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従業員と会社を助ける保険制度:介護休業

更新日:2014年03月12日

弊社の従業員から、「高齢の母が階段から落ちて骨折してしまったため、しばらく会社を休んで面倒をみたい」という申し出がありました。どのように対応すればよいでしょうか?
 


 
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回答

育児・介護休業法に規定する「介護休業」を取得できる可能性があります。一定の要件を満たした、介護休業中の雇用保険の被保険者には、介護休業給付金が支給されます。

解説

 【介護休業とは】

介護休業とは、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に定められている制度で、要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業です。
近年、家族を介護しながら仕事を続ける人が増えていますので、会社として、そのような労働者にどういったサポートができるのか、考えていきましょう。

なお、今回ご説明する「要介護状態」とは、あくまで育児・介護休業法に基づく基準になります。介護保険法に基づいて市区町村が行う要介護認定によるものとは異なりますのでご注意ください。

育児・介護休業法の要介護状態 介護保険法の要介護状態
負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態(医師の診断書による) 身体上または精神上の障害があるために、入浴、排泄、食事などの日常生活に於ける基本的な動作の全部、または一部について、6カ月以上の期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態(市区町村の認定による)

【介護休業の対象となる家族】

介護休業の対象となる家族の範囲は以下の通りです。

対象家族 介護休業の対象となる要件
配偶者(事実婚含む) なし
父母および子、配偶者の父母 なし
祖父母、兄弟姉妹、孫 労働者と同居しかつ扶養していること

介護休業取得中の給与は無給にしても差支えありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。休業中の給与の取り扱いについては、事前に就業規則等で定めておくと良いでしょう。また、法律の基準を上回る介護休業制度を自社で定めることも可能です。
なお、育児休業と異なり、介護休業中の社会保険料は免除されません。社会保険料に関しては、毎月振り込んでもらうか、職場復帰後に支給する給与から控除するなど、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

【介護休業の対象労働者】


介護休業をすることができるのは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。もちろん、女性だけでなく、男性も取得することができます。また、正社員だけでなく、契約社員等であっても、一定の条件を満たせば、介護休業を取得できる場合があります。

一方、日雇い労働者は介護休業の対象外となります。また、労使協定により、次の者を対象から除外することもできます。
(1) 入社後1年未満の者
(2)休業申し出から93年以内に雇用関係が終了することが明らかな者
(3)1週間の所定労働日数が2日以内の者

【要介護状態とは】

常時介護を必要とする状態とは、次のいずれかに該当する場合を指します。


<第1表(日常生活動作)>
下記において、全部介助が1項目以上または一部介助が2項目以上あり、かつ、その状態が継続すると認められるとき。

事項/態様 自分で可 一部介助 全部介助
歩行 ・杖等を使用し、かつ、時間がかかっても自分で歩ける ・付き添いが手や肩を貸せば歩ける ・歩行不可能
排泄 ・自分で昼夜ともに便所でできる
・自分で昼は便所、夜は簡易便器を使ってできる
・介助があれば簡易便器でできる
・夜間はおむつを使用している
・常時おむつを使用している
食事 ・スプーン等を使用すれば自分で食事ができる ・スプーン等を使用し、一部介助すれば食事ができる ・臥床のままで食べさせなければ食事ができない
入浴 ・自分で入浴ができ、洗える ・自分で入浴できるが、洗う時だけ介助を要する
・浴槽の出入りに介助を要する
・自分でできないので全て介助しなければならない
・特殊浴槽を使っている
・清拭を行っている
着脱衣 ・自分で着脱ができる ・手を貸せば、着脱できる ・自分でできないので全て介助しなければならない

<第2表(問題行動)>
下記において、いずれか1項目以上が重度または中度に該当し、かつ、その状態が継続すると認められるとき。

行動/程度 軽度 中度 重度
攻撃的行為 ・攻撃的な言動を吐く ・乱暴なふるまいを行う ・人に暴力をふるう
自傷行為 ・自分の衣服を裂く、破く ・自分の体を傷つける ・自殺を図る
火の扱い ・火の不始末をすることがある ・火の不始末が時々ある ・火を常にもてあそぶ
徘徊 ・ときどき部屋内でうろうろする ・家の中をあてもなく歩きまわる ・屋外をあてもなく歩きまわる
不穏興奮 ・ときには興奮し騒ぎたてる ・しばしば興奮し騒ぎたてる ・いつも興奮している
不潔行為 ・衣服等を汚す ・場所をかまわず放尿、排便をする ・糞尿をもてあそぶ
失禁 ・誘導すれば自分でトイレに行く ・時々失禁する ・常に失禁する

 【介護休業給付金】

雇用保険の一般被保険者(65歳未満)である労働者で、原則として介護休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(過去に雇用保険の基本手当の受給資格の決定を受けたことのある場合は、受給資格決定を受けた後のものに限ります。)が12カ月以上ある者が介護休業を取得する場合、条件を満たせば介護休業給付金が支給されます。
ただし、介護休業を開始する時点で、介護休業終了後に退職することが決まっている場合などは支給の対象となりません。

介護休業給付金は、原則として、「休業開始時賃金日額」×支給日数×40%に相当する額で、最大3カ月分が支給されます。休業開始時賃金日額とは、原則として介護休業開始前6カ月間の賃金を180で除した額を言います。

・介護休業給付金の額(例)

休業開始時賃金月額(休業開始時賃金日額×支給日数)が400,000円の被保険者が、支給対象期間の3カ月間休んだ場合 400,000円×40%
=160,000円(介護休業給付金の額)
※3カ月分は、480,000円となる。

支給対象期間に賃金が支払われている場合は、育児休業給付金のように、金額が調整されますので、ご注意ください。なお、上記の賃金月額には上限額および下限額があります。また、介護休業給付金の支給申請は、所定の期日までに申請する必要があります。詳しくは、管轄のハローワークにてご確認ください。

【介護にかかるその他の制度】

介護休業以外にも、介護に携わる労働者が利用できる制度はいろいろあります。各労働者の状況に合わせて、柔軟な対応ができると良いでしょう。

制度の種類 制度利用の効果
時間外労働の制限 1カ月に24時間、1年に150時間を超える時間外労働を免除
深夜業の制限 深夜業を免除
(ただし、所定労働時間の全部が深夜にある労働者等は対象外)
介護休暇 要介護状態の家族が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日の休暇を年次有給休暇とは別に付与(ただし、無給でも可)

 

日雇いの者など、一部制度が対象外となる労働者もいます。また、労使協定を締結することにより、一定の労働者を制度の適用対象外とすることもできます(入社後1年を経過しない者等)。

【よくある質問】


Q.介護休業を取得できる者から、男性や、管理職などを除外することはできるのでしょうか?
A.残念ながら、性別や役職を理由に、介護休業の対象者から除外することはできません。高齢の両親の介護をするのは、企業でそれなりの役割を担っている人であることも多いというのが現状ですが、従業員とその家族への配慮も企業には求められているといえるでしょう。

■問い合わせ先


詳細につきましては、以下の問い合わせ先でご確認下さい。

・全国ハローワークの所在案内(厚生労働省ホームページ)
http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html

著者クレジット

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。