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労務Q&A
安全衛生管理:安全衛生委員会

更新日:2013年01月23日

当社では、半年ほど前から安全衛生委員会を開催していますが、最近では、委員会自体が形式的なものになってしまい、あまり業務に活かされていないように思えます。今後の委員会の活動等について、アドバイスをお願いします。
 


 
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回答

安全衛生委員会に関する基礎的な内容と、委員会の活動を活かすことのメリットについてご説明します。

解説

【安全衛生委員会等を開催する目的】

前回まで、安全管理者や衛生管理者、産業医といった、安全衛生管理を担う管理者等についてご説明してきました。しかしながら、そもそも労働災害を防止するためには、その事業場で働く労働者自身が、労働災害に遭わないための手順を守り、職場の安全衛生に意識を向けることが不可欠です。
そこで、管理者等や労働者自身が安全衛生について審議し、事業者に対して意見を述べることができるように、安全衛生委員会(または安全委員会、衛生委員会)を開催することが法律で定められています(労働安全衛生法 第17条〜19条)。

【安全衛生委員会とは】

労働安全衛生法では、事業所の業種および規模によって、次の表のとおり開催すべき委員会が定められています(※1)。また、安全委員会と衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる、とされています。(本コラムでは便宜上、安全衛生委員会に統一してご説明します。)

  安全委員会 衛生委員会
開催すべき事業所の業種および規模 安全管理者を選任すべき事業所に準ずる。※2
(一部の製造業・運送業や、卸売小売業等については使用労働者数が100名以上の事業所が対象)
衛生管理者を選任すべき事業所と同じ。※2
(業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業所が対象)
調査審議事項 危険防止対策等、安全に関すること 健康障害防止対策等、衛生に関すること
委員構成
(右のうち事業者が指名した者)

・その事業場を統括管理する者
・安全管理者
・その事業場の労働者で、安全に関する経験を有する者
・その事業場を統括管理する者
・衛生管理者
・産業医
・その事業場の労働者で、衛生に関する経験を有する者
開催頻度 いずれも毎月1回以上開催

※1:労働者数が50人未満の事業者など、委員会を設けるべき事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴く機会を設けなければなりません。
※2:安全管理者、衛生管理者選任の要件等については、コラム「こんなときどうする?」の「安全衛生管理:安全衛生管理体制の整備」内の資料「安全衛生管理体制一覧表」でも説明していますので、併せてご参照下さい。

【安全衛生委員会で審議する事項(基礎編)】

安全衛生委員会で審議する内容は具体的に以下のとおりです。

■安全に関するもの
・職場点検チェックリストについて(問題点と対策等)
・労働災害の発生状況
・労働災害再発防止対策
・安全に関する年間活動計画の策定や規程の作成 等

■衛生に関するもの

・上記計画の策定や規程の作成で、衛生に関するもの
・インフルエンザ対策
・定期健康診断等の結果に対する対策
・長時間労働による健康障害の防止対策
・労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策 等

安全衛生管理に欠かせない安全衛生教育は、委員会と直接関係はありませんが、「雇入時・作業内容の変更時の教育」は、ヒューマンエラー(人為的過誤、ミス)を未然に防ぐ重要な役割を果たします。安全衛生委員会でも教育の実施状況等を議題として取り上げると良いでしょう。この教育を実施していない場合は、実施するようにし、すでに実施している場合は、安全衛生教育の記録(教育内容、受講者、受講者の署名等)を残し振り返りができるようにしておきましょう。

【安全衛生委員会で審議する事項(応用編)】

基礎的な内容が話し合えるようになったら、下記の事項についても審議してみましょう。

■リスクアセスメントの実施
リスクアセスメントとは、職場にある様々な危険の芽(リスク)を見つけ出し、それにより起こりうる労働災害の重大さ・起こる可能性の高さを見積もり(アセスメント)、優先度の高いものから対策を講じていく手法です。具体的な手順は次のとおりです。

(1)職場に潜在するあらゆる危険性又は有害性を特定する。
(2)これらの危険性または有害性ごとに、既存の予防措置による災害防止効果を考慮の上、労働災害(健康障害を含む)の重篤度(被災の程度)を見積もる。
(3)上記に、その災害が発生する可能性の度合いを組み合わせてさらにリスクを見積もる。
(4)そのリスクの大きさに基づいて対策の優先度を決定し、リスクの除去または低減対策の内容を検討する。
(5)優先度に対応したリスクの低減等の措置を実施する。
(6)リスクアセスメントの結果及び実施したリスク低減等の措置を記録して、災害防止のノウハウを蓄積し、次回のリスクアセスメントに利用する。

リスクアセスメントに似たものとして、事故や災害を未然に防ぐことを目的に、その作業に潜む危険性を予想するKY(危険予知)活動などもあります。

■5S
5Sとは、「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」「清潔(Seiketsu)」「しつけ(Shitsuke)」の5つの頭文字を取った言葉です。安全衛生教育や、リスクアセスメントは、主に製造業等の現場を中心としたものですが、5Sは、どんな業種にもあてはまる内容です。

【議事録の作成】

安全衛生委員会を開催したら、審議過程や決議内容等を記録しておくことが重要です。以下の「安全衛生委員会 議事録(例)」を参考に、自社の議事録を作成してみましょう。事業者は、委員会開催の都度、遅滞なく議事内容を掲示などして、労働者に周知することが義務付けられています。また、議事録には3年間の保存義務がありますので、誤って破棄しないよう注意しましょう。

安全衛生委員会 議事録


【安全衛生委員会を開催するメリット】

安全衛生委員会開催の一番のメリットは、労働者の安全と健康を確保して、快適な職場環境を作っていくことに他なりませんが、結果として、業務効率化や労働者の業務に対する意識の向上、職場の雰囲気の活性化などといった、会社にとっても好ましい結果をもたらすことが多々あります。一方、労働者の意見に対して会社が耳を傾けずにいると「この会社は自分たちのことを考えてくれていない」と会社への不信感を招く結果となってしまいます。
安全衛生に関する事項は労働者だけで解決できる問題ではありません。会社も積極的に安全衛生委員会をサポートし、決議事項については真摯に対応することで、労使間の信頼関係も高まっていきます。

【よくある質問】

Q1.安全衛生委員会の議題について、他にもおすすめがあれば教えて下さい。
A1.安全衛生委員会は毎月のことであるだけに、議題選びも一苦労だという声をよく耳にします。まずは、その事業場が抱えている問題点について話し合うことが大切ですが、これといった議題が見つからない場合は、インフルエンザや熱中症対策等、季節を意識した議題や、ワークライフバランスやメンタルヘルス等、身近な話題を取り上げても良いでしょう。

【問い合わせ先】

安全衛生委員会の詳しい内容につきましては、下記でご確認下さい。

■労働基準監督署案内(労働基準監督署:安全衛生課)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html


著者クレジット

社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。