましょう。