理科離れを食い止めるオシャレな実験機器を開発したい
有限会社テクノクリエイト 代表取締役社長 井上忠男(2009年9月24日UP)
更新日:2009年09月24日
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会社員時代から手掛けていた学校向け理科実験機器の開発製造事業で起業した井上忠男氏。学習指導要領の改訂で拡大した実験機器購入予算の獲得を目指す一方、理科離れの防止につながるようなデザイン性の高い実験器開発にも力を入れるという。
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「今後は、後継者も育成していきたい」と語る井上忠男社長。
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地味なイメージの電流・電圧計を白いオシャレなデザインにしたところ、人気が高まったという。
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生涯現役を目指し、起業を決意
――御社の事業は、「理科学実験機器の企画・開発・製造」とありますが、具体的にはどのような事業なのでしょうか。
電源装置や電流・電圧計など、小学校・中学校・高校の理科の授業の実験で使う電気系の実験器を企画・開発・設計・製造しています。
――学校というのは、一般の市場に比べ、特殊な市場ですね。
そうですね。学習内容や必要な教材はあらかじめ決まっており、また、教材購入の予算もあらかじめ決まっています。ですので、一般の市場のように、好況の恩恵に浴することもありませんが、一方、不況の打撃をこうむることもありません。
――この分野で起業された理由を教えてください。
起業する前、会社員時代からずっとこの仕事をしており、これ以外の分野を知らなかったからです(笑)。
――事業の内容が変わらないのであれば、会社員として仕事を続ける方法もあったかと思うのですが、なぜ、あえて起業を選んだのでしょう?
定年という形で自分の人生に線を引きたくなかったからです。当時、勤務先の定年は60歳でしたが、60歳というのはまだまだ気力・体力ともに十分働ける年齢です。しかも、自分の性格からいって、“定年後は悠々自適な生活”というのは合わない。
なので、何とか60歳を過ぎても働けるようにしたかった。とはいえ、定年後に起業するとなるとやはりしんどいので、60歳の時には、ある程度事業が軌道に乗っている状態にしたいと思い、定年前に起業をしたのです。
5年がかりで準備
――実際に起業するまで、どのような準備をされたのですか。
起業を考え始めたのが45歳の時でした。私は、それまで技術者ひと筋でやってきたため、経営のことは何も知らず、株式会社を設立するのに資本金が1000万円必要(当時)だということさえ知りませんでした(笑)。
そこでまず、経営の勉強をしようと思いました。たまたま、京都府が主催する無料の起業家セミナーのことを新聞で知り、そこの第一期生になりました。さらに、セミナーで知り合った人たちと情報交換したり、勉強会を行ったりしながら、経営に関する知識を深め、2001年、51歳で起業しました。
――かなり入念に準備をされたのですね。
会社員時代、学校向け製品の事業部は、実質、私がひとりで切り盛りしており、商談から製品の企画・設計、材料の仕入れまで、すべて私が担当していました。ですので、独立してもひとりでやれる自信はありました。
ただ、「会社の看板がなくなったとき、お客さんは自分と取り引きしてくれるだろうか?」という不安があり、なかなか独立の決心がつきませんでした。しかし、“案ずるより産むがやすし”で、お客さんは、独立後も私を信頼してくださり、引き続き取り引きしてくれています。
――順調なスタートだったわけですね。
そうですね。起業したばかりの企業は、はじめは仕事がないところも少なくないようですが、私の場合、独立した最初の月から仕事があり、売り上げも立ちましたので、幸運だったと思います。
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