経営者の味方「社長・経営者のための経営課題解決メディア WizBiz」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  ビジネスコラム >  朝礼ネタ110番  >  元教育委員長がホンネで教える! わが子をいじめ被害から守る鉄則  詳細


元教育委員長がホンネで教える! わが子をいじめ被害から守る鉄則

更新日:2006年12月07日

●元田無市(現西東京市)教育委員会  教育委員長 谷尻哲
たにじり・てつ。1939年兵庫県生まれ。東京都田無市(現西東京市)教育委員会教育委員長、社会福祉法人・東京都田無市社会福祉協議会理事、田無市特別職報酬等審議会会長などを歴任。現在会社役員。
   

通常、起きてほしくない出来事は視野から外してしまいがちだが、もし、あなたの子供がいじめ被害に遭っていたらどう対処するだろうか?保護者にとって、うちの子は例外であると傍観できない時勢になった。元教育委員長が、現職では発言しにくいことにまで踏み込んでアドバイス!


ゲームソフトの浸透による仮想現実と現実の混同

いじめ被害が増えている根本的な原因にまずあげられるのは“道徳の荒廃”です。人が生きていくうえで最低限守るべき規範である道徳の荒廃は、たとえば平気で嘘をついて人を騙したり、人を傷つけたり、危(あや)めたりする行為の激増に現われています。このような社会環境にあって、子供たちに“心の不安”や“人間不信の芽”が襲いかかってきますが、保護者も学校も、さらに地域社会も取り除いてあげることができていません。

同時にメールやゲームソフトなどの浸透によって、仮想現実と現実が頭の中で混同してしまい、物事への錯覚や錯誤が生じて、不安定な言動を引き起こしています。五感を使うという原体験が激減しているのです。

さらに、教育行政全般にも問題があります。昭和22年3月31日付で公布された教育基本法の理念に基いて制定された関係法律および関係諸法例が、時代の変化に対して運用面で鋭敏かつ大胆に対応できていないと考えます。この問題は、教師を含む教育行政に携わる人たちの志や姿勢にも影響しています。

いじめ被害を察知する4つのポイント

では、わが子がいじめ被害に遭っているかどうか、その事実をいかにして察知すればよいのでしょうか。まず子供の日々の生活態度をみることです。生活態度のなかで見極めなければならない点は以下の4つであると、私は思います。

(1)以前に比べて笑顔が極端に少なくなった。
(2)身体や健康状態に異変が生じた。
(3)家に引きこもりがちになった。
(4)学校に行くことを嫌がるようになった。

このうち(2)と(3)に該当する変化があったときは、学校でいじめを受けている可能性が大であるとみるべきです。その場合、すみやかに子供との対話を通して、いじめを受けているかどうか、いじめを受けているのであれば、その内容を聞き出します。

もし子供が口を閉ざして話さないときには、担任の教師にいじめの有無を確認します。ただし、教師は意外にいじめの実態を把握していないことが多いので、子供の友達の保護者にもそれとなく聞いてみることです。

いじめ被害に遭っていることがわかった場合にもっとも大切なことは、いじめの内容と程度の確認です。
・子供が自分の力で解決できる内容であるか否か。
・親が介入しなければ解決できない内容であるか否か。
子供が自分の力で解決できる内容であれば、子供を勇気づけ、親子で協力していじめを克服したほうがよいでしょう。過度な親の介入は子供の自尊心を傷つけ、子供の心に禍根を残してしまいかねません。

担任→学校長→教育長の順に動かす方法

一方、親の介入が必要であると判断したら、どんな手段で解決に取り組めばよいのでしょうか。いじめの程度にもよりますが、次の手段を講じることです。

(1) 子供がいじめられている内容を明記した「要望書」を持参し、担任の教師に相談に行く(後日のために文書をコピーして保管しておく)。
(2) 担任の指導力で解決できないときは、それまでの経緯を明記した要望書を持参して、学校長に直接相談に行く(同様に要望書をコピーして保管しておく)。(1)で持参した要望書のコピーも学校長に提出する。
(3) 学校長の指導力で解決できなければ、その学校には当事者能力が欠如していることになるので、学校を管理監督する当該地区の教育委員会の教育長を訪問し、それまでの経緯を明記した「嘆願書」を提出して相談する(嘆願書もコピーして保管しておく)。(1)と(2)で持参した要望書のコピーも教育長に提出する。

一般に、行政機関には文書の提出をもって正式な要望とみなし、口頭による要望ではなかなか動いてくれない面があります。面倒なようですが、文書を提出するのです。

教育委員の任命権者である首長への嘆願書提出

ここまでの過程で通常は問題を解決できると思いますが、それでも解決できなければ由々しき問題であると断じざるをえません。教育行政が健全に機能していないことになり、もはや人権問題に進展しています。その場合は、2つの手段をとります。

(1) 「子供の権利条約」の執行を弁護士に依頼します。「子供の権利条約」は18歳未満の子供に対して適用される国際条約であり、日本では1994年に発効した法的拘束力のある条約です。最後は、この条約が子供を守ってくれると確信します。
(2) 次に当該教育委員会の教育委員の任命権者である首長(区長、市長、町長、村長)のところにも、それまでの経緯を明記した嘆願書と各ステップで提出した要望書・嘆願書のコピー一式を持参して、相談に行くことです。これは、当該地区の教育行政の姿勢を正すためと再発防止のためです。なぜならば、教育行政の執行責任者である教育委員を議会の同意を得て任命したのは首長であり、使命を遂行しない教育委員を罷免できるのも首長だからです。

以上申し上げた手段に加えて、正常な環境が整うまでは学校を欠席させる処置も必要です。また、いじめ被害の対策としては、子供自身に、悪に立ち向かう強さを醸成させることがきわめて大切ではないでしょうか。自分が被害に遭わないだけではなく、友達が受けている被害を止めてあげられるだけの強さが身につくように、保護者には導いていただきたいものです。

■関連記事
歌舞伎の世界での責任の取り方(2010年11月02日)
 2010年は電子書籍元年なのか?!(2010年10月05日)
表の道徳、裏の道徳(2010年09月07日)
中国元切り上げの影響(2010年08月10日)
中国人との付き合い方(2010年07月13日)