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ユニクロ柳井社長の教訓――成功のなかに失敗の芽

更新日:2005年08月11日

失敗には成功のヒントが潜んでいるが、成功にも失敗のリスクが潜んでいる。ユニクロではフリースのヒットで急成長した時期に、社内に保守化やマンネリ化という現象が生じたという。失敗すれば失敗の原因を解明するのと同じように、成功の原因も解明しないと、次のステップに進めずに停滞へとむかってしまうのだ。


 
ユニクロ急成長の原動力だったフリースのヒットに停滞のリスクが潜んでいたという
ユニクロ急成長の原動力だったフリースのヒットに停滞のリスクが潜んでいたという
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フリースのヒットで生じた保守化、マンネリ化

成功の経験には刷り込み効果がある。私たちに自信をつけてくれる一方で、革新の芽を摘みとってしまう弊害も同時にもたらす。セブン−イレブン・ジャパンの鈴木敏文会長が過去の成功体験にとらわれてはいけないと、繰り返し社員に説いていることはつとに知られるが、繰り返し説かなければなければならないほど成功体験からの脱皮はむずかしい。

多くの先例から学んでいるにもかかわらず、企業は成功体験に足を引っ張られてしまう。生身の人間で構成されている所以だ。革新性にあふれていると評価されている企業も例外ではなく、たとえばユニクロでも成功体験が停滞の原因になった。

ユニクロの社長に創業者の柳井正さんが復帰した理由がいろいろと報道されているが、本質的な理由はフリースの大ヒットによる急成長にある。そこまで、さかのぼって考察しなければ表層的にとどまってしまう。

急成長の時代、ユニクロにどんな異変があったのだろうか。フリースのブームは3年続いた。このブームでユニクロは大躍進をとげたが、一方で歪みも生じたのだった。この時期、ブームに乗ってフリース以外の商品も売り上げを伸ばしたが、これが商いを安易に考える風潮を生んでしまったのだ。商品を陳列しておけば、創意工夫をしなくとも売れるものだと。

ブームが3年続いたことで、ブームではなく成功と思う社員が増えたのだ。柳井社長の著書「一勝九敗」によると、以下のタイプの人が増えたという。

内容よりも形式を整えたり、とりあえず商売を回していればいいや、と考える人。実践のともなわない机上の空論を唱える人。新たな気持ちで入社してきたはずなのに、慣れ親しんだ経営管理のやり方をそのまま持ちこもうとする大企業出身者など。保守化やマンネリ化におちいってしまったのだ。

成功・失敗の情報を具体的に徹底分析

柳井社長は、この時期を自動販売機状態だったという。つまり自動販売機のように黙っていても次々に売れたのだが、この状態を成功と受け止めるムードが社内に生まれたのだそうだ。

どうすれば回避できたのか。成長の要因を冷静に分析すればフリースのヒットはブームであり、ブームである以上やがて頭打ちになるために、好調時に次の手を打たなければならないと気づいたはずだ。同時に成長の要因を解明すれば、正鵠を得た手を打てる。「慢心するな」という精神論ではなく、戦略論をもって保守化やマンネリ化を回避し、変革に取り組める。

ユニクロの経営理念第十二条に「成功・失敗の情報を具体的に徹底分析し、記憶し、次の実行の参考にする経営」とある。失敗を分析することはどこの組織でも行なうが、成功は分析の俎上に載せられにくい。結果がすべて、勝てば官軍、成功したのだからそれでいいじゃないかと。しかし成功の要因を分析することで、強みと弱みを的確に把握できるのだ。

強みと弱みを的確に把握できて、はじめて次のステップに活用できる情報となる。柳井社長は「情報というのは記憶するためにあり、記憶は実行するためにあるのだ」(「一勝九敗」)と断言する。情報を豊富にストックしても記憶の域に達しなければ、実行に移せない。

成長には成功という思い込みをもたらし、次なる成長の芽を潰してしまうリスクが潜んでいる。だからこそ、感情を排した過去の冷静な振り返りが必要なのだ。それが真の成功への近道である。

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