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莫邦富的視点
鳥羽で出会った素朴な人たち
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2010年09月28日

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 知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続ける莫氏によるコラムです。
 三重県の鳥羽市。24時間しか滞在しなかったにもかかわらず、強い印象を受けたという。
 

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リピーターにさせる魅力的な2人の若い女性

鳥羽市外国人観光客誘致促進協議会の補助員という肩書の岩崎織江さんから名刺を渡された時、私は幹部たちの後ろにくっ付いてきた事務員的な女性だろうと軽く思っていた。

しかし、海女小屋で食事した後、1時間近く地元の観光施設や石神神社などを案内してくださった。その時、彼女の持ち味が次第に出てきて、町の雰囲気や変化、これからの課題、私の見落としたところをさりげなく教えてくださった。

海辺に生まれ、大学生活は山ばかりの山梨県で送った。地元の石神神社に願い事をしたら、その後結婚したい男性とめでたく出会えた。「本当に願い事を叶えてくれるのよ」と教えるその表情に、真剣さが滲み出る。

ひと言も「うちの町のインバウンド事業を手伝ってくれ」と頼まれていないにもかかわらず、力になりたいと自然に思えた。その落ち着いた表情のどこかに潜められている女性の魅力に惹かれてしまったかもしれない。「事務員」と軽くあしらっていた自分は軽薄だったとひそかに反省した。

鳥羽を離れる前に、1時間ほど早めにホテルをチェックアウトして、伊勢市二見浦にある夫婦岩を見に行った。日の出で名高いその夫婦岩を見終わった後、駅に行くにはまだ少し時間があるので、明治20年(1887)に建築し、皇族や各界要人を迎えたことで有名になった賓日館に立ち寄った。

賓日館の歴史と館内の内容を解説してくださったのは、快活な大倉美希さんだった。チャイナドレスが好きと言われる彼女の、人の心を掴んで離さない見事な解説に、いつの間にか真剣に聞き入っていた。案内役の李さんに出発を催促されるほど時が経つのを忘れた。

中国の文化人が日本を訪問する時には、ぜひこの鳥羽に案内したい。そしてそこに暮らす岩崎さんや大倉さんたちに会わせたい。

24時間しか滞在しなかった町にこれほど強い印象を抱いたことはあまりなかった。「リピーターとなってもう一度訪問したい町はこういう町ではないか」。講演先の名古屋に行く電車の中で、私はそう思った。

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著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/