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夢を追う心が集うとエネルギーが爆発する

更新日:2005年01月06日

思いを強く抱くことが願望の実現に結びつく。そう述べると何やら精神論のようになってしまうが、けっしてそうではない。願望が実現するプロセスには多様なパターンがあるだろうが、一足飛びにジャンプするケースもある。ある映画製作にかかわる実例を示そう。


 
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情念とか本能が生命力に結実すると、常識をベースとした能書きを打ち破り、びっくりするようなエネルギーを発揮する。不可能を可能にするというセリフは、けっして空論ではない。例を示そう。話題の映画『血と骨』の原作者、梁石日(ヤン・ソギル)氏が、やはり作品を原作にした『夜を賭けて』という映画の製作に関わったときのエピソード――。

以下、『一回性の人生』(梁石日著、講談社刊)より要約する。

「5億はかかるけど、なんとかなるでしょ」。『夜を賭けて』の企画当初に、総製作費を尋ねられた郭充良氏は、そう答えた。しかし皆、半信半疑。郭氏と監督の金守珍氏が梁氏を訪ねたとき、郭氏はこう言い放った。「資金繰りに走ったが思うにまかせず、明日1500万円なかったら会社は倒産する」。

翌日、梁氏は出版社から映画製作以外の用途で借りていた1500万円を郭氏に振り込んだ。 郭氏の会社は倒産せずにすんだ。

この本には書かれてはいないが、当然、担保も保証人も確保していないはずだ。債権者や債務の内容を確認した様子もない。この場面で、そうしたやりとりを勘ぐるのは低劣だろう。エピソードはこれだけで終わらない。

米国で同時多発テロ起きた前日、梁氏は取材のためニューヨークに到着。そこへ韓国で『夜を賭けて』のロケを行なっていた製作スタッフから連絡が入った。「明日、500万円がなければ役者やスタッフの食料を調達できない」。またしても梁氏は送金したのだった。

梁氏は<多くの人間たちの夢を追う心が驚異的なエネルギーの持続を生み出したのだと私は思っている>と述懐している。『夜を賭けて』はたくましい生命力をもった戦後の在日韓国人達を描いた作品だが、作品が訴求したメッセージは作品の製作で実践されていたのだ。

コストパフォーマンスを超えた金銭の授受。肝と肝のやりとり。必死の心が常識では考えられない力を生むのである。

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