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莫邦富的視点
美味しさの裏に潜む経営意識
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2007年10月25日

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 最近、外食して感動を覚えた。感動的な思い出は、美味しい食事に出会ったことに対するものだけではなく、客の不便を思って考案したサービスに対するものでもあった。
 こうしたサービスを生み出すものは。美味しさの裏に潜む経営の意識を探る。


 
莫邦富氏
 
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中華レストラン「潮夢来」で覚えた感動

最近、外食して感動を覚えたことを記録しておこう。
東京汐留にある日本テレビ社屋ビルに、「潮夢来」という中華レストランが入っている。この間、友人たちと一緒にそこで食事をした。妻が以前、娘と2人でこの店をチェックしていたが私は初めてだ。「料理は結構凝っていたわよ」と妻は店を褒めていた。

実際に店で食べてみて、妻の評価は確かに外れていないとうなずけた。だがこの程度の感動ではわざわざコラムで取り上げない。ドラマチックな感動は、上海蟹を食べる時に起こった。

上海蟹のシーズンのため、高級中華レストランでは、この季節は上海蟹の登場を盛んにアピールしている。美味で季節の風物詩でもある上海蟹を旬の時期に食べるのはもちろん至福のひと時だが、ビジネスの会合や友人とのパーティには向かない。なぜかというと、日本のずわい蟹やたらば蟹と比べると、いくら一級品の上海蟹でも小粒になり、食べる時は小さい甲羅や細い蟹足と悪戦苦闘することになり、話が途絶えてしまうからだ。

だが、「潮夢来」では、店員がその場でみそや肉をえぐって甲羅に盛って食卓に載せてくれる。客が内容満載の甲羅を美味しそうに食べている間に、足にハサミを入れ、太もものところの殻を取り除いてくれた。客は足の細い先をつまんでその太ももの肉をかじるだけでいい。
手を汚さず、話に花を咲かせたまま、店オリジナルの調味料に引き立てられた上海蟹はことのほか美味しかった。

もうひとつ感動を覚えたのが、タラの蒸しご飯だ。最初はピンと来なかったが、運ばれてきた茶碗をのぞくと、蒸したてのご飯の上にタラの切り身がのっていて、ソースがちょっとかかっていた。一口食べて思わず「これは美味しい!」と感激した。その美味しさと食材の意外さに驚きに近い感動を覚えた。

帰り際に、「これからも来るよ、よろしく」と店の人に名刺を残した。
「潮夢来」で得たあの感動的な思い出は、美味しい食事に出会ったことに対するものだけではなく、ありふれた上海蟹料理に客の不便を思って考案したサービスに対するものでもあった。そしてありふれた普通の食材であるはずのタラとご飯に新しい工夫を施したことに対する感心でもあった。
帰りの車の中で、妻に「ビジネスチャンスはこのように広げるべきだね」と感想を述べた。

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プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』『日中「アジア・トップ」への条件』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/