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莫邦富的視点
メダルを狙っていた北京の五輪競技施設
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2008年09月11日

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 一大国家プロジェクトの北京五輪が幕を閉じたが、閉幕後も五輪競技施設が北京や中国全土に与えている影響は大きい。
 五輪競技施設が中国の人々の意識に与える影響を探る。

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莫邦富氏
 
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エコ意識の浸透を見るのが楽しみだ

しかし、こうした表面的なデザインの美しさよりも、私は「鳥の巣」や「水立方」など新しいスポーツ競技施設が見せてくれたその機能的な美しさに心惹かれた。

北京は渇水の都市である。水の利用において、これまでの北京はたいへん遅れていた。「鳥の巣」を建設する際、地球に優しいスポーツ施設を作るという考えで、雨水の再利用を考えた。GE(General Electric)の技術を導入して、完成した「鳥の巣」には雨水を集めて溜める大きな地下貯水池が6つあり、これらの雨水を濾過してトイレや清掃、植栽などに使う。「鳥の巣」が実際に使用する水の25%はこうした雨水の再利用である。

一方、「水立方」は、建築材として大量に使われたETFE膜(フッ素樹脂)の透光率の特性を利用して、外光を大量に室内に取り入れ、電気の使用を大幅に抑えている。現在、「水立方」内の照明は、平均1日9.9時間外光に頼っている。1年を通してみると、かなりの節約につながる。

「水立方」は太陽エネルギーも積極的に利用している。建築材料の材質の特性を利用して、夏には太陽光をプールの水の加熱に使っている。
水泳などの競技が行なわれる「水立方」は大量の水を使用する。しかし、「水立方」では、プールを洗浄する水などを下水道に流さず、処理して再利用する。処理した過程で失ってしまった水の補給は、屋根から集めた雨水を利用している。

「水立方」の下には貯水センターが設けられ、屋根の雨水収集面積は2万9000平方メートルにおよび、年間約1万立方メートル、100世帯分の年間水使用量に相当する雨水を集めることができ、その利用率が76%になる。

北京オリンピックを迎えるために、合計12のスポーツ競技施設を新築して、11のスポーツ競技施設を改築した。臨時的競技施設や薬物検査センターなども入れると、79の施設がある。そのすべてがこのような中水利用技術を導入した。

その意味では、北京オリンピックのために建設されたこれらのスポーツ施設は、金メダルを狙う建築群と見てもいい。これらの登場は中国の建築界にエネルギーや水資源の再利用や省エネなどの意識を向上させるいい機会とヒントを与えた。こうした意識の変化がこれからの中国社会にどんな進歩をもたらすのか。興味を持って観察していきたい。

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プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』『日中「アジア・トップ」への条件』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/