経営者の味方「0円ビジネスマッチング WizBiz(ウィズビズ)」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  社長に聞く!in WizBiz  >  第26回 松井 忠三氏(株式会社良品計画 名誉顧問)【後編】  詳細

社長に聞く! in WizBiz(経営者インタビュー)
第26回 松井 忠三氏(株式会社良品計画 名誉顧問)【後編】

更新日:2018年03月22日

今回は、「無印良品」を展開する良品計画の名誉顧問である松井忠三氏にお越しいただきました。
松井氏は、一時38億円の赤字を抱えるまでに低迷していた2001年に社長に就任。そこから業務を見える化する企業改革を断行することで、わずか1年で業績をV時回復させた功績は、多くのメディアなどでも取り上げられています。
偉大な経営改革を成し遂げた松井氏を支える、経営哲学とは? ぜひ、お聞きください!
 

WizBizの新谷です。先週の続きをお聞きください。

第26回 松井 忠三氏(株式会社良品計画 名誉顧問)【後編】新谷:じゃあ2年目以降、だんだんと今の本当の意味での無印良品さんの仕組み化だとかそういうのが出来てたのですね?

松井社長:そうです。3年くらいたってくると、本当の原因っていうのは、セゾンのグループの社風だと気付く訳ですね。社風を直さないと無理だ。この人が辞めてしまうと財産が何も残らない。見えない。そうすると会社の成長がほぼなくなるので、しょうがないので仕組みにする。だから人を育てるとか、販売をするとか、出店をするとか。これをみんな仕組みにしていったんですね。仕組みって見えるので、見えると問題の8割は解決をする。そして、標準化という過程を踏むので、積み重なるんですね。どうしてもそうせざるを得ない、ということでですね。いわゆる仕組み作りに本格的に入り込んでいくのが、2〜3年の時ですね。

新谷:なるほど。その、いわゆる標準化というのは、チェーンストア理論の1つだと思うんですけど、それは西友にご入社された時に学ばれたのですか?

松井社長:チェーンオペレーションは、現実的にセゾンでは機能しなかったですね。ということは、お客様のニーズがあるから、例えば前橋とか、郡山に西武百貨店を作る。でもこの西武百貨店は規模も小さいので、西友が運営する西武百貨店ということになるんですね。もちろん池袋には大きな西武百貨店もある。地方には、量販店をちょっと大きくした西武百貨店もある。西友のようにGMS(総合スーパー)がある。スーパーマーケットもある。ファミリーマートの着手も早くて、コンビニもある。つまりこれだけ多岐多様な店の大きさを持っていると、チェーンオペレーションて基本的にできないんですよ。

ですから僕は、無印の営業本部長になった時に、お店はバラバラでしたから、これを3つのタイプに全部分けて、チェーンオペレーションをやるっていう風にしだしたんですね。だからチェーンオペレーションは、すごく大きな流通の業績なんですよね。現実的にセゾングループの中でチェーンオペレーションは、行われていませんでしたから、実際に行われるように変えていかざるを得なかったんですね。

新谷:松井社長様が、チェーンオペレーションを学ばれたのは渥美先生とかから学ばれたという形ですか?

松井社長:そうですね。すべての商業技術みたいなものは自然と身に付いてきますから、チェーンオペレーションは中でも今でも有効な量販店スーパーマーケットのオペレーション技術だと思いますね。

新谷:なるほど。私自身も、チェーンストア理論を勉強していないと、チェーンのコンサルタントはできないと言っておりますから。やっぱり勉強されてらっしゃるのですね。

ちょっと全然違う質問をさせて頂きたいと思うのですが、好きなことでお聞きしましたら、料理ということで、料理をされるんですか?

松井社長:そうですね、結構私食べるのが好きなので、ですから必然的に料理もせざるを得ない。我が家では、料理は全部私が作るんですよ。

新谷:毎食ですか?

松井社長:ええ。だから女房は冷蔵庫に何が入っているかよく知らないと思います。まあそんなことで、友達を呼んだりして結構パーティーを開いたりしましたから、その時も料理は大体自分が作ってましたね。

新谷:そうですか。今風の旦那様でいらっしゃいますね。

松井社長:いや、あれはただ単に食べたり飲んだりするのが好きだからやっていた、というだけだと思います。

新谷:そうですか。得意な料理はなにかあられるんですか?

松井社長:僕、居酒屋料理は大抵できますね。食べに行ったら、居酒屋料理はほぼ確実に再現できますね。ただ、ミシュランの星がついているところのような料理は無理ですね。これは正直にいって、残念ながらできませんけど。

新谷:松井様のお話を聞いていると、運動神経も良くて、経営もできて、そして料理もできる。20代の女性からすると一番結婚したい男性像だと思います。

松井社長:そんなことはないと思うのですが。

新谷:もう一つが、優れた経営者の言動に触れるということで、これは社長になってからそう思うようになったのですか? それとも前からですか?

松井社長:なる前からも思っていたのですが、社長になってから痛切に感じたんですね。というのは、1年社長やってみて、自分の器以上に会社が大きくなることはない。本当に痛切に感じたんですね。したがって、そこを補わなければいけない。そうすると当時やっぱりね、社長としてメンター(指導者、助言者)がいるって思ったんですね。メンターですから、顧問でも相談役でもなんでも良かったんですけれども、やっぱり一番権威があったのが社外取締役だったんですね。したがって社外取締役を2002年から導入をするんです。そして、3人必ず入って運用とメーカーとその他とやる訳ですね。その時に選ぶ経営者は畏敬の経営者、尊敬して敬う、こういう経営者ですね。

例えば私が2km先まで見えるとする。5km先が見える経営者が結構いるんですよ。経営者の優れた人というのは本質を見る目、それから先を見る目、これがものすごく大事。そうすると、5km先が見える人がいたら、5km先が見える人から聞いたほうが早い。そういうことで、今で言うガバナンスじゃなくて、メンターとして、社外取締役を招聘したんですね。アクセル役ということでやるんです。ですから、そういう意味で非常に勉強になりましたね。

新谷:このお話、視聴者、リスナーの皆様方、社長様が多いので、一番良いお話で勉強になったのではないかと思います。もう一つ座右の銘は、右か左かの岐路に立ったら、難しいほうを選択する。そちらのほうが真理が隠されていることが多い。こういうお話なんですが、どうしてこれを座右の銘にされたのかお教え頂いてもよろしいですか?

松井社長:社長になりまして、実は私共はアウトレットというのを当時7店舗運営していたんですね。アウトレットていうのは無印良品の衣料品で、我々のようなSPA企業(製造小売業)というのは在庫コントロールが命になる。

例えば、10億円の不良品の在庫があった……もちろん原価ですね。これを捨てられると、経営としては一番良い状態。だけどそのうち、これ勿体ない、アウトレットへ行って売ろう……そうすると、人件費と家賃がかかる。売上が例えば4億円あったとしますね。そうすると捨てるのが6億円で済む、というので経営的には助かる。それから、衣料品のでき不できがやっぱりその時々で違うし、気候の影響も結構大きい。そうすると、衣料品の部長にとって、このアウトレットというのは調整弁になるので安心ができるんですね。それでアウトレットがどんどん増えていった。

私はそのアウトレットを1つずつなくしていったんですね。とうとう最後は0にする。なぜそんなことをしたかというと、世界で戦う優良企業は、アウトレットを持ってないんです。つまり、アウトレットなしで処分する。それだけ、生産をする仕組みとか、販売をする仕組みとか、出店をする仕組みというのが優れているんですね。

どうやっていたかというと、例えば夏物とか春物は沖縄から売り出す、逆に冬物、秋物は北海道。日本の気候差というのは丁度1カ月、世界の気候差は2カ月あるので、秋物はヨーロッパとアメリカから売り出すんですね。それから、衣料品ですから、移動するのにそんなにお金はかからない。したがって移動する仕組みをつくる。そして、我々のところは3週間経つと売上が全部わかるんですね。そこにフラグがたってますから、そのままいくやつと、売れないやつは世界中どこも売れませんから、瞬時に処分する。売れるやつはアクセルを踏んで増産をする。増産も納品先が3カ月じゃ無理なので瞬時に作って持ってこなきゃいけない。

そうするとEDI(電子データ交換)で、全工場を結ばないといけない。生地はある。けどボタンとかファスナーとか付属を揃えてなきゃ増産できない。そして、1週間か2週間で即世界に持ってかないといけない。そういうことをずっとやる訳ですね。この営々とする努力が、結局本当の経営力になるんですね。

だからアウトレット一発で勝負する企業と、今申し上げた仕組みを作りあげる企業、経営のレベルが2段階くらい違う。そうするとどっちが勝つかおわかりの通りですね。

遠い道を選んで苦労したほうが、明らかに経営力があがる。したがって僕は迷った時に、最短距離に正解はないと思うので、必ず遠い道を選んできましたね。だから、例えば熱が出た時に対症療法に熱冷ましシートがありますよね。だけど僕は、どこからきたかというのを突き止めるために、色んな検査をしますね。

本質に当たらない限り、有効な診療手段にならないじゃないですか。経営も一緒なんですよね。本質に当たらないと無理なんですね。したがって本質を探し続けるには、やっぱりちょっと遠い道を時間がかかっても追い求めていくしか方法がないんですね。

新谷:深いお話で、なるほど本質というのが大変大切だということですね。なかなか、なかなか真似するのは難しいと思うのですが。

松井社長:ええ、ですから1回できた仕組みは真似がほぼできない。つまり会社の風土とか、社員の価値観とかと一緒なんです。だからこれが簡単に真似できると、ほとんどみんなトヨタさんになれる。だけども1社たりともトヨタさんにはなれない。そこには社風ってやつがあるので、ここが真似ができない最大のポイントですね。

結論から申し上げると、社風を築き上げれれば、相当長い間成長する企業が、逆にいうと作れるということですね。

新谷:なるほど。前半のお話と一緒ですが、セゾングループの社風があるという話と通ずる部分があって、私自身の反省が始まるんですけれども。

最後にご質問なんですが、これは全国の経営者向け、もしくはこれから起業したいと思っている方が、お聞きになっている番組でございます。できましたら、起業もしくは社長の成功の秘訣をお教えいただけたらと思います。

松井社長:私がですね、起業したり、世界で元気な企業ですね、ここに流れている本質は何か、アメリカでもう研究されているんですね。そこに出てくる答えは、「オーナーズ アイ」です。つまり、創業者精神。創業者っていうのは、やはり一番大変なのはお客様ですよね。うまく対応できない限り生きていけない。したがって商品でもサービスでも、本気で本質をやるんです。私も色んなことで他社を勉強しに行ったんですけど、その時に勉強になるのが、創業企業か、中小企業か、販売管理費が少ない企業。この3つにしか大体ヒットがなかった。

そうすると創業オーナーは自分では限界がありますから、人を使って仕事をしなければいけない。優秀な人も当時は入りませんから、この人達を育てなきゃいけない。そうすると、通常人材育成っていうのは、色々言われるんですけども、創業オーナーの人材育成ってのは半端ではないんですよ。本質的なことを追求していく。だから創業企業で考えている人材育成っていうのは、大手企業の人事部のやっているものとは違うレベルの人材育成なんですね。

もちろん商品開発もする。つまり、個人も企業も、恐らく上手に経営をやっていく、変わらぬポイントは創業者マインドだと思います。でこれを持っている人は、サラリーマンにもたくさんいるんですよ。ですからサラリーマンにもたくさんいるんで、うまく見つけ出して、配置をしてポストアップしていくと良い企業になりますね。

新谷:創業者精神、本当に勉強になるお話をありがとうございます。リスナーの皆様方も勉強になったのではないかと思います。本日はどうもありがとうございました。リスナーの皆様も最後までお聞き頂きましてありがとうございます。松井社長様のお話大変勉強になったと思います。松井様の本はいくつも出ていまして、私もいくつか読みましたけれども、大変勉強になるので、皆さまもぜひ一度お読み頂いたら良いのではと思います。
本日はどうもありがとうございました。

松井社長:どうも、ありがとうございました。

プロフィール

株式会社松井オフィス 代表取締役社長
株式会社良品計画 名誉顧問
ほか社外取締役多数
松井 忠三


西友時代は主に人事畑を歩み、各種制度の構築、幹部社員の意識改革研修等を担当する。良品計画に移ってからは、人事・営業・物流・インターネットビジネスを担当。  2001年、急激な業績不振の責任を取って退任した前社長のあとを受け、急きょ社長に就任。38億円の赤字を経て大掛かりな経営改革を断行。一時は撤退したアジアにも再出店。 創業以来11年続いた海外の赤字も2002年には黒字に転換させ、現在25の国と地域に300店舗を展開する礎を築く。