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莫邦富的視点
人民元は世界の基軸通貨となれるのか
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2008年03月19日

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 最近、米ドルに対する評価が急激に下がっている。
 そうしたなか、世界の熱いまなざしが人民元に注がれているが、果たして人民元が世界の基軸通貨の一極をなす日はくるのだろうか。

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莫邦富氏
 
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人民元の自由兌換はいつ実現するのか

中国国内でも人民元に対する評価がかなり変わってきた。米ドルの預金を人民元に両替して、人民元のままで預金し続ける中国人が主流となった。さらに、将来の東アジア共同圏または東アジア経済共同圏を念頭に、アジアの共通通貨の誕生を期待する声も高まっている。中国語で「亜元」と呼ばれる共同通貨の基本を成すのは人民元だろう、と将来図を描く人も多い。

対米ドルの為替レートが07年には約7%も人民元高となった。08年2月15日、1ドルは7.17元という記録を作った。08年に入ってから、人民元高の記録は14回塗りかえた。これは、08年に入ってから米ドルに対する人民元の為替レートがすでに1.79%も元高になったことを意味する。

中国人民銀行が05年7月21日、対米ドルレートを8.11元に調整したが、そこから見ると、米ドルに対して、人民元が実に13.01%も切り上げたことになる。しかも、その勢いはまだ収まらない。08年中に、人民元の対米ドルレートは10%も高くなるだろうと見られている。

人民元高が中国経済に対してメリットなのかそれともデメリットなのか。それについて中国国内でもいろいろと議論され、見方も分かれている。しかし、人民元高はもはや避けられない。ただ、急激な元高は絶対によくない。こうした考え方が中国国内では主流となっている。

一方で、人民元高はすでに人々の生活に大きな影響を及ぼしている。まず人民元対香港ドルとの力関係が逆転してしまった。つい最近まで、香港に隣接する広東省をはじめとする中国国内のほとんどの地方では、人民元の支払いよりも香港ドルの支払いが喜ばれていた。為替レートも香港ドルのほうが高い。1香港ドル対1.08元だった。しかし、いまやその関係が逆転してしまった。1香港ドルは1人民元も両替できなくなった。深センなど広東省の都市部で、タクシーの運転手が香港ドルの支払いを断わるという現象が起きている。

香港ドル、マカオのパタカ、そして中国本土の人民元。現在、台湾を除き、中国ではじつは3つの通貨が使用されている。香港ドル、マカオのパタカを廃止して、通貨を人民元に一本化したらどうか、という声も出てきた。

しかし、ここまで注目されている人民元だが、じつはいまのところまだ自由には両替できない。香港の経済学者の中には、2010年に人民元が自由兌換できるようになるだろう、と予測する人もいる。中国の金融当局は、「人民元を自由兌換できるようにするために、まだいくつものハードルを跳び越えなければならない。現時点ではそのスケジュールがまだできていない。しかし、水が自然に流れるように人民元の自由兌換を実現したい」と発言している。

人民元が米ドル、ユーロと肩を並べて、世界の基軸通貨の一極をなす日は果たしていつ訪れるだろうか。

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プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』『日中「アジア・トップ」への条件』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/