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従業員と会社を助ける保険制度:出産

更新日:2014年01月15日

当社の女性従業員が、この度めでたく出産することになりました。ただ、嬉しい反面、産休(産前産後休業)を取る従業員は初めてで、少々不安でもあります。産休する従業員をかかえる会社には、どのような負担があるのでしょうか。また、本人が受けられる制度などはあるのでしょうか。
 


 
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回答

健康保険には、産休中、出産時に本人が受けられる制度があります。そのため、会社は原則として産休中の従業員に対して給与を支払う必要はありません。

また、2014年4月からは、産前産後休業を取得していた期間については、本人・会社負担ともに社会保険料が免除されることになりました。そのため、今後は、産休中の従業員をかかえる会社の経済的な負担はより一層、軽くなると言えます(社会保険料の免除制度については、次回のコラムで詳しくご説明します)。

解説

【産前産後休業とは】

労働基準法では、使用者は、42日(6週間。ただし、多胎妊娠の場合は98日。つまり14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはならないとされています(産前休業)。

また、産後56日(8週間)を経過しない女性については、原則として就業させることができません(産後休業)。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差し支えない、とされています(労働基準法 第65条)。これらを合わせて、産前産後休業、略して産休と言います。

産前産後休業中は、会社は賃金を支払う義務はありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。そのため、従業員が休業する期間について所得の補償をするため、健康保険から出産手当金が支給されます。

【出産手当金】

出産手当金は、健康保険の被保険者本人が出産のため会社を休み、その間の給与の支払いを受けなかった場合に産前42日から産後56日までの範囲内で、仕事を休んだ期間を対象として支給されます。出産日当日は、産前の期間に含まれ、また、出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間についても手当金が支給されます。

・支給要件
出産手当金は、次の要件を満たしている場合に従業員の請求に基づいて支給されます。
(1)健康保険の被保険者である従業員本人が出産したこと
(2)産前42日から産後56日までの間において、労務に服さなかったこと
(3)休業期間中に賃金を受けないこと

多胎妊娠の場合は産前98日から労務に服さなかった場合は、その間、出産手当金が支給されます。また、傷病手当金や労災保険の休業補償給付等と異なり、労務可能な状態であっても、現実に労務に就かなければ手当金が支給されます。

また、切迫早産などにより、産前休業に入る前に労務不能となった場合には、傷病手当金が支給される可能性があります(ただし、併給することはできないため、両方の要件を満たす場合は出産手当金のみが支給されます)。

・出産手当金の額
原則として、休業一日につき「標準報酬日額の3分の2」に相当する額が支給されます(全国健康保険協会の場合)。標準報酬日額とは、標準報酬月額の30分の1に相当する額で、標準報酬月額は、被保険者本人の月々の給与や報酬をもとに、標準報酬月額等級表にあてはめた金額を言います。

<出産手当金の額:例>

・標準報酬月額180,000円の被保険者が、
産前42日+産後56日の合計98日休んだ場合
標準報酬日額:180,000円÷30=6,000円
出産手当金の額=6,000円×3分の2×98日
=392,000円


産前産後休業中に、給与等を受け取っている場合には、その給与等を受け取ることができる期間、出産手当金は調整され支給されません(ただし、給与等の額が出産手当金の額より少ない時は、その差額が支給されます)。そのため、「産前産後休業中に給与が出ないのはかわいそうだから」と給与を支給する会社も中にはありますが、その場合は出産手当金が支給されない可能性がありますので注意しましょう。

・出産手当金受給時の注意点

出産手当金は、健康保険法の制度であるため、市区町村などが保険者となっている国民健康保険に加入している場合には原則として支給されません。また、健康保険であっても健康保険証記載の保険者(健康保険協会、○○健康保険組合など)によっても制度内容が異なります。妊娠が分かったら、産休に入る前に、あらかじめ制度を確認しておくと良いでしょう。

【出産育児一時金】

出産育児一時金とは、被保険者が出産した場合に支給されるもので、健康保険だけでなく、国民健康保険に加入している場合にも支給されます。この一時金は、被保険者本人だけでなく、被扶養者の出産に対しても支給され、その場合は「家族出産育児一時金」と呼ばれます(このコラムでは、便宜上「出産育児一時金」に統一してご説明します)。

・出産育児一時金の額

出産育児一時金は、一児につき42万円で、多胎児を出産した時は、胎児数分だけ支給されます。ただし、産科医療保障制度に加入していない医療機関等で出産した場合等は、39万円となります(全国健康保険協会の場合)。

なお、産科医療補償制度とは、医療機関等が加入する制度であり、加入機関で対象となる出産をし、万が一分娩時の何らかの理由で赤ちゃんが重度の脳性まひとなった場合、赤ちゃんとその家族の経済的負担を補償するものです。

・出産育児一時金の直接支払制度
近年では、出産にかかる費用を一時的に立て替えることなく、出産育児一時金を充てることができるよう、保険者から一時金を医療機関等に直接支払う仕組みができました。そのため、出産費用としてまとまった額を事前に準備する必要がなくなりました。

ただし、一部の医療機関では、直接支払制度ができない場合もありますので、あらかじめ確認しておくことが重要です。また、直接、医療機関等に出産育児一時金が支払われることを希望しない場合は、従来通り出産育児一時金を保険者に請求する方法で、一時金を受け取ることもできます。

【おわりに】

少子高齢化が進む中、次世代を担う子供たちの育成は、企業活動を存続する上でも重要な課題であると言えます。そのため、出産する女性従業員をサポートし、会社全体で出産・育児をサポートすることも、これからの企業に求められる社会的責任だといえます。

【よくある質問】

Q.知人が、流産してしまったと聞きました。そのような場合は、出産手当金や出産育児一時金は支給されないのでしょうか。

A.出産に関する給付は、生産、死産、流産等を問わず、原則として妊娠4カ月以上の出産が対象となります。ご質問のような場合、本人はショックで気付かないケースも多いのですが、手続きをすれば給付がもらえる可能性もあります。

<ご参考>

全国健康保険協会
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/
※ご自身の保険証に記載されている保険者が健康保険協会ではない場合は、保険証記載の保険者にお問い合わせください。

著者クレジット

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。