「エンジェル投資」とは、スタートアップ企業などに出資し、投資先企業が上場したり売却されたりしたときに利益を得る投資方法のことです。
ちなみに中小企業庁公式資料「エンジェル税制の実績(投資額・企業数)」によると、2021年度のエンジェル投資額は約126億円となり、10年前と比較すると約12.6倍に増えていることがわかります。
(※投資額はエンジェル税制対象件数のみ)
【中小企業庁公式データより】
2011年度 | 2022年度 | |
---|---|---|
投資額 | 9億9千8百万円 | 126億3千6百万円 |
エンジェル投資には「大きな利益を得られる」という夢がある一方で、さまざまなリスクも存在します。
今回は、エンジェル投資の仕組みやメリットデメリットについて詳しく解説します。
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本人確認が済んでいる起業家はある程度信頼できるので、投資先を探す際の一つの指標になります。
単純に投資先を探す手段としても有用ですし、自社の新規事業を任せる社長を見つけるために利用するという方法も投資家にとっては大きなメリットになります。
エンジェル投資家が儲かる仕組み
エンジェル投資家が儲かる仕組みは、おもに「キャピタルゲイン」によるものがほとんどです。
投資先企業が株式市場に上場し株式価値が上がると、投資家は株式売却益を得られます。
上場されなかったとしても、企業売却時の評価額が上がっていれば売却益を得ることも可能です。
ただし、すべてのエンジェル投資家がキャピタルゲインだけを求めているかというと、そうではありません。
「社会的意義がある事業に投資をして社会貢献する」または「リスクを承知したうえで起業家を応援する」といった目的で投資するエンジェル投資家もいます。
- 投資先がIPO
- 投資先が事業を売却
投資先がIPOした場合
エンジェル投資でもっとも大きな利益を出せるのが、投資先の企業がIPOしたときです。
米国のGoogle社も創業時はエンジェル投資を受けており、上場時30ドル程度だった株価は、現在130ドルを超えています。(2023年8月3日現在)
上場前に投資をしていたエンジェル投資家は、実に4倍以上の利益を得た計算になります。
ただし投資先企業が上場する保証はありませんし、上場したとしても株価が上昇するとは限りません。
そのためキャピタルゲインだけを目的にエンジェル投資をするのは、かなりリスクがあるといえます。
投資先が事業を売却した場合
株式公開されなかったとしても、投資先企業が他企業に買収される(事業売却含む)ことにより利益を得る方法もあります。
M&Aにより企業売却が行われると、エンジェル投資家は売却価格で株式を売れるようになります。
ただし事業売却で利益を得るには、売却時の株式評価額が投資額を上回っていなければいけません。
投資後に企業価値が下がり売却損が出るケースもあるため、リスクを理解したうえでの投資が必要です。
エンジェル投資のメリット
エンジェル投資には下記5つのメリットがあります。
- 上手くいけば数十〜数百倍のリターンを得られる
- 有望なスタートアップの経営に参加できる
- 「エンジェル税制」で節税効果にもつながる
- 他の投資家やVCなどの人脈が広がる
- スタートアップ情勢に詳しくなり良い投資先を見つけやすくなる
エンジェル投資のメリットは利益だけではありません。
ハンズオン投資により直接経営に参画できたり、ほかの投資家との人脈を広げられたりする点は、エンジェル投資ならではのメリットといえるでしょう。
上手くいけば数十〜数百倍のリターンを得られる
エンジェル投資の最大のメリットは、投資先企業が上場したり売却されることで得られる利益です。
特に投資先企業が株式公開した場合の株価は、非公開時の株式評価額よりも高く設定されるのが一般的です。稀なケースかもしれませんが、数十倍~数百倍の利益を得られるケースもあります。
また、次の2つの方法で利益を得ることも可能です。
①企業売却…投資先企業が売却されると、投資家は売却価格に基づき利益を得られる。ただし企業業績はもちろん、市場環境や買収企業の評価により利益が増減するリスクがある。
②M&A(合併・買収)…投資先企業が他企業により買収(または合併)されたときに利益を得る方法。ただし売却時と同じく、M&Aをされたときに企業価値評価が下がっていると利益は出ない。
有望なスタートアップの経営に参加できる
将来有望なスタートアップ企業の経営に参加できる点も、エンジェル投資のメリットです。エンジェル投資家のなかには、特定の分野に精通している人や豊富な人脈を持つ人も少なくありません。自身の経験や人脈を活かし、投資先企業の発展に直接関与できる点は、エンジェル投資家ならではの魅力といえるでしょう。
投資家自身も経営に参画することで、新たなネットワークを開拓できるメリットもあります。新しい視野で経営に参画し、自身の経営スキルなどをさらに磨くことも可能です。
「エンジェル税制」で節税効果にもつながる
エンジェル税制を利用すれば、エンジェル投資での「①投資時点」「②株式売却時点」の両方で税制上の優遇措置が受けられます。
①ベンチャー企業へ投資した年に受けられる優遇措置…投資額を所得から控除できる
②未上場ベンチャー企業株式を売却した年に受けられる優遇措置…株式売却による損失を株式譲渡益と相殺できる
他の投資家やVCなどの人脈が広がる
他のエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)との人脈を広げられることも、エンジェル投資のメリットのひとつです。
他の投資家との交流があれば、新しい視点に気づけたり新たな投資先を見つけられたりする機会を得られます。
また投資の初期段階ではVCが参入してくることもあり、VCとの関係を作ることで将来の投資機会の創出にも繋がるかもしれません。VCとの新たな人脈は投資家自身のビジネス活動や事業アイデアの想像に大きく寄与します。
スタートアップ情勢に詳しくなり良い投資先を見つけやすくなる
エンジェル投資をするとスタートアップ情勢に精通でき、あらたな投資先を見つける能力が磨かれます。投資先企業の事業内容や将来性、さらには市場環境などをリサーチすることで投資判断力も磨かれるでしょう。
エンジェル投資は大きな利益が得られる夢がある一方、投資額を失うリスクもあります。ひとつの企業に固執するのではなく、投資判断力を磨き複数の企業に投資すればリスクも低減できるかもしれません。
エンジェル投資の注意点
エンジェル投資をする際は、下記3つのポイントにも注意しなければいけません。
エンジェル投資は「リスクマネー」とも呼ばれます。投資をする場合には、いくつかのリスクを許容したうえで投資額を決めるようにしましょう。
- 投資先が倒産・解散するリスクも高い
- リターンが出るまでに最短でも約5年はかかる
- 小口で投資できないことも多い
投資先が倒産・解散するリスクも高い
エンジェル投資の最大のリスクは、投資先企業の倒産(解散)です。投資をしても事業が軌道にのらず、倒産してしまうケースも少なくありません。
事実、帝国データバンクの資料によると2022年度の企業倒産件数は前年比+6%の6,000件を超え、負債総額も2兆円を超えています。
【2022年倒産件数と負債総額※帝国データバンク調べ】
倒産件数 | 6,376件(前年比+6.0%) |
負債総額 | 2兆3723億8千万円(前年比+103.0%) |
エンジェル投資で投資先を選ぶ際には、下記の基本的な要素を細かくチェックするようにしましょう。
・市場価値…投資先企業がおかれている市場に将来性はあるか?
・経営者の考え方…経営者のビジョンに賛同できるか?
・財務状況…事業の収益性やキャッシュフローなどは安全か?
・経営アドバイスの可能性…自身の経験を活かした経営の参画は可能か?
リターンが出るまでに最短でも約5年はかかる
エンジェル投資は、リターンを得るまでに時間がかかる投資方法です。
エンジェル投資で利益を得る方法としては、株式上場や企業売却、または配当などの手段があります。いずれも企業経営が安定し利益を出せるようにならないと実現しないため、リターンを得るには「最短でも5年はかかる」と考えておきましょう。
また株式上場を果たすには、一定額の資本を確保したり連続して利益を出したりすることはもちろん、コーポレートガバナンスを整備する期間も必要です。
短期的に利益を得られる株式投資などと比較すると回収期間が長いため、十分なリスクヘッジをしたうえで投資計画を立てる必要があります。
小口で投資できないことも多い
エンジェル投資は、小口投資ができない点にも注意が必要です。
個人投資家のエンジェル投資では、通常100万円~1,000万円程度の投資が行われるのが一般的です。また、エンジェル投資ではリスクヘッジのため複数の企業に投資するケースが多く、1社あたりの投資額が少なくてもトータル投資額は大きくなりがちです。
エンジェル投資はリスクが高く投資額も高額ですので、余剰資金で投資ができるかどうかの見極めが重要となります。
エンジェル投資家になるために必要なこと
エンジェル投資をするには、法的知識や業界知識、人脈が必要です。投資額も高額になるため、知識を持たないギャンブルのような投資はおすすめできません。
- 投資条件でトラブルにならないための法知識
- ハンズオンなら経営陣をサポートするための事業知識
- 良い投資先を見極めるための知識や人脈
投資条件でトラブルにならないための法知識
エンジェル投資には、法律に関する基本的な知識が必要です。投資をする際には、出資契約や株主間契約・資本業務提携に関する契約など、さまざまな契約手続きが伴います。
契約書の内容にも精通している必要があるため、法的知識に乏しい場合は弁護士事務所や企業投資の専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。
契約条件や企業の設立形態、財務状況などの理解が不足していると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
投資先や投資額を決める際には、投資先企業の経営状況や事業計画の実現性について調査する「デューデリジェンス」も必要となります。事業の将来性はもちろん法律上のリスクも調査しなければならないため、専門家のアドバイスを求めるようにしましょう。
ハンズオンなら経営陣をサポートするための事業知識
投資家自身が経営に参画するハンズオン投資においては、経営陣をサポートするための専門知識が必要になってきます。
エンジェル投資では、投資家自身が培った経験を活かして後進企業に投資するケースも多いでしょう。特定の業界での高い経験値があれば、自身の人脈を活用した有益な経営アドバイスも可能になります。
【ハンズオン投資で必要な知識】
・業界の知識…投資先企業の業界専門知識、市場環境、競争環境に関する知識
・企業運営に関する知識…経営・財務管理やマーケティング戦略に関する知識など
・事業戦略に関する知識…投資先企業の成長戦略の策定やアドバイス
良い投資先を見極めるための知識や人脈
投資先として相応しいかどうか判断するための知識や人脈も必要です。自分ひとりで判断するのではなく、業界関係者や他の投資家の意見も取り入れると、投資リスクもおさえられるでしょう。
例えば次のような人脈があると、投資判断に役立てられるかもしれません。
【エンジェル投資に必要な人脈】
・専門家…特定の業界に精通した専門家に人脈があれば経営に関するアドバイスが聞け、協力を依頼することも可能
・投資家やVC…他の投資家やVCなどに人脈があれば、投資判断に役立つ意見をもらえる
・弁護士やコンサルタント…法律などの専門家とのつながりがあれば、トラブルが発生したり法的リスクに関するアドバイスを受けられる
エンジェル投資家が良い投資先を探す方法
エンジェル投資家が有望なスタートアップを見つけるためのアプローチは多岐にわたります。
以下に、その具体的な方法をいくつかご紹介します。
- スタートアップのピッチコンテスト
- 起業家と投資家の交流イベント
- エンジェル投資専門のマッチングサイト
スタートアップのピッチコンテストで探す
スタートアップ企業などが自社のビジネスモデルについてプレゼンを行う「ピッチコンテスト」に参加すれば、良い投資先を見つけられるかもしれません。
例えば、公益財団法人大阪産業局が運営する「大阪イノベーションハブ」では、VCや投資家などに向けた起業イベントを年に数回開催しています。
各地のピッチコンテストでは、起業家・エンジェル投資家・メディアなどが交流を持てるイベントも開催されていますので、起業家たちのビジョンを直接聞きながら適切な投資判断ができるでしょう。
起業家と投資家の交流イベントで探す
ピッチコンテストと似た部分もありますが、起業家と投資家が集う交流イベントで投資先を探す方法もあります。
東京都が開催する「TOKYO STARTUP GATEWAY」では、若き起業家とエンジェル投資家が交流できる機会が設けられています。
同イベントの応募者は累計1万件を超えていますので、数多くの起業家たちと出会うことで理想の投資先を見つけられるかもしれません。
交流イベントに参加するメリットは「起業家と一対一でコミュニケーションが取れること」です。
イベントでスタートアップ企業の経営ビジョンやチームの動力を直接感じることができれば、適切な投資判断につながるでしょう。
エンジェル投資専門のマッチングサイトで探す
エンジェル投資専門のマッチングサイトで投資先を見つける方法もあります。
マッチングサイトに登録すれば投資家を探している企業と直接コンタクトが取れますし、投資先を比較検討できます。
日本最大級の投資家マッチングサイト「FEATUREStartupList」なら、起業家や事業内容を自由に検索できますし、スタートアップ企業などと自由に交流できるイベントにも参加できます。
大手マッチングサイトは独自の審査基準をクリアした起業家だけが登録できる仕組みになっているため、安心して投資先を探せるでしょう。
ただしマッチングサイトを通じて投資をする場合は、手数料がかかったり最低投資額が100万円以上になったりするなど、金銭的な制限がある点には注意が必要です。
エンジェル投資先を探すならFounderがおすすめ
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また、Founderでは起業家が身分証などを登録して本人確認をすることができます。本人確認が済んでいる起業家はある程度信頼できると考えられるので、投資先を探す際の一つの指標になります。
起業家のプロフィールには希望調達額や事業内容などが掲載されており、その中から気になった起業家にメッセージを送ることができます。
- プロフィール写真(未登録もあり)
- 本人情報(性別、年代、創業年など)
- 希望調達金額
- 自己PR
- 事業計画・事業内容
- 投資の内訳・起業の際の必要物
- 予想収益
- 投資家への還元方法 など
リストを見る際は無料ですが、その後気になった起業家にメッセージを送る際は有料となります。
単純に投資先を探す手段としても有用ですし、自社の新規事業を任せる社長を見つけるために利用するという方法も投資家にとっては大きなメリットになります。
まとめ
エンジェル投資はリスクが高い投資手段ですが、市場価値の高い投資先を選んで適切な管理を行えば高いリターンを得られる可能性もあります。
リスクを最小限におさえるには、法律や業界の知識を持つのはもちろん、投資家やVCの人脈も必要です。
エンジェル投資は、利益だけではなく社会貢献や起業家応援の意味合いが強い投資方法です。エンジェル投資をする際には、投資を通じてイノベーションを推進する役割を担うことも視野に入れて、投資するかどうか見極めるようにしましょう。
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