経営者の味方「社長・経営者のための経営課題解決メディア WizBiz」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  ビジネスコラム >  莫邦富的視点・21世紀の大国中国を見つめる  >  電子商取引と絡むビジネスチャンス  詳細


電子商取引と絡むビジネスチャンス
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2014年08月06日

中国ビジネスにおおいて、ネットをプラットフォームにする電子商取引が急速に発展しているという。
 


 
莫邦富氏
 
 
著者新刊
莫邦富が案内する中国最新市場 22の地方都市
莫邦富が案内する
中国最新市場
22の地方都市

莫邦富著(海竜社刊)
価格¥1500
見た!聞いた!歩いた!徹底的な現地取材で得た「明日の星」22都市の市場魅力
 
日中「アジア・トップ」への条件
日中「アジア・トップ」
への条件

謙虚になれ中国、
寛容になれ日本

 
莫邦富著(朝日新書
)
価格777円(税込)

朝日新聞土曜「be」の好評連載「mo@china」の内容を凝縮
 
バックナンバー一覧
 

ボトルネックになっている物流サービス

ここ数年、中国ビジネス、特に小売市場を語る時、避けて通れないキーワードがある。「電商」だ。ネットをプラットフォームにする電子商取引のことを意味する。

中国国内の商取引だけではなく、国際商取引においても、その発展ぶりには目を見張るものがあった。

たとえば、近年、中国の国際郵便の数の増加ぶりを見てみよう。中国税関当局の統計によれば、2012年、中国税関管理を受けた速達郵便の総量は3億5000万個で、前年同期比23.4%増であった、という。国際速達郵便のうち70〜80%は電子商取引関連のものだと言われる。

言うまでもなく、FedEx、UPS、DHL、TNT Express、さらにマースクラインなどの国際海運企業などの国際物流会社もその恩恵を受けた。

中国企業も指を咥えて見ているだけのはずはない。中国郵政も国際速達業務を積極的に展開しており、eBayの売り手向けに国際e郵宝という国際郵便サービスを行なっている。国際e郵宝の料金は重量制で、50グラム以上は1グラムごとに計算し、書留料金はかからない。2013年、国際e郵宝サービスは中国国内の40以上の都市で行なわれ、一日の取扱個数は10万以上である。

順豊速運は「海購豊運」というブランドで海外通販市場に参入している。2013年6月からは、中国からアメリカ・日本・マレーシア・韓国・シンガポールに輸出される速達便に対して通関代行料金を免除している。

ただ、中国郵政や順豊速運など中国国内企業でも国際速達サービスを手掛けてはいるが、全体的には、カバーエリア・配送効率・情報収集などの面で国際物流会社との間にまだ大きな差があり、電子商取引企業のニーズには応えきれていないのが現状だ。

その意味では、中国の国際電子商取引の発展にとって物流サービスはボトルネックとなっていると言えよう。

海外での知名度がまだ低い第三者オンライン支払サービス

もう一つ、電商の隆盛によって極めて繁忙になったのは、国際電子商取引の支払いサービスだ。

現在、国際電子商取引の分野では、銀行振替、クレジットカード、第三者オンライン支払などさまざまな支払方法が共存している。国際B2Bでは主に、従来のオフライン式で取引を行ない、支払方法は主にクレジットカードや銀行振替である。国際B2Cでは主にオンライン決済方式で取引を行ない、第三者オンライン支払が広く使用されている。

アメリカのPaypalは世界中で最も広く使用されているオンライン決済方式で、ユーザー数は1.32億人以上。25種類の通貨での使用が可能である。Paypalが中国の国際電子商取引企業にオンライン外貨支払サービスを提供してすでに数年が経っており、中国国内の貿易従事者にとって必須のツールだと考えられている。

中国でも近年、第三者オンライン支払サービス業者が次第に台頭しつつあり、トップ3のアリペイ(支払宝)、財付通、銀聯電子支付が国内シェアの78.5%を占めている。

こうした第三者オンライン支払サービス業者は続々と国際決済分野に参入している。2013年、アリペイ、財付通、銀聯電子支付、匯付転化、通融通など17の中国国内の第三者オンライン支払サービス業者に国際決済業務の試行資格が与えられた。これらの企業は銀行を通じて小口電子商取引の売り手買い手双方に国際インターネット決済に関わる外貨集中受取支払業務および関連の外貨決済サービスを提供することができる。

課題も残されている。これらの第三者オンライン支払サービスやその業者が海外ではまだ知名度が低く、それほど認知されていない。それぞれの特徴も理解されていないと思う。電商ビジネスの拡大に従って、電商を支えるこうしたビジネスサービスもやがて消費者に深く認識されるだろうと思う。その時になってはじめて、電商が大飛躍を実現できる時期になると信じる。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/