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柳井正氏の『現実を視よ』を読む
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2014年02月19日

ファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長の柳井正氏が書かれた『現実を視よ』(PHP研究所)から、筆者が受け止めた最初の2つのメッセージとは……。


 
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商人気質の勧め

私がもっている連載コラムのひとつは、時事通信社が発行する時事速報という媒体に掲載される「莫邦富の『以心伝心』講座」だ。

春節明けに書いたのは、講座第290回の「渠道為王」である。ユニクロを率いるファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長の柳井正氏が書かれた『現実を視よ』(PHP研究所)を勧めるという内容だ。

同書の中で、柳井氏はまず技術力ばかりを重視しがちな日本の商慣習に砲火を浴びせた。いいものをつくっていれば必ず売れる。これは日本の製造業にとって神話に近い技術信仰だ。しかし、「それは時代遅れの考え方と言わざるをえない」と柳井氏が指摘している。

「職人気質(かたぎ)」という言葉で評価されている日本企業のその特徴も、「必ずしもこの『職人気質』は強みとして作用しない。場合によっては弱みになることもある」と柳井氏に喝破された。彼はむしろ、「職人気質」よりも「商人気質」を勧めている。

中国ビジネス現場でいろいろ見てきただけに、柳井氏のご指摘がいやというほどわかるが、ここまで言って大丈夫なのか、とはらはらしているところもある。しかし、中国ビジネスにおいて大失敗を経験したあとで大成功を収めた経験者の言葉だけに、そこには無視できない重みがある。

つまり、柳井氏が強調したように、「どれだけ素晴らしい技術であっても、顧客ニーズを満たしていなければ、マーケットでは受け入れてもらえない」のだ。

中国ビジネスの現場では、「渠道為王」という四字熟語をよく耳にする。それは、販路を押さえているほうが強い、という意味だ。ここに言う「販路」は、市場ニーズと読み替えてもいいと思う。

進出先の強者と手を組もう

しかし、柳井氏が率いるユニクロは世界でどのようにビジネスを展開させていくのかをよく見ると、その海外進出スタイルには、いくつかはっきりした特徴がある。

まずは、失敗を恐れない。「失敗は成功の母」と見ている。

たとえば、2001年、イギリス・ロンドンに最初進出した。2年間で21店舗まで事業を拡大した。しかし、知名度不足で売り上げが伸びず、赤字の重荷に耐えずに規模の縮小を余儀なくされた。

2002年に上海、05年に北京に進出したが、上海は4年間、赤字が続いた。北京の2店舗はわずか1年で閉店に追い込まれた。

同じ05年に、アメリカにも進出し、ニュージャージ州郊外のショッピングセンターに3店舗を出した。結局、のちに全滅した。

だが、そこはさすが柳井氏だ。失敗から学んだ彼は、徹底したブランディング戦略と「高品質でベーシック」というブランドコンセプトをもって再度、ロンドン、パリ、上海に挑戦した。今度は大成功を収めた。

「いったん受け入れられると、あらためて中国の規模や成長スピードは脅威である。敵に回したら怖いが、味方につければこれほど心強い国もない」というのは、柳井氏の感想だ。

次は、世界(海外進出先の)の強豪と手を結ぶことだ。

ユニクロの海外進出は、基本的に単独ではなく現地の企業と資本提携し、合弁会社を作るようなスタイルを貫いている。「組むのはたいていその国のトップ企業だから、ビジネスに関して学ぶところが多く、勉強になる」(柳井氏)。

たとえば、韓国でのパートナーは、ロッテの子会社であるロッテショッピング社。グローバル旗艦店がオープンした日、韓国ファッション小売業の一日の小売り上げ記録を塗り替えた。香港ではウィンタリ・リテイル社。のちに、ウィンタリ社の力を借りて、シンガポールに7店舗、マレーシアに5店舗の出店を果たした。フィリピンでは、同国中に百貨店、ショッピングセンター、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、家具専門チェーン店を幅広く展開しているSMリティル社と手を組んだ。

『現実を視よ』はつまりクローバルビジネスを展開するために、グローバルマーケットの現実をしっかりと視なさいというメッセージを伝えているのだ。私が受け止めた最初の2つのメッセージは、以上の商人気質の勧めと進出先の強者と手を組む勧めだ。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/

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