謝礼は食事。ちょっと使いができるモニター調査サービス
株式会社 凸(デコ)
更新日:2014年03月19日
「ゴチソー」は、製品やサービスなどを利用者が評価するモニター調査のサービスだ。ユニークなのは、現金や金券の代わりに“食事をおごること”を謝礼にしているところにある。サービスを運営する(株)凸(デコ)の長谷川秀樹社長は、「参加者の生の声を手軽に集められるようにしたいと思い、このサービスを企画した」という。
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「マーケティングの担当者であっても、顧客である消費者から直接意見を聞く機会はすくないことから、手軽に消費者の声を聞ける仕組みを作りたかった」と語る長谷川秀樹社長 |
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食事をしながら商品やサービスについての意見を言うため、リラックスした雰囲気で、率直な意見が出やすいという |
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モニター調査の参加者は、募集の条件を示した上で、ゴチソーのサイトで募集する |
食事をしながら製品やサービスを評価
一般的なモニター調査は、企業の会議室やモニタールームなどに参加者を集めて行なうが、「ゴチソー」は、レストランなどで食事をしながら、製品やサービスについての意見を語ってもらい、その食事代を参加者への謝礼として調査の主催者が支払うというもの。
調査方法は、1対1の個別インタビューから80人が参加するサンプリングによる調査までさまざまだが、もっとも一般的なのは、4〜5人でのグループインタビューだ。
「従来の調査のように、マジックミラーで観察されているモニタールームやかしこまった雰囲気のある会議室では、参加者は、緊張してしまい、意見も言いにくい。その点、レストランなど公の解放された場所で食事をしながらだと、リラックスできるため、本音も言いやすくなります」(長谷川氏)
和気あいあいとした雰囲気で食事をおごってもらえば、かえって否定的な意見を言いにくくなりそうだが、「その心配はない」と、長谷川氏は言う。というのも、モニターの参加者は、食事よりもモニターに参加することに魅力を感じているため、報酬に意見が左右されないからだ。
「モニターの参加者の多くは、主婦など、社会とのつながりが少ない人たちです。そうした人たちにとって、自分が使っている商品やサービスに対する意見を言ったり、商品の企画に参加したりすることは、貴重な社会参加の機会であり、それに魅力を感じて参加することから、調査にも真摯に臨むため、率直な意見も出てくるのです」(長谷川氏)
じっさい、参加者は遠慮なく意見を言うようで、長谷川氏によれば、「モニターからの厳しい声でずたずたにされた担当者や、グループインタビューを数回実施した結果を受け、開始間もないサービスを中止した企業もあります」という。
1人数千円の費用でできるモニター調査
調査の依頼主は、個人から日本を代表する大企業までさまざまで、依頼内容も、事業化される前のアイディアの評価から既存の製品やサービスの課題抽出まで、幅広い。2013年3月のサービス開始からまだ1年ほどだが、すでに複数回数利用している企業もあるという。
既存の調査会社が多数あるなかで、新規参入の同社のサービスが利用されているのは、手軽に顧客の声を拾える点が評価されているからだ。
「通常、モニター調査を外部に依頼すると、モニター1人当たり数万円の費用がかかりますが、『ゴチソー』では、参加者の募集以外を自前で行なうと、1人当たりの費用は数千円程度で済みます」(長谷川氏)
また、ネットで参加者を募集するため、すぐに必要人数を集められることから、“ちょっと消費者の反応を確かめたい”といったときに気軽に使うことができる。じっさい、サービスの利用者からは、「本格的な調査サービスとしては物足りないが、ユーザーの声をちょっと聞きたいというときには便利」といった評価が寄せられているという。
このほか、売り手に見えていない課題を見つけられるというメリットもある。
「アンケート調査を実施するときは、サービスの作り手側は、すでに何が課題かをわかった上でアンケートの内容を設計します。一方、消費者と直接話すことにより、作り手側が気づいていなかった課題が見えてくることがあります」(長谷川氏)
リアルな消費者の声がビジネスを成功に導く
長谷川氏がこのサービスを企画したのは、マーケティング担当者と消費者との距離が遠いと感じたからだ。自身も広告代理店でマーケティングを担当していたが、消費者の声を集めるときは、外部の調査会社に依頼していた。しかし、一回数十万単位の費用がかかるため、頻繁に利用することはできないことから、普段は、ネットで調べたり、知人に聞いたりするだけで、消費者に直接聞いてみることはなかったという。そこで、もっと手軽に消費者の声を拾う仕組みがあれば、潜在的な課題やニーズが発見しやすくなるのではないかと考えた長谷川氏は、「ゴチソー」のサービスを思いついた。
長谷川氏は、この“ちょっと使い”できる手軽さを活かしたサービスをネット上でも展開していく計画だ。
「これまでは、早く調査できるといっても、参加者を集めたり、開催場所を確保したりするために、数日はかかっていました。そこでネットを活用することで、調査したいと思ったときにすぐできる体制を整えたい。たとえば、会議室でミーティングをしているときに、“ちょっと消費者の声を聞いてみたいね”となった時、その場でネットを使って消費者にアンケートをとれば、10分後には、回答が集まっているといった具合です」(長谷川氏)
消費者の生の声を簡単に聞くことができる仕組みを作ることで、消費者ニーズに沿った商品やサービスを提供することができる。そうなれば、ビジネスの成功率も高まるはずで、そこにマーケティングサービスの意義があると、長谷川氏は語った。
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