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労働時間管理:変形労働時間制(フレックスタイム)

更新日:2013年07月31日

フレックスタイム制を導入した場合、会社側、労働者側にはどのようなメリットがありますか?
 


 
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回答

フレックスタイム制を導入することで、会社側は、効率的な労働力の提供により、生産性をアップできます。一方、労働者側も、生活と仕事のバランスを図って効率的に働くことができ、双方にメリットがあります。以下では、フレックスタイム制について、他の変形労働時間制と比較しながらご説明します。

解説

 【フレックスタイム制とは】

フレックスタイム制は、労働基準法で定められた変形労働時間制の一つです。
この制度は、1日の労働時間の長さを固定的に定めず、1カ月以内の一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておくことで、労働者がその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決め、その生活と業務の調和を図りながら、効率的に働くことができる制度です。
フレックスタイム制を導入する場合は、社内での不都合を避けるため、コアタイム、及びフレキシブルタイムを定めるのが一般的です。

・コアタイム:労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯
・フレキシブルタイム:労働者がその選択により労働することができる時間帯
・清算期間:フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間。
               1カ月以内の期間に限るものとし、通常は給与締切日に合わせて1カ月
               とする。

「社内で会議を行ないたい場合はコアタイムに開催する」「労働安全衛生の観点から深夜業務を行なわせたくない場合は、フレキシブルタイムを22時までと設定する」など、コアタイム、及びフレキシブルタイムを上手に活用することで、フレックスタイム制の下でも不都合なく、スムーズな業務の流れを作ることができます。

【フレックスタイム制の導入方法】

フレックスタイム制を導入するためには、就業規則その他これに準ずるものの中で、「始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねる」という旨を定める必要があります。また、労使協定により以下の内容を規定する必要があります(労働基準監督署に届け出る必要はありません)。
1.対象となる労働者の範囲
2.清算期間
3.清算期間の起算日(単に「1カ月」ではなく、「毎月○日」等と定める)
4.清算期間における総労働時間
5.標準となる1日の労働時間
6.コアタイムを定める場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻
7.フレキシブルタイムに制限を設ける場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻

【労働時間の計算方法】

フレックスタイム制における労働時間の計算方法は以下の通りです。

 清算期間における法定労働時間の総枠の計算方法

例)清算期間:28日、週法定労働時間:40時間 の場合
40時間(週法定労働時間)×28日(清算期間の日数)÷7日(1週間の日数)=160時間
  ⇒ 清算期間の労働時間が160時間を超える場合は、時間外労働となります。

暦日数ごとの法定労働時間の総枠
1カ月を清算期間とした場合の総労働時間は、次表の通りです。

1カ月の暦日数 週法定労働時間:40時間(カッコ内は特例44時間)の場合
31日 177.1時間(194.8時間)
30日 171.4時間(188.5時間)
29日 165.7時間(182.2時間)
28日 160.0時間(176.0時間)

【変形労働時間制のまとめ】

  1カ月単位の
変形労働時間制
フレックス
タイム制
1年単位の
変形労働時間制
1週間単位の
非定形的
変形労働時間制
概要 1カ月以内の一定期間について、法定労働時間の総枠を超えない定めをする 1日の労働時間の長さを固定的に定めず、1カ月以内の一定の期間の総枠を定めておく 1カ月超〜1年以内の一定期間について、法定労働時間の総枠を超えない定めをする 1週について、40時間の総枠内で労働時間を定める(対象事業の小規模事業場のみ)
労使協定
届出必要 届出不要 届出必要 届出必要
小規模事業場の
労働時間の特例
(週44時間)
適用可 適用可 適用不可 適用不可
変形労働時間制の
効果
特定された週または日に、法定労働時間を超えて労働させることができる 労働者が総枠の範囲で各労働日の労働時間を自分で決めることができる 特定された週または日に、法定労働時間を超えて労働させることができる 労働者を1日10時間まで労働させることができる

【変形労働時間制導入時の注意点】

フレックスタイム制以外の変形労働時間制については、労働条件の不利益変更に当たる場合もありますので、変形労働時間制を導入する場合は、労働者の理解が得られるよう、きちんとした説明を行ない、納得が得られるようにしましょう。

なお、変形労働時間制は、満18歳に満たない者については原則として適用されません。また、妊産婦については、妊産婦が請求した場合は変形労働時間制を採用している場合であっても、1日または1週の法定労働時間を超えて労働させてはならないとされています。

上記以外の労働者であっても、変形労働時間制のもとでは健康管理・安全管理が疎かになりがちですので、過重労働等させることのないよう充分注意しましょう。

【よくある質問】

Q.清算期間を超えて労働した従業員がいる場合は、時間外手当を支払わず、過剰時間分を翌月に持ち越すことはできますか?
A.過剰分の賃金の繰り越しは、賃金全額払の原則(労働基準法 第24条第1項)に反するためできません。過剰分は当該期間において時間外手当として支給する必要があります。一方、実労働時間が清算期間に満たなかった場合は、以下のいずれかの取扱いが認められています。
・不足分の賃金を控除する
・法定労働時間の総枠を超えない範囲なら、不足分を次月の総労働時間に上積みする

著者クレジット

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。