莫邦富的視点
中国富裕層市場への切り込み方を教える一冊
莫 邦富(Mo Bang-Fu)
更新日:2008年04月17日
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最近、銀座のデパートで見かける「銀聯カードのご使用も可能」という表示。中国人の消費力がいよいよ海外市場にも浸透してきたと感じさせられる瞬間である。
その一方で、普段日本で報じられている中国のマイナス面との乖離。
一冊の本をもとに、本当の中国を捉え、成功するマーケティングについて探る。
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日本の主要デパートで感じた中国マネーのパワー
台湾の総統選挙で国民党の馬英九氏が圧倒的な勝利を手にしたことで、暗雲垂れ込めていた台湾海峡両岸の緊張がようやく緩和したかと胸を撫で下ろしていたら、今度はチベット問題が発生した。次は新疆ウイグル自治区と内蒙古自治区の独立派、さらに法輪功、民主化運動による抗議行動が起きるだろう。北京オリンピックを迎える中国はさまざまな問題を抱え、こうしたハードルをひとつひとつ跳び越えなければならない。
しかし、そうは言っても、急速に「世界の工場」から「世紀の市場」へとその位置づけを変えていく中国の存在感は、日本国内で実感するものより遥かに大きくなっている。いや、よく観察すれば、日本でも中国の存在感が日に日に大きくなっていくことに容易に気づく。
先日、用事で銀座に行ったとき、たまたま打ち合わせ時間よりちょっと早めに着いてしまったので、暇つぶしに銀座松坂屋を覗いてみた。1階の化粧品フロアに、中国人観光客が買い求めやすいようプレゼント用の化粧品のパッケージが用意されている。値段も手ごろで、それなりの見栄えもある。これなら確かに買い求めやすいなあ、と私も思わず感心した。
これらの商品を展示するコーナーの横には、必ずと言っていいほど「銀聯カードのご使用も可能」と親切に書いてある。銀聯カードとは中国のクレジットカード会社だ。VISA、JCBの中国版と考えればいい。
銀聯(ぎんれん)カードについては、創立から歴史が短く、日本を含む海外ではそれほど積極的にビジネス舞台を切り開くための営業活動をしていないと私は思っているが、実際は日本市場への浸透ぶりには目を見張るものがある。電気街の秋葉原をはじめ、東京の主要デパートでもどこも銀聯カードの使用を歓迎するといった表示をしている。中国人の消費力がいよいよ海外市場にも浸透してきたと肌で感じさせられる瞬間だ。
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プロフィール |
莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 |
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