経営者の味方「0円ビジネスマッチング WizBiz(ウィズビズ)」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  ビジネスコラム >  莫邦富的視点・21世紀の大国中国を見つめる  >  私が見た2つの清里の表情に想う  詳細


私が見た2つの清里の表情に想う
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2014年04月09日

早春4月、妻とともに山梨県北杜市にある清里を訪問した筆者。筆者が見た2つの清里の表情に、今日の日本が活写されていると思ったという……。
 


 
莫邦富氏
 
 
著者新刊
莫邦富が案内する中国最新市場 22の地方都市
莫邦富が案内する
中国最新市場
22の地方都市

莫邦富著(海竜社刊)
価格¥1500
見た!聞いた!歩いた!徹底的な現地取材で得た「明日の星」22都市の市場魅力
 
日中「アジア・トップ」への条件
日中「アジア・トップ」
への条件

謙虚になれ中国、
寛容になれ日本

 
莫邦富著(朝日新書
)
価格777円(税込)

朝日新聞土曜「be」の好評連載「mo@china」の内容を凝縮
 
バックナンバー一覧
 

廃れていく駅前

妻とともに山梨県北杜市にある清里を訪問した。これまでは、特急電車で小淵沢駅に降りて、出迎えの車で清里に移動するケースが多かったが、今回は小海線に乗り換えて清里駅まで移動した。その意味では、清里駅前を歩いたのは2年ぶりだ。目的地の萌木の村まではタクシーを呼ばずに散策がてら歩いて行くことにした。

そのため、普段、車の移動では気付かない変化に自然に気付き、いろいろと考えさせられた。

4月上旬の月曜日なので、駅前にも萌木の村までの道中にも人影がほとんどなかった。これ自体は別に驚いていない。私が驚きを覚えたのは、駅前の商店群のなかで駅舎に一番近いある大きめのレストランが閉店してしまったことだ。1年半前に、学生たちを連れて社会調査に来たとき、多くの学生と一緒にそこで食事した光景がまだありありと記憶に残っているのに、店はもう閉まってしまったのだ。清里の凋落ぶりに目を覆いたくなる。

萌木の村に行く途中、道路の右側に幽霊屋敷みたいな未完成のビルが建っている。曝け出されている鉄筋や鉄骨が錆だらけだ。すでに20年ぐらいは経っていると思うが、資金が途切れたため、建築を途中からやめてしまったビルである。その幽霊屋敷と呼ばれる未完成のビルは寂しい清里の町の風景を一層寒々としたものにしている。なぜ撤去できないのだろうかと、このビルを目にする度に、いつも不思議に思っている。

バブル時代、東京の原宿なみの賑わいを知っているだけに、今の寂れた清里に対して私はある哀愁を自然に抱く。時代の流れに抵抗するすべもなく流されていくのみという無力感を覚えた。

地元の元気さを取り戻そうとする萌木の村

しかし、萌木の村に近づいてくると、様子が少しずつ変わってくる。空き地が萌木の村の臨時駐車場に活用されている。繁忙期の萌木の村の賑わいぶりを思い出す。駅からはだいぶ離れているが、集客力のある萌木の村に近いという理由か、道路横にあるラーメン屋が営業中という看板を出している。

萌木の村に入ると、広場のところでは、石垣を作っている。環境整備のプロジェクトが動いている。自ら作業服を身にまとった舩木上次社長がショベルカーを操縦しながら、石を積む作業をしている。広場の横の丘の斜面に横穴ができている。ワインやウイスキーなどを貯蔵するワイン蔵に案内された。

中国の現場でいろいろ大きな工事を見慣れた目から見れば、ちょっとばかりの工事のように見えるが、少子高齢化が進む日本の地方の一企業の規模を考えると、その工事が進行している光景は逆に心強く見えてくる。特に駅から萌木の村までの荒廃ぶりを目の当たりにしてきただけに、逆境の中でも運命に負けずに前へ進もうとするその姿に、感動すら覚えた。

早春4月、今年の観光シーズンがまさに始まろうとするこの頃、駅前で実感した廃れていく地元の流れ、そして萌木の村で目にしたその流れに逆らって地元の元気さを取り戻そうとするその努力ぶり。私が見たこの2つの清里の表情に、今日の日本が活写されていると思う。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/

  貴社の事業が世界に広がる!
WizBiz海外進出デスク

「自社の商品が海外で売れるか試してみたい」「リスクを最小限におさえて海外進出したい」「海外に進出したいが、どうすれば良いのかわからない」そんな経営者様は『WizBiz海外進出デスク』をご活用ください!
  あなたの運勢は!?
経営者のための占い「WizBiz経営者占い」

「WizBiz経営者占い」は、「経営者のための占い」をキーワードにした占い情報が満載です!経営の悩み解決に、経営の運気アップに、経営の判断の後押しに「WizBiz経営者占い」をご活用ください!

■関連記事
ソフトバンクの店員の接客問題をあなたなら、どう見る?(2014年3月12日)
柳井正氏の『現実を視よ』を読む(2014年2月19日)
私はなぜ日本航空の機内食とラウンジ食に噛みついたのか(2014年1月22日)
甘味と香りに感激した豚肉(2013年12月18日)
離島・宮古島の南西楽園リゾートホテルのペット誘客作戦(2013年11月27日)
『南仏プロヴァンスの12か月』がくれたヒント(2013年10月30日)
中国旅行に、なぜ日本航空よりも全日空を選びたくなるのか(2013年10月2日)
地方の町おこしに現われた外国人助け人からのヒント(2013年8月28日)
川床料理と流しそうめん(2013年7月31日)
一本のバナナを四人で分けるハイアール創業時のエピソード(2013年7月3日)
読書筆記:企業を変えるカギ―を教えてくれた一冊(2013年6月12日)