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地方の町おこしに現われた外国人助け人からのヒント
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2013年08月28日

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2002を受賞したセーラ・マリ・カミングスさんが、IBM社が主催する「天城会議」の講師として招かれたそうです。
 


 
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今年も天城会議に参加

2010年から8月のある週末は、伊豆で過ごすようになった。IBM社が主催する「天城会議」に参加するためだ。

以前、このコラムの第46回に、天城会議と会場について書いたことがあるが、はじめてこのコラムをお読みになる方のために、もう一回簡単に紹介しておこう。

富士箱根伊豆国立公園の一角にある伊豆・天城高原に、IBM社が運営する天城ホームステッドという社内研修施設がある。毎年、この2万1000坪の森に囲まれた施設に、普段多忙な生活を送っている産・官・学・報など各分野のエグゼクティブが集まり、日中は世の中の最新動向とその研究結果、知見と情報の交換に熱い議論を交わし、夜は温泉で汗を流し、打ち解けた雰囲気の中で知的な交流を深める。インターネットが使える客室が80室あるので、参加者の人数がおのずと制限されてしまう。

今年の講師の一人は、セーラ・マリ・カミングスさん(Sarah Marie Cummings、1968年生まれ)という女性であった。アメリカ合衆国ペンシルベニア州生まれのカミングスさんはいまや、株式会社桝一市村酒造場取締役、株式会社小布施堂取締役、SMC株式会社代表取締役などの役職をもっている。長野県北部千曲川東岸に位置する小布施町も他の地域と同じように、高齢少子化の影響で経済と地域社会が急速に活気を失っている。

1993年、ペンシルベニア州立大学を卒業した彼女は長野オリンピックに憧れ、地元の企業に入社した。しかし、すぐに古い日本という壁にぶつかり、もがいた彼女が翌年の1994年に、地元の老舗和菓子屋に入社し、1人で経営情報室を立ち上げた。

1996年に欧米人としてははじめて「利酒師」も認定された。1998年の長野冬季五輪では、たった2名で英国選手団を取り仕切った。同年に、北斎150回忌に合わせて、500人規模の学術会議「第三回国際北斎会議」を企画・運営し、小布施という地方の町で大規模な国際会議の開催に成功した。やがて「小布施堂」、「桝一市村酒造場」など地元の企業の取締役に就任していく。有名なデザイナーに依頼し、地元の蔵をレストランに改築したり、マラソン大会を始めたりなどして、田舎町自体の魅力を再発見しながら、活気が失われていた小布施の町おこしの立役者となった。

地方の活性化に外国人助け人を

保守的なイメージが強い長野の地方で、取り組んだのが伝統の老舗和菓子屋、造り酒屋の改革だったこともあり、きっと相当な抵抗にも遭っていただろう。しかし、なぜ外国人に日本の地方の文化を守る大任を任せなければならないのか、天城会議の参加者から疑問が投げかけられた。

そのとき、同じ外人である私は思わず、廬山を詠んだ蘇東坡の名詩を思い浮かべた。

西林の壁に題す

廬山の中にいるから、山の全体の様子が分からないということを詠んだこの詩は、中国人の日常生活の中に生きている。当事者よりは第三者のほうがよく事態を把握している、と理解していいだろう。

そこで私は観光立国と叫ばれている日本では、新幹線の切符を買うと、漢字の地名しかプリントされておらず、地名のローマ字読みはついてない、などといった事例を取り上げて、外国人だから普通の日本人以上に日本の問題と長所を敏感に感じるところもある、と指摘した。さらに、明治時代の政府運営に、外国人の助け人が絡んでいたことを参考に、いまや教育の現場ではすでによく見られる英語などの外国語を教える外国人助手のように、地方の活性化に、カミングスさんのような現代版「外国人の助け人」を導入できる制度を構築したらどうだ、と提案した。

読者のみなさんは、この提案をどう思うのだろうか、ぜひご意見を聴かせてください。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/