商工中金融資の特徴は?審査基準や銀行融資との違いを解説

商工中金(株式会社商工組合中央金庫)は、中小企業支援を目的とする政府系金融機関として、他の金融機関とは異なる独自の融資を提供しています。

今回は、商工中金の融資の特徴や審査基準銀行や日本政策金融公庫との違いなどについて詳しく解説します。

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目次

商工中金(商工組合中央金庫)とは?

商工中金は、中小企業の資金ニーズに応える政府系金融機関のひとつです。

設立の背景や融資対象、金利水準などの面で、民間の金融機関とは違う一面があります。

一般的な事業者が利用できるかも含め、商工中金の概要から見ていきましょう。

商工中金の設立目的と役割

商工中金(商工組合中央金庫)は、昭和11年に設立された政府と中小企業団体による共同出資の半官半民金融機関です。

経済産業省や金融庁、財務省の監督のもと、主に中小企業への融資を目的として設立されました。

参考:商工中金のあゆみ

従来は10社以上で構成する同業組合を通じた融資が基本で、組合員間での責任共有が前提とされていましたが、近年では個社ごとの融資案件も増加しています。

現在は民営化に向けた動きも進行中で、体制の変化も注目されています。

※連座制:組合員の一社で事故があったら責任を取り合うイメージ

融資の対象

商工中金の融資対象は、主に商工中金の株主団体に属する中小企業です。

形式上は広く門戸を開いているものの、個人事業主への融資は難しく、実際は「法人格のある一定規模以上の企業」にのみ融資をしている実態があります。

審査通過には年商数億円、粗利ベースで1億円程度が一つの目安とされ、新規取引や飛び込み案件には消極的です。

また、製造業や運輸業など伝統的な業種に重点を置いており、IT業界など成長が不確実とされる分野には慎重な姿勢をとります。

なお、教育資金など事業目的外の融資は取り扱いがありません。

商工中金の金利や融資額

商工中金の金利は、市中銀行と日本政策金融公庫の中間程度で、一般的に1.5〜2%台と低めに設定されています。

ただし案件によって金利が変わる点と、信用保証協会を利用する関係から、別途保証料(約1.5%前後)が必要な点には注意が必要です。

融資額は担保に左右されるものの、制度上の明確な上限は設けられておらず、中小企業のニーズに応じて柔軟な対応が行われています。

返済期間は、設備資金で15年以内(据置2年以内)、運転資金で10年以内(据置2年以内)が原則ですが、実際には短期継続での運用が中心です。

信用金庫や信用組合と比べても、融資規模・条件ともに競争力のある内容といえるでしょう。

商工中金の主な融資制度

商工中金は、中小企業の多様な資金ニーズに応えるため、一般融資から各種制度融資まで幅広い融資を用意しています。

創業支援や有事対応の融資など、商工中金の主な融資制度について見ていきましょう。

一般融資

商工中金は、設備資金や運転資金融資、手形割引による融資を提供しています。

返済期間は設備資金で15年以内、運転資金でも10年以内となっているため、余裕をもった返済ができるのが特徴です。

参考:商工中金公式サイト「一般的な融資」

組織化、組合共同事業支援のための融資

商工中金では、中小企業の組織化や協業を金融面から支援する融資制度が複数用意されています。

例えば、「協業化・共同化融資」では、工場や店舗、倉庫の集団化、商店街の近代化といった共同事業に対し必要な資金を融資。

また「中央会推薦貸付」では、都道府県中小企業団体中央会からの推薦を受けた組合や組合員に対し、設備資金や運転資金を提供しています。

対象となるのは、地域資源の活用やBCP支援、女性の社会進出など、共通の支援テーマに取り組む団体です。

さらに「組合特別貸付」では、賞与支払などに必要な短期運転資金を、組合または組合を通じて中小企業に対して融資をしています。

参考:商工中金公式サイト「組織化、組合共同事業支援のための融資」

創業融資

商工中金では、原則として直近3期の決算書が必須であるため、スタートアップ企業向けの創業融資には消極的です。

しかし、季節や施策に応じて一時的に創業向けプランを提供することがあります。

一般的な融資額は信用保証協会枠内(最大8,000万円)ですが、実態としては2,000~3,000万円程度が中心です。

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資本性劣後ローン(有事の制度融資の一例)

商工中金は、有事対応の制度融資として「資本性劣後ローン」を提供しています。

倒産した時は、ほかの負債より返済の順位が後回しになるため、金融機関からは自己資本とみなされるローンです。

融資額は、中小企業向けで最大7,200万円。災害やコロナの影響で、自己資本が減少した企業の財務強化には有効な融資制度といえます。

ちなみに、コロナ時の資本性劣後ローンについては、商工中金も窓口となっていましたが、案件のほとんどは公庫が担っていました。

各都道府県の制度融資

商工中金は、国や自治体の政策に基づく各種制度融資にも対応しています。

リーマンショックや東日本大震災、コロナなどの有事に対応する特別窓口も設置されており、制度支援の種類は19以上(2025年2月時点)あります。

地方自治体の制度融資も含め、地域中小企業の資金調達を幅広く支援しているのが特徴です。

参考:商工中金公式サイト「国、地方公共団体の施策に基づく対応」

各業界団体への制度融資

特定業界団体を対象とした制度融資も用意されています。

業界別制度融資の例
  • バス事業への融資
    公益社団法人日本バス協会から融資の斡旋を受けた協会会員事業者が対象
     
  • 自動車整備業への融資
    日本自動車整備商工組合連合会会員組合の組合員が対象
     
  • 造船関係事業への融資
    公益財団法人日本財団が指定する造船関係団体に加入している造船業を営む事業者が対象

各業界団体に所属していることが前提となりますが、通常融資より低金利で利用できるのが特徴です。

参考:商工中金公式サイト「業界団体の制度融資」

商工中金で融資を受けるメリット

商工中金には、一般的な金融機関にはない特徴があります。

金利面での優位性に加え、金融機関からの評価が上がる点など、商工中金の融資には数多くのメリットがあります。

金利が低い

商工中金は政府系金融機関として政策金利に基づいた融資を行っているため、信用金庫や信用組合と比較しても金利水準が低く設定されています。

一般的な融資利率は1.5%前後からで、事業資金融資としては金利面で大きなメリットが受けられるでしょう。

ただし、担保がない場合は信用保証協会の保証が必要となり、その際は融資額の1.5%程度の保証料が別途発生します。

また、保証人を立てるように言われる場合もあり、条件によっては追加負担が生じる点も認識しておく必要があります。

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他の金融機関の見る目が変わる

商工中金から融資を受けている企業は「しっかりとした審査を通過した企業」として、ほかの金融機関からの信頼を得やすいというメリットがあります。

金融機関からの信頼度が上がると、プロパー融資も受けやすくなるでしょう。

商工中金の融資審査は厳しく、必要書類の面で見ても一般的な金融機関と比較し、「書類の量」「質」ともに高いレベルのものが求められます。

2017年に起きた不正融資事件以降、審査体制が一層厳格化されているため、厳しい審査を通過した企業なら、なおさら「信頼できる企業」として見てもらえるでしょう。

経営に関するサポートが手厚い

商工中金の融資を利用していると、商工中金側から関連団体や組合への加入を勧められるケースがあります。

これにより、所属先の顧問税理士や専門家と連携しながら、財務面や経営面でのアドバイスが受けられるのもメリットのひとつです。

商工中金の担当者は、経営の実務能力や業界知識に優れています。

商工中金との取引を通じ、経営者としての視野や判断力が磨かれる点も、他の金融機関にはない特徴といえるでしょう。

商工中金が民営化した時のメリットも大きい

商工中金は、半官半民ともいえる金融機関ですが、将来的には民営化の方向性が示されています。

早い段階から商工中金との関係性を築いておけば、民営化した時に、融資の拡大や新たな金融商品を優先的に案内してくれる可能性もあるでしょう。

商工中金で融資を受ける際の注意点

商工中金は「金利の低さ」や「信用力アップにつながる」というメリットがある一方で、利用にはいくつかの注意点があります。

提出書類が多く審査も厳しい

商工中金の審査は、他の金融機関と比較しても特に厳しいことで知られています。

2017年に発覚した不正融資問題を契機に、書類審査の基準が一層厳格化され、現在では「もっとも厳しい金融機関」とも言われています。

融資を申込む際には、所定の申込書類に加え、資金繰り表や経営計画書など、独自資料の提出も求められます。

さらに「然るべき書類を提出してほしい」と抽象的に求められることもあり、その際は「商流図」や「組織図」など、企業の実態を可視化するための書類を提出しなければいけません。

年間の組合費がかかる

商工中金の融資を受けるには、基本的に中小企業団体や業界団体への所属が前提です。そのため、所属団体に応じた入会金や年会費が発生します。金額は団体によって異なりますが、年間で数万円の支払いが発生する点は覚えておきましょう。

融資担当者との交渉が面倒

商工中金では、融資の実務担当との交渉が面倒になることがあります。

民間の銀行であれば、支店担当者や支店長が本部との調整役となって、企業側の事情を汲みながら進めてくれるケースがほとんどです。

その点、商工中金は現場担当者が直接案件を判断し進めていくため、時に強い物言いになることがあるのです。

商工中金との交渉に慣れていない経営者にとっては、その対応が重荷に感じるかもしれません。

商工中金融資と他の金融機関融資との違い

中小企業が融資を検討する際には、商工中金だけでなく、銀行や日本政策金融公庫、信用金庫など複数の選択肢があります。

それぞれに制度や特徴の違いを見極め、自社にマッチした融資を選びましょう。

銀行融資との違い

商工中金は政府系金融機関であり、政策金利をベースにしているため、一般の民間銀行と比べて金利水準が低く抑えられています。

一方、銀行は長期融資での金利収入を重視しており、期間の長い設備資金や大型プロジェクト向けの融資に適しています。

融資額においても、数億円単位の資金調達であれば銀行の方が対応力が高いかもしれません。また、銀行融資は「担保ありき」で話が進む点も覚えておきましょう。

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公庫融資との違い

商工中金と日本政策金融公庫は、それぞれ「政府系金融機関」という意味では同じです。

しかし、運用体制や融資の仕組みに違いがあります。

公庫は融資専門機関であり、預金口座を持たない一方、商工中金は預金機能を併せ持ちます。

金利面は同様に政策金利が適用されますが、公庫は信用保証協会を介さずに融資を行うのに対し、商工中金は信用保証協会を通じて保証を得る必要があります。

また、公庫では保証人不要で融資が受けられるケースも多いですが、商工中金では保証人の提示を求められる場合があります。

融資額については、公庫が制度上の上限を設けているのに対し、商工中金は信用保証枠の範囲内で柔軟に対応するため、公庫よりも高額融資が受けられる点が違いです。

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信金融資との違い

信用金庫と商工中金との違いは、出資構造と金利水準にあります。

商工中金は政府が出資する半官半民の金融機関です。

また、政策金利の影響を強く受けるため、信金・信組よりも低金利での融資が期待できます。

一方で、信金や信組は民間資本や預金から融資を行うため、金利はやや高めです。

審査面では、信金・信組は人物評価や地域での信頼関係を重視する傾向があり、書類の精度に加えて「人となり」が評価材料となることもあります。

どちらの融資を利用するかは、自社が地域に根ざした企業であるか?という点も関係してくるでしょう。

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商工中金融資の審査基準や金利は?

商工中金の融資は、政府系金融機関として低金利かつ信頼性の高い資金調達手段ですが、その一方で審査基準は極めて厳格です。

審査ではどのような点が重視されるのか、詳しく見ていきたいと思います。

審査で重視されるのは「収益性」と「返済能力」

商工中金の審査では、企業の安定性と健全性が重視されます。

製造業や現金商売など、取引内容が堅実で実体のある業種が好まれる点も、商工中金ならではの特徴です。

審査では個人信用情報の照会も当然行われますが、経営者の人柄そのものが加点対象になることはありません。

純粋に経営状況に関する数値と、客観的な資料をもとに融資可否が判断されます。

融資担当者や金融機関の支店責任者などの感情に左右されない、厳格な審査が行われる点が特徴です。

金利は変動型と固定型を選べる

金利水準そのものは政策金利に連動しているため、他の金融機関と比べると、かなり有利です。

ただし、金利タイプが選べない点には注意が必要です。

商工中金の金利は、変動型と固定型の両方が存在しますが、近年は以前のように「どちらを選びますか?」といった柔軟な雰囲気は薄れつつあります。

最近の商工中金の融資では、審査に基づいて事務的に金利タイプが決定されることが多く、利用者が選択できるケースはほとんどありません。

保証人と担保の必要性

商工中金では、他の金融機関と同様に担保や保証人の有無が融資判断に大きな影響を及ぼします。

特に、不動産担保を用意できるか否かで融資の可能性が変わり、評価額の60%を超える担保を用意できるかどうかがポイントです。

また、最近の民間金融機関ではなくなりつつある「保証人」についても、商工中金では求められる場合があります。

商工中金の審査は非常に厳しいため、「一度否決されることを前提に準備する」くらいの心構えが必要です。

商工中金融資のまとめ

商工中金は全国に展開する半官半民の金融機関として、中小企業に低金利で安定した融資を提供しています。

ただし、2017年の不祥事を契機に審査は一段と厳格化され、担当者の業務スキルも各段に上がりました。

審査に通るためには、定型書類に加え、資金繰り表や事業計画書など、独自の書類を用意する「経営者の姿勢」が問われます。

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