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巻きずしをファストフードに
逆輸入して再輸出! すしロボットメーカーの挑戦

更新日:2012年04月04日

オーストラリアでは、ハンバーガーショップよりも店舗数が多いファストフード店がある。それが「ハンドロール(=巻きずし)ショップ」だ。すしロボットメーカーであるトップ(兵庫県尼崎市)玉置正彦社長は、オーストラリアでの巻きずしの機械の売れ行きから、ハンドロールビジネスに着眼。日本に、そのビジネスモデルを持ち込んだ。
 


 
おしゃれなハンドロールに変身
昔ながらの巻きずしが、おしゃれなハンドロールに変身した。デザイン性があり、ケーキのように色とりどりの中身を選んで食べるスタイルが人気を呼んでいる
 
 
トップ・玉置正彦社長
トップ・玉置正彦社長、「ハンドロールショップというビジネスモデルを世界に発信していきたい」
 
 
チーズやから揚げなど、サンドイッチに挟むようなものが、そのまま具
チーズやから揚げなど、サンドイッチに挟むようなものが、そのまま具となっている。中身がから揚げではカロリーが低いとは言えないが、すしはヘルシーというイメージが先行しているため、それが大きな強みとなっている
 
 
ハンドロールショップ
オーストラリアでは、どこにでもあるファストフードショップとして定着しているハンドロールショップ
 
 
大阪心斎橋に、期間限定で出店したモデル店舗
大阪心斎橋に、期間限定で出店したモデル店舗
 

独自の発展を遂げた巻きずしビジネス

「最初は、オーストラリアでなぜこんなに巻きずしの機械ばかりが売れるのかわからなかった」。「ハンドロール」と称されている巻きずしの新しいビジネスモデルを提案している、トップ・玉置正彦社長は、ことの始まりをこう語った。

トップは、1972年からすしロボットをつくってきた。「節分に食べることで最近人気が出ている“恵方巻き”をはじめとし、関西ではハレの日に巻きずしを食べることが定着している」(玉置氏)。そのため、弁当屋や仕出し店などでは、巻きずしの需要が多かった。専門の職人でなくても巻きずしがつくれるように、同社が巻きずし専用のすしロボットを開発したのだ。

今でこそ回転ずしなどが普及し、すしを機械で握ることも認知されてはきたが、開発当初、「すしをロボットで握るなんて……」という声が多かったという。

だが、実際売り出した機械は、誰でも巻きずしをつくることができる利便性が受け入れられ、弁当屋や仕出し店だけでなくスーパーの惣菜をつくる部門など幅広く受け入れられたという。

すしは、ヘルシーな日本食の代表格として、海外でも人気だ。ただ、日本と違い生魚を食べる習慣があまりない欧米諸国では、生ものを使わない巻きずしが中心だと言う。

「特にオーストラリアでは、巻きずし専門店がハンバーガーショップやサンドイッチ店と同じ感覚で存在する」と玉置氏は語る。朝ごはんやランチ、おやつなど、手軽に食べられるおしゃれでヘルシーな日本食として、定着しているのだ。

ファストフードとしてハンドロールを選ぶ日

一方で、すしの本家ともいえる日本では、創作料理をつくる和食レストランなど、カリフォルニアロールなどの変わりずしとして巻きずしを提供している店はある。だが、専門店はこれまでなかった。

さらに、日本では、高級鮨店はもとより回転ずし店で女性同士で食べている姿を見かけることは少ない。持ち帰り専門店でちょっと買っていくという女性もあまりいない……。そう考えた時、玉置氏は、ここに新たな市場があるのでは、と閃いた。

従来の持ち帰りずしとは一線を画し、見た目をおしゃれにアレンジしたハンドロールなら、OLを中心とした若い女性に人気となるのではないかと考えたのだ。

「ハンドロールが日本に根付き、専門店が増えることは、ひいては巻きずしロボットの需要増につながる」(玉置氏)。

こうした構想のもと、玉置氏は店舗展開の専門家であるフードコーディネーターとコラボレーション。2010年、期間限定のモデル店舗として、ハンドロールショップを大阪の心斎橋にオープンした。

すると、玉置氏の読みどおり、外見のおしゃれさや目新しさから、ハンドロールショップは好調な売れ行きを見せていた。

日本発だからこそ海外にチャンスあり

すしは日本国内以外の海外でもポピュラーな食べ物となってきている。しかし、「海外で食べると日本のものとは何か違う」と違和感を感じる声を聞くことも確かだ。「それは、欧米諸国ですし店を営む人の多くが、日本ですしをイチから学び、つくっているわけではないため、味に違いが出るのだろう」と玉置氏は言う。

日本ですし店を開店しようと思えば、技術を研鑽する方法はいくつもある。近所のすし屋や知り合いのツテをたどって弟子入りをすることもできるし、大手すしチェーンのフランチャイザーとなる手法もある。

だが、海外ではそうはいかない。すし店を開きたいと考えても、何から始めたらいいか、教える人がいないのだ。海外のすし店で、往々にして「これがすし?」というものが提供される理由はここにある。

同社には、海外の企業から「回転ずし」をやりたいという問い合わせが来ることも多かった。だが回転ずしをやるための設備は価格が高い。海外ではリース制度が普及していない国も多く、初期投資に莫大なお金がかかる。

しかし、同社が提案するハンドロールショップであれば、小規模でも専用のすしロボットがあればできる。実際、期間店を見たいくつかの海外企業から、自国でハンドロールビジネスをやりたいという申し入れがあった。

巻きずしの具は、酢飯に合うものであれば何でもいい。その国で普段食べているおかずを具にすることができるため、どこの国の食文化にも融合しやすいのだという。

「什器の置き場所やご飯の炊き方など、細かいところまで指導し、本物の日本のすしを海外で提供できるようにしたい」。玉置氏には、そんな思いもあった。

さらに、すしは日本の食べ物ということが、どこの国でも定着している。「だからこそ日本流にカスタマイズしたハンドロールビジネスが、世界に受け入れられる」と玉置氏は言う。

機械を売るだけでなく、使い方のシーンまでをも想定し、それを踏まえたビジネスモデルを提案する──。この新しいビジネスが日本で根付くと同時に、海外に広まる日はそう遠くないだろう。

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