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従業員と会社を助ける保険制度:休業補償

更新日:2013年12月25日

当社は食料品製造業(パンの製造、販売)を営んでおります。先日、当社の従業員が業務用の小麦粉の入った袋(25kg)を、中腰で持ち上げようとした瞬間、腰を負傷してしまいました。しばらく会社を休むことになりそうですが、仮に業務災害として認められた場合、治療費以外にどのような補償が受けられるのでしょうか?


 
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回答

労災保険には、治療費等の療養給付以外に、休業補償給付という制度があります。近年の業務災害の傾向や、保険制度の概要と併せて、休業補償給付の詳細をご説明します。

解説

【労働災害をとりまく現状】

厚生労働省「平成24年における労働災害発生状況」によると、平成24年の死傷災害発生件数は、全国で119,576人でした。ここでいう死傷災害発生件数は、死亡災害および休業4日以上の災害を集計した人数で、統計資料によると、第三次産業(いわゆるサービス業等)を除き、製造業(28,291人)、建設業(17,073人)、陸上貨物運送業(13,834人)の順に災害が多く発生しています(図1)。

また、第三次産業では、商業(17,218人)、保健衛生業(9,635人)、接客・娯楽業(8,268人)の順に災害発生が多く見られ、それぞれ小売業や、社会福祉施設、飲食店に災害発生割合が多く見受けられます(図2)。近年では、第三次産業においても、死傷災害が多く発生していることがわかります。

http://wizbiz.jp/wizbiz_res/images/magazine_free/131122mg02_1.jpg


【労働者災害補償保険】

労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」)では、以下の図のように様々な給付が定められています。

労働者災害補償保険

業務災害の場合の給付は、労働基準法上の災害補償の考え方から「補償給付」と呼ばれ、通勤災害の場合の給付は単に「給付」と呼ばれます。なお、上記以外の給付として、定期健康診断等で異常の所見が見つかった場合に支給される「二次健康診断等給付」というものがあります。

また、労災保険では、必要な保険給付を行うだけでなく、被災労働者の社会復帰の促進を図るため、様々な事業も行っており、そのうちの一つとして、特別支給金制度というものがあります。
今回は、上記の給付の中から、休業(補償)給付と休業特別支給金についてご説明します。

【休業(補償)給付】

休業(補償)給付とは、業務上の事由や、通勤途中に負傷し、又は疾病にかかった労働者が休業する期間について、労働者の失われた稼得能力を補てんする目的で支給される所得補償の制度です。

・支給要件
休業(補償)給付は、次の要件を満たしている場合に労働者の請求に基づいて支給されます。
(1)労働者が業務上の事由や通勤により負傷し、又は疾病にかかり療養していること
(2)療養のため労働できないこと
(3)労働できないため、賃金を受けないこと

・休業(補償)給付の額

原則として、休業1日につき「給付基礎日額の100分の60」に相当する額が支給されます。給付基礎日額とは、原則として労働基準法 第12条の平均賃金に相当する額であり、平均賃金は、以下のように計算されます。

月給制の場合 {算定事由の発生した日以前3カ月間に支払われた賃金の総額÷
その3カ月間の 総日数}
日給、時給制等の場合 {算定事由の発生した日以前3カ月間に支払われた賃金の総額÷
その3カ月間の労働日数}×100分の60


・休業(補償)給付の支給期間
休業(補償)給付は、賃金を受けない日の第4日目から、休業する日のある限り支給されます。なお、本来であれば、事業主が労働基準法に基づく災害補償(休業補償)の義務を負うこととされているため、休業の初日から通算して第3日目までの休業期間(待機期間)については、労災保険からの保険給付は行われません。

※災害補償制度については、別レポート:起業ABC/マニュアル「労務管理のポイント:災害補償」でも説明していますので、併せてご参照ください。

療養開始後1年6カ月を経過した日、又は同日後において、その傷病が治癒せず、障害の程度が傷病等級の第1級から第3級に該当する場合には、傷病(補償)年金が支給されることとなり、休業(補償)給付は打ち切られます。

一方、業務上の事由や、通勤による傷病が治癒(症状が固定)したが、一定の障害が残った場合には、その障害の程度に応じて障害(補償)給付が、労働者の請求に基づいて支給されます。

【休業特別支給金】

休業特別支給金は、業務上の事由や、通勤による負傷又は疾病により、療養のため労働できない場合に、賃金を受けない日の第4日目から、休業(補償)給付の受給権者である労働者に対し、その申請に基づき保険給付に付加して支給されます。

休業特別支給金は、休業1日につき、休業給付基礎日額の100分の20に相当する額が支給されます。実際のところ、休業特別支給金の支給申請は、休業(補償)給付の請求と同時に行うため、休業(補償)給付を受ける労働者には、給付基礎日額の100分の60に相当する休業(補償)給付と、100分の20に相当する休業特別支給金の合計額である、給付基礎日額の100分の80に相当する給付が行われることになります。

【よくある質問】

Q.休業(補償)給付について、具体的な手続き方法を教えて下さい。
A.業務災害の場合は、「休業補償給付支給請求書(様式第8号と別紙2)」、通勤災害の場合は、「休業給付支給請求書(様式第16号の6と別紙2)」に必要事項を記入し、事業所を管轄する労働基準監督署の労災課等、労災保険担当窓口に提出します。その際、原則として、賃金台帳と出勤簿等の写しを確認書類として添付します。
なお、業務災害その他の事業所内で起きた災害については、併せて「労働者死傷病報告(様式第23号)」を安全衛生課に提出することとなっています。忘れがちなので注意しましょう。

※ 労災保険給付や労働者死傷病報告に関する申請書類については、下記のURLでダウンロードや検索が可能です。

・厚生労働省 労災保険給付関係請求書等ダウンロード
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/
・厚生労働省 労働者死傷病報告(休業4日以上)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/17.html



著者クレジット

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。