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節電の夏 変わる日本の風景

更新日:2011年09月07日

 消費電力の削減を目的として、企業などがサマータイムを導入したことに伴い、社会人の朝と夜の過ごし方に変化が出てきている。併せて、その変化を商機と捉えてビジネスも動き出している。
 


 
 タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。
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2011年日本版サマータイム始動

   福島の原子力発電所の事故をきかっけに、東京電力管内では消費電力の削減を強く意識する必要が出てきた。国は、企業へマイナス15%の削減を提唱するなか、6月、または7月からサマータイムを導入する企業が増えるほか、自動車メーカーを中心に土曜と日曜に代わり、木曜と金曜を休みとする企業もある。これらは皆、電力需要の分散を目的としている。今回は、サマータイムに絞って、その様子とそこに商機を見い出す企業を追ってみる。

   このたび、日本で大きく注目されているサマータイムは、早朝の涼しい時間帯から始業することで、エアコンなどの電力の削減を目的としている。おもな導入企業は、伊藤園、森永乳業、日本製紙グループ、武田薬品、KDDIなど。企業以外にも、東京都庁なども開始している。企業により異なるが、始業時間を概ね午前8時となり、午後4時過ぎには退社を促す企業が多く見られる。

従来型の朝活から一転、朝から外食傾向に

   2009年頃に朝活ブームと言われたときとは、事情が大きく異なる。朝活とは、ビジネスパーソンが朝の時間を使って行なう活動のことを意味し、たとえば、出勤前に行なう、ランニングやヨガなどの運動のほか、読書や資格の勉強などがそれにあたる。今回のサマータイム導入で出社時間が前倒しになったため、朝活に当てる時間が減少、または無くなったケースが多いのではないか。

   そして、自宅で朝食を食べる時間が十分に取れない人や、家族との時間のずれにより自宅での朝食が困難になった人が出てきている。そのため、駅売りのパンやおにぎりといった軽食などの売上が伸びているという。この朝食を外で食べる傾向を受けて、「モスバーガー」や「プロント」などでは一部店舗で開店時間を早めるほか、日本ケンタッキー・フライド・チキンでは、朝食メニューの取扱店を拡大するといった動きが始まっている。

まだ明るいうちに帰れる「アフター4」の活動

   始業時間の前倒しに伴い、必然的に退社時間も午後4時過ぎとなる。夏の4時といえば、まだ明るく、まっすぐ帰宅するには惜しいと感じる人もいるだろう。

   マクロミルの調査(2011年6月調査。有効回答数300)によると、サマータイムで終業時間が早くなったビジネスパーソンの会社帰りは、「ショッピング」32.7%、「飲みに行く」31.3%、「ランニング・ジムなどスポーツをする」18%と、退社後の時間を外で過ごす人がいる。

   男女別の相違では、「ショッピング」が男性は27.1%に対して、女性は44.3%とより高い割合となった。一方で、「まっすぐ帰宅する」と回答した人が53.7%と半数を占めたのも特徴的である。以前のような震災直後に漂っていた強い自粛モードからは抜け出しているものの、自宅で飲んだり、DVDを鑑賞したりと、巣ごもり傾向は根強くあることも推測される。

   とはいえ、企業としては、新たな商機として「アフター4需要」に戦略的に動き出している。まず、早い段階でキャンペーンを開始したのは外食産業。養老乃瀧グループでは、多くの店舗で午後3時から営業を開始。英国風パブ「HUB」ではハッピーアワー(早い時間帯限定の割引サービスなど)の延長や、一部店舗では前倒し営業も行なう。フィットネスジムなどのサービス業にも、早い時間帯限定のキャンペーンを導入するほか、各種ホテルでもさまざまなアフター4に狙いを定めたプランが新設されている。

10月からの戦略設計を

   今年、思わぬ形で導入されたサマータイム。ビジネスパーソンの戸惑いを他所に、企業の方針として6月、または7月から9月までを区切りとしてスタートしている。果たして、この夏を乗り切った先に、日本の電力事情はどうなっているのだろうか。予測の立ちにくい社会情勢のなか、企業も人も探り探りの戦略を繰り返すほかに道はない。

   ひとつの区切りとして、夏が終わる頃、つまり10月の秋風が感じられるまでを目処に、次の一手を打つ必要があるだろう。