商品価値を見直すチャンスに
極細の合成繊維が取り持った意外な縁
更新日:2010年12月24日
システム開発を手がけるダブルアップ(東京都新宿区)は、本業とは別の分野で新たな顧客を獲得した。
同社の扱う極細の合成繊維を使ったクロスがWizBizビジネスマッチングサービスで注目を浴びるに至った経緯とは。
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極細の合成繊維を使ったクロスを輸入活用術販売しています。ガソリンスタンドや車の整備工場、精密機械の工場などで実績を挙げています。中国の工場と直接取引をしているので、高素材のものを安く提供する自信があります。WizBizのコストダウンサービスでも扱っていますので、ご確認ください。 | ![]() |
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神戸市で自動車修理業を営んでいます。自動車を磨くマイクロファイバー製のクロスを買いたいです。 | ![]() |
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ダブルアップの極細の合成繊維製クロス。工場から直接仕入れるため、他社商品に比べて10〜30%価格を下げて提供しているという |
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「薬剤を使わなくても油汚れがとれるため、食品工場の機械を磨く作業でも利用されている」と語る桐山社長 |
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「指に引っかかる」で得た確信
「正直ここまで順調に契約につながるとは思わなかった」──。ダブルアップ・桐山宏一社長は、WizBizビジネスマッチングサービスの成果をそう振り返る。
それもそのはず、WizBizビジネスマッチングサービスで引き合いを得た商品は、本業外≠フもの。事業に幅を持たせようと輸入販売を始めた商品、それが極細の合成繊維を使ったクロスなのだ。
同社の本業は、企業の業務支援や集客支援を目的としたシステム開発にある。その業務は幅広く、情報共有のためにイントラネットによるニュース配信システムの構築や、バーチャル通貨を使ったキャンペーンで従業員にポイントを付与するサービスの仕組みづくりなどを行う。そんな会社が、なぜ極細の合成繊維を扱うことになったのか。
2006年、桐山氏は地元の企業から、極細の合繊繊維でできたクロスを紹介された。繊維の性質上、薬剤を使わずに汚れが落ちるという。気になって調べたところ、欧米ではすでに生活雑貨などに使われていた。
一方日本では、まだ実用の場を得ていないようだ。桐山氏は考えた。「欧米で受け入れられているほど機能性が高いなら、日本でも認められるはず」
さっそく製造している中国企業から素材を取り寄せた。質感を確かめると、綿や絹などに比べて、軟らかさの中に引っかかりを感じた。この引っかかりこそ、極細繊維たるゆえんだった。繊維が指の指紋の間まで入り込んでいたのだ。
実際に手にとって触感を確かめたことで、桐山氏はこの素材が汚れを落とす機能に優れているのを確信したという。
時を置かずしてこの中国企業と契約を結び、本業とはまったく別分野の輸入販売事業はこうして始まったのだった。
意外な経緯で反響が拡大
契約後の1年間は積極的な営業活動を行わなかった。代わりに販売戦略の策定に時間を費やした。その結果、車体や窓拭きに使われるとして、ガソリンスタンドに狙いを定めた。
「営業をしていく中で、品質も値段も他社商品と比べて優れていることがわかった」(桐山氏)
ダブルアップは、中国の工場と直接取引をしている。通常の輸入販売会社のように商社にマージンを支払う必要がない。価格競争力は大きな武器になった。これを生かし、取引先を自動車整備工場や精密機械工場などに広げていった。
順調な展開を見せた新事業だが、本業の忙しさに負け、営業にあまり時間を割けなくなると、注文も減少していった。いつしか自社のウェブサイトを通じて入る注文にだけ対応するようになった。
そんな中、意外なところで「新素材クロス」が再び脚光を浴びる。
きっかけは、システム開発の案件でベンチャー・リンクと協働したことにある。雑談中に「新素材クロス」を話題にしたところ、新展開が生まれた。ベンチャー・リンクの担当者は、この時顧客に提案するノベルティグッズで頭を悩ませていた。薬剤のいらないクロス──。そんな売りがはっきりしている。
ベンチャー・リンクが顧客に対して行ったプレゼンテーションでは、ダブルアップのクロスが高く評価され、ノベルティグッズ化が決定した。
「コストダウン」の商材に
他社への提案にダブルアップのクロスを採用したベンチャー・リンク。同社ではその可能性に着目し、コストダウンサービスの取り扱い商品としてWizBiz会員へのメールマガジンで紹介するに至った。
即座に複数の企業から問い合わせ、注文が入った。「1社ごとの注文量は少なかったものの、想定していなかった業種の企業からの注文は、販売戦略を見直す上で勉強になった」と桐山氏は語る。
クロス販売に対する反響はコストダウン事業部だけにとどまらない。わずか2カ月で、「WizBizビジネスマッチングサービス」を利用する2社から注文が入ったのである。
すでに契約を結んだ神戸市の自動車修理業の企業からは、大幅なコストダウンにつながったことで喜びの声も届いている。この企業の場合、現場での拭き仕事に効率的に使っているという。
ベンチャー・リンクとの協働を通じて、桐山氏は販売の最低ロットを引き下げるなど工夫も行っている。ニーズの大きさを知ったことで、より安価で多くの人に使ってもらえる方向に切り替えたのだという。
意外な広がりが続くクロス輸入販売事業について桐山氏は、こう語る。「この商品を通じた縁を広げることで、本業自体のビジネスチャンスも広がるはず」(桐山氏)
ダブルアップの本業はあくまでシステム開発。しかしさまざまな会社とつながっていくためのツールとして、クロス販売を前面に出していくつもりだという。偶然に導かれた成功は、WizBizビジネスマッチングサービスを通じてさらにその枠を広げている。
Company Profile |
ダブルアップ |
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