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ネジだってお洒落したい!
遊び心とデザインを取り入れた「魅せるネジ」

更新日:2012年06月06日

赤や黄色のカラフルな色。頭の部分にデザインが施され、引き出しの取手や看板のアクセントとなっている――こんな、一風変わったネジを提案・販売している川端ネジ製作所(大阪府東大阪市)。祖父の代から受け継がれる高い技術に斬新なアイデアを加え、時代を乗り越えている。
 


 
アートネジ
ネジそのものをアートにした「アートネジ」
 
 
小池衣美子氏
「高い技術とお洒落なネジの両輪で会社を盛り立てたい」と語る小池衣美子氏
 
 
フォトフレームの四隅にネジをデザイン
フォトフレームの四隅にネジをデザイン。贈り物に喜ばれる
 
 
同社のウェブサイト
お洒落なアートネジを発信している同社のウェブサイト
 
 
 

ネジを愛する気持ちがアートネジを生んだ

1953年に創業した川端ネジ製作所は、精密ネジやナットの切削加工がメインの精密ネジメーカーだ。東大阪という、町工場が集積する場所にある同社は、22年前から「アートネジ」というデザインを施したネジを売り出している。「アートネジを始めたのは、1989年。父が社長になってすぐのこと」。こう語るのは、川端謙二社長の次女で、同社のウェブサイト開設など、ソフト面をすべて受け持つ、小池衣美子(きみこ)氏だ。

考えてみれば、ネジはさまざまな製品の至るところで使われている。自動車、飛行機といった乗り物も、掃除機や洗濯機といった家電製品も、ネジ一つ抜けただけで、使えなくなることだってある。重要な役割を果たしているネジだが、そのほとんどは目に見えないところで機能する。

非常に重要だけれど地味で見向きもされないネジ。「かくれているだけじゃかわいそう……。そんな想いがあった」(小池氏)。

最初は自分でネジにカラースプレーを吹き付け、色をつけた。トライアルを重ねる中で、知り合いの塗装会社に塗装をしてもらう機会があった。そこで出来上がった試作品を見ると、単にスプレーを吹き付けたものよりも、数倍見栄えがいいものができていた。「これは商品として売り出せる」。それを見て、アートネジに商品としての高い可能性を見出した。デザインに改良を重ね、「アートネジ」として展示会に出展することにしたのだ。

インターネットでお客さまの幅が広がる

展示会では人の目はひくものの、最初はアートネジの引き合いはほとんどなかったという。「川端ネジの2代目が、趣味で変わったことを始めたぞ」。周囲にはこう揶揄されていた。

だが、90年、雑誌のデザインコンテストに応募し、3位に輝いたことで流れが変わった。「ネジだってオシャレをして表に出たいんだ!」という内容の、ネジの声を川端氏が代弁して記した「ネジからの手紙」を添えたことも入選の大きな理由だったという。「いつも黒子に徹して裏で支えるネジを、たまには表に出してあげたい」同社のネジに対する想いが、審査員に伝わったのだ。

デザインコンテストで入賞したことが弾みとなり、アートネジは、その認知度を上げていった。

新規顧客の増加に一役買ったのが、5年ほど前に開設されたウェブサイトだ。サイトの構築は、ソフト面を担う小池氏が行なっている。「本当は加工のほうが好き。でもソフト面を扱える人がいなかった」と言う小池氏。サイトを立ち上げたことにより、これまでは、関西中心だった取引先が、全国へと広がった。サイトは、同社が独自に考えた新しいアートネジを発表し販売する場としても機能している。

サイトを通じて同社のアートネジを知り、発注してきた顧客から「『この精度の高さなら』と、アートネジだけでなく、精密ネジの発注が来ることもある」と小池氏は語る。

おじいちゃんの代からの高い技術を研鑽し発展させる

新規顧客の獲得にも一役買っているアートネジだが、「アートネジだけを広めていくことはしない」と小池氏は言う。

そこには、創業以来、祖父の代から受け継がれた「精度の高いネジをつくる」という製造業としての誇りがある。

アートネジは、展示会などに出しても人目を引くものだ。「変わったことをやっている」と同社の名前を覚えてもらうことも多い。

だが、そのアートネジも、お客さまにリピーターとなってもらうには、製品の確かさが不可欠だ。どんなにデザイン性に優れていても、本来の「ネジ」としての機能性が劣っていれば、一度は購入してもらえても、二度目はない。だからこそ、「ウチが提供するのは、あくまでも“ネジ”」と小池氏は断言する。

現在、アートネジと通常の精密部品としてのネジの売り上げ比率は3対7。今後もこの比率を変えようとは考えていない。精密部品としてのネジは、数も多く定期的に発注が来る。一度顧客がつけば、安定した収益が見込める上に利益率も高い。対してアートネジは小ロットでの生産だ。「顧客数はアートネジのほうが多い。だが、精密部品としてのネジがあってのアートネジ」(小池氏)。ネジ加工の精度が上がり、より完成度の高い製品を提供し続けることで、アートネジのクオリティも自然に上がっていく――小池氏はそう考えている。

ネジを愛し、楽しく綺麗なデザインをネジに施しながら、その一方で受け継がれた技術をさらに研鑽し、精度の高いネジをつくり続けている同社。アートネジは、顧客の要望を聞きながら、求めるものを提案する形で提供している。製造業の中でも、ネジをつくっている会社は数多(あまた)ある。生き残っていくためには、何かほかと違う特徴が必要だ。アートネジはその最たるものなのかもしれない。

Company Profile

川端ネジ製作所
大阪府東大阪市衣摺4-9-11
06-6728-7570
http://www.art-neji.com/