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莫邦富的視点
観光ビジネス現場で見た心温まる小さな出来事

更新日:2010年10月26日

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 知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続ける莫氏によるコラムです。日本の観光現場で見た、ささやかだが心温まる思いを残してくれた2つの出来事を紹介しています。
 

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丸駒温泉の無線LAN

北海道千歳を訪問した時も、似たような感動を覚えた。

支笏湖の奥にある丸駒温泉に到着した夜、私はやや狼狽した。その日はたまたま香港の新聞にもっているコラムの締め切り日で、夜にメールで原稿を送信しなければならない。しかし、温泉の旅館の丸駒温泉の客室にもロビーにもインターネットが利用できる環境はなかった。

秘湯の誉れ高い丸駒温泉だから、普通の顧客ならばたぶんインターネット環境がなくても困らないだろう。むしろ私が例外的なケースなのだと自分に言い聞かせた。旅館にはまったく不満を持たなかった。

旅館の佐佐木金治郎社長から「何かご不便なことがあったら、遠慮なく教えてください」と言われた時、そのやさしい笑顔を見て「旅館のロビーにインターネットの無線LANがあればいいのですが」とつい口走ってしまった。言った後、後悔の念に襲われた。ひょっとした旅館側は、旅の非日常性を楽しませる秘湯というイメージを演出するためにも、インターネット環境を提供しないことにしているかもしれない、と思った。

しかし、私の提言を聞いた佐佐木社長は頷き、「明日、すぐにそのようにしましょう。お客さんが求める今日的なサービスです」と約束した。

上高地帝国ホテルの中国語パンフレットにしても、丸駒温泉の無線LANにしても、観光客誘致にどれほど効果を生むかと聞かれると、私にも答えられない。しかし、こうした小さな行動の一つひとつが重なることは、ホスピタリティにつながる。日本観光業のサービスのよさとして覚えられていくだろう。

日本の観光現場で見た、ささやかだが心温まる思いを残してくれた2つの出来事だった。

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著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/