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莫邦富的視点
年賀のあいさつに見られる中国像

更新日:2011年01月19日

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 年賀状を通して、日本人の特派員、外交官の中国へ対する思いを読み解いています。

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中国を見つめる複雑な視線

しかし、やはりその中国を不安視する年賀状もある。

「上海は今年は思ったより静かな年末年始でした。嵐の前の静けさでしょうか。国際社会に対し発言力を強める中国の台頭と予測不能となった日中関係の荒波を2011年も冷静に見つめていきたいと思います。
添付した画像は上海市内を流れる黄浦江をはさんで、左岸が21世紀の浦東国際金融センターを象徴する高層ビル群と、右岸が19世紀の英仏共同租界時代の建物が並ぶバンドです。この2つがヘーゲルの言うアウフヘーベンによって上海の姿を形作りますが、どこまでが実像でどこまでが虚像なのか、正直なところよくわかりません。中国全体の『偽りの正面』であるのかもしれません……」(上海駐在の日本特派員D氏)

中国現場にいるだけに、その特派員が中国の変化と成長を認めながらも、どこか不安がっている気持ちがよく伝わる。その立場と心境は理解できる。

一方、そうした日本または日本人の姿勢に痛烈な批判を浴びせる声もある。

「日中関係は依然厳しいですが、最大の背景要因は、日本国内の混迷と日本人の自信喪失で、中国は『八つ当たりの的』になっていることだと思います。新安保大綱などで中国を念頭にした軍備拡張も始まっていますが、正直に言って、僕は『お好きにどうぞ』と言いたいものです。」(大学教授E氏)

感動した外交関係者のメールもある。年末にもらったものなので、文中の今年は昨年のことを指している。
「今年は日中関係にとっても私本人にとっても、とても不安定な一年でした。中日関係の脆弱さがまたもや現われてきました。外部の環境変化に影響されない日中関係の構築は極めて重要なことだと思っています。その視点から見れば、今の日中関係の現状を目の前にして、日中関係にかかわる日本側の一人として、私は申し訳ないと思っています。日本と台湾関係は今年、実務的に進展した一面もありますが、困難な一面もあります。来年も最大の努力を尽くして、しっかりと日中関係と日台関係を推し進めたいと思います。」(外交官F氏)

たとえ、現場の責任あるポストに付いている外交官であっても、国と国の外交関係の動きは一個人の力またはその意欲ではなかなか変えにくい。それでも「日中関係にかかわる日本側の一人として、私は申し訳ないと思っています」というこの外交官の言葉に感動した。そこに、彼の真摯な気持ちと謙虚な姿勢が滲み出ていると感じたからだ。

来年の正月を迎える時、これらのメッセージと日中両国関係の変化を読者のみなさんも一緒にもう一度チェックしてみたいものだ。

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著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/