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莫邦富的視点
香港の広告に見る時代の変化
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2008年07月10日

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 世界的に知られる多国籍企業が競って広告を出している香港。その香港の広告に最近、異変が起こっている。
 企業広告の移り変わりから日中企業の勢力消長を探る。

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莫邦富氏
 
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日中企業の勢力消長の縮図

1990年代前半、初めて香港を訪れ、百万ドルと賞賛される香港の夜景を初めて実際に見た。そして、その絶好の舞台に広告を出している日系企業の圧倒的な存在に、世界2位を誇る日本経済の実力と、世界を股にかける日本企業のフットワークのよさを感じ、ただただ感心した。

当時は好奇心に駆られ、広告を出した日系企業の数と社名を確認したことがあった。家電メーカーをはじめ、電子部品を作る企業の広告もあったという印象が残っていた。

20年近くの歳月がビクトリア湾を流れる海流のように過ぎ去っていった。
2008年5月、香港を訪れた私は、香港島側の湾仔(ワンジャイ)にあるルネッサンス・ハーバービュー・ホテル香港に泊まった。翌日、対岸にあるフェニックステレビ局の時事番組に出演するため、湾仔からスターフェリーに乗った。心地よい海風に吹かれながら、次第に遠ざかっていく香港島の高層ビル群を眺めていた。気分は最高だ。一番好きな香港の風景にうっとりしていた。

そこでおやと思った。高層ビル群に飾る企業の広告にある異変を感じた。
シャープ、東芝、Panasonic、三洋、エプソンなどはまだ頑張っているが、全体としては日系企業の広告が大幅に減ったと思った。

一方、1990年前半にはなかった中国本土系企業が頭角を現わしていた。家電メーカーのハイアールとTCL、商社系の中糧香港、白酒メーカーの五糧液が新興勢力としてその存在を誇る。アメリカの保険会社AIAとシンガポールの星展銀行(シンガポール開発銀行=DBS)も看板広告をビクトリア港に向けて掲げている。
日中企業の勢力消長の縮図を目の当たりにした思いがした。

1990年代、日本企業は日本という看板を掲げるだけで、あるいはその社名をアルファベッドで並べるだけで、その存在を誇示することができたが、韓国企業からだけでなく、中国企業からも戦いを挑まれている今日、日本企業はネーミング作戦を含む企業ブランド戦略により工夫と努力を払わないと、激しい市場競争の中で不利となってしまう恐れがある。

その意味では、国力、経済力などの力関係が激変したアジアで勝ち残るために、日本企業はこれまで以上に自らの戦略を慎重に考える必要があるだろう。

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プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』『日中「アジア・トップ」への条件』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/