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日本の国境海域面積は世界第6位

更新日:2007年05月24日

地上の国境線を意識することがない日本だが、じつは我が国ほど国境に関わる重大問題を抱えている国は少ない。世界有数の広大で豊かな排他的経済水域を持つ日本の国境事情の一端を垣間見る。


重大問題を抱える国境海域

お正月やゴールデンウィークなどの長期休みは海外旅行へ出かける人が多くなります。そうした時、イミグレーションで出入国の検査を受けます。あのパスポートを開いて、顔を見られてスタンプをもらう手続きです。

国際空港では、あそこをくぐると飛行機の搭乗口までの間に免税店があり、いろいろなお土産品や高級商品がタックス・フリーで売られています。私なんか、「あ、ここから日本を出たことになるのかな?」なんて思ってしまいます。

ところで、皆さんは国境ってどんなものだと思いますか? 日本は領土の広くない島国で、大陸の国家のように地上に区分された境界線をもたないですから、国境線を意識することが少ないでしょうね。北海道を旅行された方は、根室半島の先に見える北方領土を見て、国境を意識されたかもしれません。

でも、じつは日本ほど国境に関わる重大問題を抱えた国もなかなかないのです。日本には線で引かれた国境というより、巨大な広さをもつ国境海域というべきものをもっており、ここでテロリストの侵入や麻薬、拳銃の密輸入などの国際犯罪、尖閣諸島や竹島の帰属をめぐる国家間論争、海底ガス油田開発問題等が起きています。もちろん、先にあげた北方領土問題もそうです。いずれも、国境海域で発生している問題です。

日本は海を介して隣国に接しています。日本の主権が及ぶ海域は、他国領土沿岸と接近したところを除き、基本的に海岸線から200海里の排他的経済水域(EEZ)の範囲です。この排他的経済水域は、資源開発や漁業等について日本が支配的地位をもちますが、他国船舶や航空機の交通権は排除されておらず、公海としての位置づけももっています。そのため、我が国の官民双方の船舶や航空機が他国の活動とも接する海域であり、国境海域というにふさわしいのです。

世界で6番目の広さをもつ日本の排他的経済水域

日本の国境海域というべき排他的経済水域は、約447万平方キロで世界第6位の広さをもっています。ちなみに領土が約38万平方キロですから、その12倍近くです。

境界が線ではなく面なので、派生する問題も大きくなります。日本周辺の海域は暖流と寒流が交わることもあって古くから好漁場であり、さらに近年は海底に莫大な地下資源が存在するとみられることから、周辺諸国のいずれもが、それぞれの国の排他的経済水域を広げたいがために、島嶼や岩礁の領有権を競って主張するようになったのです。ある意味で、地上に引かれた国境線よりも重大な問題をはらんでいます。
※嶼<ショ>小島を意味する

この排他的経済水域を含めると、日本は主権の及ぶ範囲が世界でも有数の広さがある国だといえます。とかく経済的数値のみで「日本は大国」といわれるのですが、実際は実効支配の及ぶ領土と海域の広さでも大国なんです。それだけに多くの問題を抱え、国民と国際社会に対して責任ある対応が求められているといえます。

日本は、広大な排他的経済水域内での経済主権を認められ、それを保持していくとともに少なくともこの海域内の航行の安全を主権国家の責任として守る義務を有しています。自国の権利と他国交通者の安全を守るのです。しかし、世界6位の広さをもつ国境海域を管轄しているのは、どの機関でしょうか? イージス艦をもった海上自衛隊ではなく、総員たった1万2000名の海上保安庁です。

海の国境から防衛問題を考える

昨年の北朝鮮によるミサイル発射や核実験のあおりもあってか、最近も防衛論議が盛んです。しかし、その内容は弾道ミサイル防衛のように稀有壮大な話が先行しているように思えてなりません。日本の国境海域、排他的経済水域では各国の海軍艦艇や軍用機が往来し、日本の漁民が周辺国の漁民による密漁としのぎをけずり、一方で国内の外国人犯罪の温床をつくる密入国者の輸送が行なわれているのです。

日本の主権と国民の安全に対する脅威は、そのほとんどが海から、それも国境海域である排他的経済水域を経由して訪れるのは明白でしょう。それなのに、この広い間口を守る機関の要員がごく少ないまま推移しているとは、どんなものでしょう?

ちなみに隣国ロシアで排他的経済水域や国境線を守る国境警備隊の数、これは軍隊に含まれていないのですが、約26万人で日本の陸海空を足した自衛隊員数とほぼ同数です。

物事の境目というものを考えるとき、いろんな視点で見るとさまざまな問題が浮き上がってきます。いまお話した国境の問題も、私たちの仕事に照らしてみていろいろなヒントがあるように思います。ぜひ、日常のニュースを耳にするときに、思い起こしてみてください。

本稿に興味をもたれた方は、日本財団の山田吉彦さんが書かれた新潮新書『日本の国境』とPHP新書『海のテロリズム 工作船・海賊・密航船レポート』を一読されることをお勧めします。

文・軍事ライター 古是三春

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