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労働時間管理:裁量労働制

更新日:2013年10月02日

当社はソフトウェアの企画、開発、設計などを行なっています。職務の性質上、従業員には一定の裁量を持たせているので、単に労働時間の長さではなく、成果に対応する形で賃金を支払いたいのですが、何か良い方法はありますか?
 


 
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回答

貴社の業種であれば、専門業務型裁量労働制の導入が可能であると思われます。「考えることが仕事」である業種では、所定労働時間、残業時間といった労働時間を明確に管理することが難しいため、労働者に業務の遂行や時間配分について一定の裁量を認め、あらかじめ定めておいた労働時間を働いたとみなす裁量労働制という制度の適用が考えられます。

解説

【裁量労働制とは】

従来の労働基準法は、製造業等の第二次産業を想定した労働時間管理について規定されていましたが、昭和50年代ごろからいわゆる「経済のソフト化」に伴い第三次産業(主にサービス業)への推移や就業形態の多様化が見られるようになりました。そのため、昭和62年の労働基準法改正時に、労働時間管理も「労働時間の長さ、量」の管理だけでなく、「労働時間の質、成果」の管理ができる制度へと、近年の産業構造に見合うよう改正されました。なお、現在の裁量労働制は、その後何度か改正を重ねた上で定められた制度です。

裁量労働制とは、裁量性の高い業務に従事する労働者の労働時間につき、実際に働いた時間数そのものではなく、労使協定または労使委員会決議であらかじめ定めておいた時間労働したとみなす制度です。

裁量労働制は、みなし労働時間制の一つであり、以下の2種類があります。

・専門業務型裁量労働制
・企画業務型裁量労働制

【専門業務型裁量労働制】

専門業務型裁量労働制とは、研究開発等、業務の遂行上労働者の裁量の余地が大きく、その報酬も労働の質や成果によって決めるのが適切な専門的な業務について、実際の労働時間数に関わらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなす制度です。

具体的には、裁量労働制の導入により、デザイナーやシステムエンジニアなど、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしないとされる19の業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数働いたものとみなす効果があります。

・専門業務型裁量労働制の要件
「専門業務型裁量労働制」は、下記の19業務に限り導入することができます。

(1) 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2) 情報処理システムの分析または設計の業務
(3) 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務
(4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサーまたはディレクターの業務
(6) 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7) 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握またはそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現または助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10) 有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析、評価またはこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11) 金融工学等の知識を用いて行なう金融商品の開発の業務
(12) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13) 公認会計士の業務
(14) 弁護士の業務
(15) 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16) 不動産鑑定士の業務
(17) 弁理士の業務
(18) 税理士の業務
(19) 中小企業診断士の業務

・専門業務型裁量労働制導入時の注意点
専門業務型裁量労働制を導入する場合は、まず労使協定の締結が必要です。労使協定では、労働時間や業務に関することはもちろんのこと、健康及び福祉の確保や苦情処理に関することも定めておきます。詳しくは、別資料「専門業務型裁量労働制に関する協定届」をご参照ください。

協定で定める時間が法定労働時間(原則として1日8時間)を超える場合は、当然に、時間外割増賃金の支払いも必要となります。また、時間外・休日労働に関する労使協定(いわゆる「36協定」)の届出も忘れずに行ないましょう。

なお、数人でプロジェクトチームを組んで開発業務を行なっている場合で、そのチーフの管理のもとに業務を遂行し、時間の配分がなされている者や、プロジェクト内で業務に付随する一般事務や雑務のみ行なう者は専門業務型裁量労働制の対象にはなりませんので、注意してください。

【資料】専門業務型裁量労働制に関する協定届(PDF:93KB)

【企画業務型裁量労働制】

企画業務型裁量労働制は、事業運営上の重要な決定が行なわれる企業の本社等の中枢部門において、企画、立案、調査及び分析を行なう労働者であって、業務遂行の手段や時間配分を自らの裁量で決定し使用者から具体的な指示を受けない者を対象とする労働時間の算定にかかる新たな裁量労働制として、平成10年に制定されました。上記の業務については、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使委員会で定めた労働時間数働いたものとみなすことができます。

・企画業務型裁量労働制の要件と注意点
企画業務型裁量労働制の導入に際しては、労使委員会(賃金、労働時間、その他労働条件に関する事項を調査審議すること等を目的とする委員会)が設置された事業場において、委員の5分の4以上の多数による議決により決議した事項を労働基準監督署長に届け出る必要があります。詳しくは、別資料「企画業務型裁量労働制に関する決議届」をご参照ください。

また、企画業務型裁量労働制は、決議が行なわれた日から6カ月以内ごとに1回「企画業務型裁量労働制に関する報告」(別資料参照)を届け出ることになっています。こちらも忘れないようにしましょう。

【資料】企画業務型裁量労働制に関する決議届(PDF:99KB)
【資料】企画業務型裁量労働制に関する報告(PDF:92KB)

【よくある質問】

Q.裁量労働制を導入した場合は、タイムカード等で労働時間管理をしなくても良いのでしょうか?
A. 裁量労働制は、労働時間や業務の遂行を労働者に委ねる一方で、会社側は労働者の健康および福祉を確保するための措置を講じることが義務付けられていますので、労働者の安全や健康管理のためにも、タイムカードや出勤簿等で、労働時間や出社・帰社時刻の管理をする必要があります。

また、前回のコラムでも述べたとおり、裁量労働制を採用する場合であっても、労働者が午後10時〜翌午前5時までの深夜時間に勤務した場合には、深夜割増賃金の支払いが必要となります。また、法定休日に勤務した場合も同様に、休日割増賃金の支払いが必要となりますので、裁量労働制導入時であっても、労働時間管理はしっかりと行なうようにしましょう。

著者クレジット

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。