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ひとりの「勇気」が社会を変えた!

更新日:2005年12月15日

本年10月24日、アメリカでひとりの女性が息を引き取った。ローザ・パークス、享年92歳。公民権運動の母として称えられる。昨年のノーベル平和賞受賞者は、マータイ博士。ひとりからはじめた運動で、アフリカに3000万本もの苗木を植えた。たったひとりが起こした行動が、社会を大きく変えた事例を紹介する。


 
ひとりの勇気ある行動によって、社会を変えていくことができる
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毅然とした拒否が人種差別を撤廃

1955年の12月。アメリカ南部にあるアラバマ州モンゴメリで、バスの乗客であった黒人(アフリカ系アメリカ人)の一婦人が、白人の運転手から、あとから来た白人に席を譲るよう命じられた。しかし女性は穏やかに、だが毅然として拒絶した。

当時、アメリカ南部諸州には人種分離法が施行され、公共交通機関を除く日常生活のあらゆるところで、黒人と白人は隔離されていた。制度上、バス・レストランなど公共の場所で人種隔離が実施され、また黒人の投票権も事実上制限されていた。深南部と呼ばれるアラバマ州も、その事情は同じであった。

人種分離法に抵触したとして彼女は警察に逮捕される。「私は正しいことをしなければいけないと心に決めたのです」。そう言い放った女性こそ、のちにアメリカ議会から“公民権運動の母”として顕彰されたローザ・パークスだった。

パークスの逮捕をきっかけに、モンゴメリの黒人民衆は、人種差別のバスヘの乗車をボイコットし、差別撤廃を訴えた。当時貧しい黒人にとってバスは、なくてはならない交通機関。利用者の75%以上を占めていた黒人たちがバスに乗らず、友人の車に同乗しあったり、歩くことによって、バスを運営するモンゴメリ市は経済的な打撃を受けることとなった。

運動開始から1年後、連邦最高裁判所は人種分離法に違憲判決を出し、公共交通機関における人種差別を禁止することになる。ついにモンゴメリのバスの人種隔離は廃止され、公民権運動は全米に波及していったのである。

「たったひとりになっても、正しいことは正しい」

2004年のノーベル平和賞はケニアの女性、マータイ博士が受賞した。彼女は77年、環境保護と住民の生活向上を目的としたNGO(非政府組織)「グリーンベルト運動」を創設。女性を中心に約10万人が運動に参加し、アフリカ各地に3000万本にのぼる苗木を植えてきた。その環境運動が評価されてのノーベル賞受賞だった。

かつて国土の30%を占めたケニアの森林は、9%以下に減少。森林の破壊は、肥沃な大地を流出させることとなり、食糧生産の減少を招いていた。博士は、環境破壊の悪循環を断ち切ろうと、「植林こそ貧困を脱する道」と呼びかけ、「国民ひとりが1本の苗木を植えよう」をモットーに運動を進めたのである。

それはわずか7本の苗木を植えることからはじまった。しかも道のりは平坦ではなかった。独裁的な旧政権下では危険な存在として逮捕され、投獄された。しかし博士は「たったひとりになっても、正しいことは正しい」と信念を貫いた。その結果、この30年間で、アフリカに3000万本もの植林を実現したのだ。

ローザ・パークスとマータイ博士。この2人の女性の生き方は、決して現状に甘んじていない。何があっても「正しいことは正しい」との信念から生まれた勇気ある行動が、地域を変え、社会をも大きく変えていけることを示したのである。ひとりの勇気には、とてつもない大きな力が備わっている。

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