われらが父祖に学ぶ
更新日:2010年12月15日
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※月刊WizBizバックナンバー(2010年11月号)よりお届けいたします。
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この原稿を書いている時点で、尖閣事件はあまりにもひどい状態で推移している。
船長が身柄を拘束されたことに対し、中国企業が団体旅行を中止するなど圧力をかけてきた時、私は当たり前のように「どうぞキャンセルしてください」と言い切る国の態度を望んだ。
経済的損失が膨らんでも、わが国の領海で巡視船に衝突してきた他国の船があったなら、断固としてしかるべき措置をとらねばならない。衝突時のビデオもすぐに公開して、国際的に自国の正しさをアピールすべきだった。
しかし、船長を除くほかの船員は次々に釈放され、やがて中国で日本人4人が拘束されるなどの脅迫行為まで明らかになる。あろうことか、政府はその4人の解放と引き換えにさえせずに、中国人船長を釈放したのである。
さらに当初、首相が釈放を知ったのは直前だったというのもおかしい。外務省が知らなかったとするのもおかしい。仙谷由人官房長官が一人で泥をかぶって済むような話でもない。
釈放決定は検察独自の判断とのことだが、検察が法を無視したような動きをするというのはどうなのか。外交的な大問題と、わからぬはずがなかろう。かつて北朝鮮の金正男の不法入国事件に際し、「もめないように」と田中真紀子外相が返してしまったことがあったが、今回はそれ以上の大失態である。
そもそもなぜこのようなことが繰り返されるのか。憶測でしか言えないが、私は裏ですべてがつながって「面倒が起きないように」と、中国に譲歩したのだと思う。そして「誰が責任者なのかわからなくなるように」工作した。けれどもそれでことが収束するどころか、中国はさらに謝罪と賠償を求めてきた。
これは中国が自分の首を絞めることにもなりかねない要求だが、今後この問題がどんな推移を見せるにせよ、今までの対応だけで、この国の外交の敗北と、国家としての機能不全は明確なのである。
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さかもと未明 |
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