甘味と香りに感激した豚肉
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜
更新日:2013年12月18日
お歳暮で届いたの肉製品のギフトセット。わが家のほかのメンバーもそれほど肉類は食べないのだが、ひと口食べて感激した。「やっぱり名物豚肉だ」と。
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甘味と香りに感激した豚肉
師が走る季節になった。今年も残りわずかとなり、少しでも実績を残したいという気持ちに駆られて、心なしかある種の緊張感を覚えた。そこでいろいろな方や企業から送られてきたお歳暮が届くと、励まされた思いになり、少しばかりはその緊張感から解放された気もする。
今年、いただいたお歳暮には、ソーセージや焼き豚などの肉製品のギフトセットがあった。決して草食系の男ではないが、実は私もわが家のほかのメンバーもそれほど肉類は食べない。まず自分ではソーセージや焼き豚などの肉製品は買わない。だいぶ以前のことになったが、いただいたソーセージや焼き豚などの肉製品のお歳暮のほとんどは他人にお裾分けし、自分の手元にはそのわずかしか残さなかった。
案の定、妻は肉製品のギフトセットを前に、苦悩した表情を見せた。そこへ私はさりげなくひと言を妻の耳に吹き込んだ。「肉製品は肉製品だが、名物豚肉だよ」
その日の夕食の白菜炒めに、妻はソーセージの1本を短く切って入れてみた。実際、食べて見ると、肉の臭みはまったくなく、むしろ小さい頃食べたことのあった豚肉の香りが蘇った。そこで妻も私も「やっぱり名物豚肉だ」と感激し、その肉製品のギフトセットを見なおした。
酵素を餌に飼育された銘柄豚
実は、このお歳暮は、千葉県旭市にある栄進フーズが生産した肉製品であった。栄進フーズは、手作りギョーザ・シューマイ・チルド食品、中華惣菜・冷凍食品、業務用食材・水産加工品・食肉加工品などの製造販売を手掛けるほか、農業・畜産事業、旅館・飲食店・土産品店などの経営にも力を注いでいる食品会社だ。
栄進フーズが野菜を生産するとともに、畜産での新たな試みとして、大高酵素との共同開発で、新しい銘柄豚「なでしこポーク(NADESHIKO PORK)」の生産にも取り組んでいる。
飼育される豚は肉質に優れた独自交配の「三元豚」で、その餌には約50種類以上の野菜や果物を使った酵素飲料とオリーブオイル、米、芋などをふんだんに配合し贅沢に使っている。そのため、豚肉はオリーブオイルの主成分である「オレイン酸」を多く含み、臭みがなく、旨味・甘味に優れたものになる。そこで「なでしこポーク」というブランドを立て、銘柄豚の開発に成功した。
2011年8月から、「なでしこポーク」は東京都心を中心とした首都圏の高級レストランなど一部の店舗に限定出荷を始めた。間もなくして好評を得て、生産豚数を増やし、より多くの店舗に「なでしこポーク」を提供するようになった。
「なでしこポーク」のギフトセットは日を追うほどに減っていく。その急速な減りぐらいを見ながら、私は日本の物のこだわり方に対して新たな認識ができた。
著者プロフィール |
莫 邦富(Mo Bang-Fu) |
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