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疲れた人、いらいらする人にモーツァルトのススメ

更新日:2006年12月14日

年々研究が進む音楽療法。音楽がもつ癒し効果で、体のバランスを整え、免疫力を高めるというもの。その際なぜか使われることが多いのが、モーツァルト。彼の音楽には、ベートーベンやバッハなどの他の音楽家作品にはない「何か」があるそうだ……。


モーツァルトを聴くと頭がよくなる!?

モーツァルトを知らない大人はほとんどいないだろう。彼が生きたのは、18世紀の後半、日本では江戸時代真っ盛りだった。そんな時代の音楽が21世紀の今日まで人々を魅了している。音楽療法にも必ずといっていいほど用いられ、セラピー音楽の代表選手になっている。このモーツァルトブームには、ひとつの背景があった。

1993年、アメリカのカリフォルニア州の大学で、ある実験結果が発表される。モーツァルトのピアノソナタが、空間認識力などの脳の発達に好影響を及ぼすというものだ。「モーツァルトを聴くと頭がとよくなる」という噂が、全米に広まった。ジョージア州では、クラシック音楽のCDを新生児のいる全家庭に無料で提供され、フロリダ州の公立保育園では、週に1度クラシック音楽を流すことが義務付けられた。この頃、モーツァルトが急速に全世界で聴かれだしたのだ。

ところが1999年、ハーバード大学のある博士から反論の声が上がり、ノースカロライナ州の大学では、幼児の脳の発達に効果がなかったという結果がだされ、ブームも一段落。とはいえ、モーツァルト神話は簡単には崩れず、「癒し効果がある」という研究結果が次々と発表された。現在は、知能指数が上昇するかどうかは、明らかではないにしても、癒しや精神安定効果があることは、ほぼ確証されている。

なぜベートーベンではだめなのか?

モーツァルトの音楽は、長調の曲(明るい曲)が多いのが特徴で、全体的に軽やかなのだ。ベートーベンのように、テンポが突然早くなったり、音量が突然上がったり、といった激しいアップダウンがない。一定量の高周波が心地よく響く。

我々社会人は、残業で睡眠時間を削られたり、仕事でストレスを抱えたりと、日常生活においてリラックスする時間が確実に減っている。副交感神経の出番が減り、交感神経中心に生活をしているのだ。さて、この副交感神経と交感神経とは、自律神経(人間の意思とは関係ない部分)のなかでシーソーのようにバランスをとっている神経のこと。

怖いものを見て鳥肌が立ったり、口の中が乾いたり、心臓がドキドキするといった状態になるのが交感神経が働いているとき。逆にリラックス状態になるのが、副交感神経が働いているときだ。モーツァルトの音楽には、交感神経と副交感神経のバランスを回復させ、イコールにする働きがあるといわれている。モーツァルトを聴いたら不眠症が治った、などという話は、この作用からきているのだろう。

モーツァルトによる処方箋

モーツァルトの音楽に癒されるのは、人間だけではないようだ。牛に聴かせたら、乳の出がよくなったとか、ハウス内に流したら、プチトマトの甘さが増すといった報告が近年出されている。牛の神経系の構造は人間と同じであるし、植物の場合はDNA情報に何かしら好影響があるらしいが、遺伝子レベルの問題なのでここでは触れないでおく。

何がどう作用するのか、という難しい話は抜きにしても、我々が日々抱える精神的・肉体的苦痛を癒してくれるというモーツァルトの音楽で処方箋も出ている。聴覚カウンセラー協会代表で医学博士の篠原佳年氏の著書「愛のモーツァルト療法」(マガジンハウス)から抜粋していくつか紹介する。

◆いらいら(苛立ち)
交響曲第1番ハ長調「ジュピター」K551第1楽章――モーツァルトの音楽のなかでもっとも重厚な響きとがっちりした構成力にあふれた曲想。いらいらがチリのように消え去って、晴れ晴れとした爽快な気分に包まれるだろう。
◆愚痴・嘆き
ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466第1楽章――なにかと愚痴っぽい人は、ふらりと話しかけてくるピアノの美しさと哀しさに、思わず横っ面を張られたようにハッと気づくだろう。
◆プレッシャー
交響曲第31番ニ長調「パリ」K297第1楽章――自信のかたまりのような力強い響きで、プレッシャーなんかは「どこ吹く風?」になってしまう。
◆健康不安・病気への恐れ
ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K216第1楽章――ヴァイオリンのエネルギッシュな血湧き肉踊るような、はつらつとした旋律。俊敏なバネのような若さがはち切れそうな曲想に聴き惚れているだけで、気分が充実するだろう。
◆頭痛・肩こり
セレナード第7番ニ長調「ハフナー」K250からロンド――モーツァルトならではの軽妙でおしゃれで心浮き立つような音のつむぎ方。いつ聴いても飽きることがなく、ストレス解消に格好の一曲。

2006年はモーツァルト生誕250年にあたる年。記念行事なども開催され、各所で彼の音楽をなんとなく耳にする機会が多かったのではないだろうか。年の暮れ、今年1年の疲れを癒す意味でも、彼のCDを購入してみてはどうだろう。処方箋を参考にどうぞ。

参考書籍
「音楽力」日野原重明・湯川れい子(海竜社)
「愛のモーツァルト療法」篠原佳年(マガジンハウス)
「脳と心に効く 母と子のための モーツァルト」(PHP研究所)
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