経営者の味方「0円ビジネスマッチング WizBiz(ウィズビズ)」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  シニアベンチャー  >  機能性セラミックによる浄水・殺菌技術を開発  詳細


機能性セラミックによる浄水・殺菌技術を開発
株式会社アキュサイト 代表取締役 井川重信(いかわ・しげのぶ)

更新日:2012年04月18日

アキュサイトの井川重信社長は、勤務先を定年退職した後、機能性セラミックの焼成ノウハウを活かし、水質改善技術を開発。浄水器などに製品化し、製造・販売に乗り出した。
 


 
 
 井川重信社長
「殺菌や水質改善は世界的な課題。海外の需要にも応えていきたい」と語る井川重信社長
 
 
 
 
 

熱にたよらない殺菌技術を開発

――御社の事業概要を教えてください。
機能性セラミックの製造と、それを利用した水質改善機器類――浄水器やスーパー等に設置されている飲料水の自動販売機、建物の冷却塔内の水質を改善する「アキュサイトクリーナー」など――を製造・販売しています。

また、機能性セラミックを使った高電界殺菌システムも開発しました。これは、高い電圧をかけ、細菌の細胞膜を破壊することで、殺菌する方法で、高温にする必要がないため、牛乳や薬などの液体の成分を変えることなく殺菌できる点が特長です。ちなみに、この技術を応用すれば、10日程度の牛乳の賞味期限を数カ月に延ばせます。

――これまでの販売実績を教えてください。
飲料水の自動販売機は、スーパーなどに140台以上納入しています。また、冷却塔内の水質改善装置である「アキュサイトクリーナー」は、メーカーの工場などを対象に500本以上販売しています。一方、殺菌機器は、まだ販売は始めていませんが、現在、乳業メーカーなどと装置を共同開発しているところです。

技術開発を続けるため定年後に起業

――アキュサイトは、勤めていた企業を定年退職後に設立されたそうですね。
中山製鋼所の役員を61歳で退職した2001年の7月に当社を設立しました。中山製鋼所では、特殊鋼の熱処理技術を応用し、自治体で問題となっていたゴミ焼却場の焼却灰を焼成し、有価物にする技術の開発を検討していたのですが、景気低迷による業績悪化で、畑違いの分野の新規事業に手を出せなくなってしまいました。これをあきらめるのはもったいないと思った私は、自分で開発してみようと考えたのです。ただ、焼却灰の焼成は、大きなプラントも必要になり、個人が取り組むには負担が大きすぎます。そこで、まず、手ごろな浄水器から始めようと考えたのです。

――では、当初は起業する予定はなかったのですか?
技術で身を立てたいという思いは、若い時からあったので、起業が想定外だったわけではありません。本当は別の事業を考えていたのですが、技術の開発に携わったことから、退職後もこの事業を続けることになったのです。

――起業の準備は、どうされたのですか?
中山製鋼所では、最後の2年、顧問をしていたので、この間、会社設立の準備をしていました。起業資金は、出資者を募って集めました。自己資金ではなく、出資者を募ったのは、それを世に出すために出資したいと思われるようなビジネスでなければ、ニーズもないだろうと思ったからです。また、個人の資金は、やがてデスバレーに陥った時に必要になるだろうと思ったので、創業時には使わなかったのです。

アキュサイトの製品群
アキュサイトでは、機能性セラミックをコア技術に、浄水器や高電界殺菌装置を開発している


他社との連携で、拡大する需要にも対応

――起業から11年になりますが、この間の業績はいかがですか?
11年の間に2度、デスバレーを経験しました。起業から最初の3年間、赤字が続き、8人いた従業員には全員退職してもらい、一人で再スタートしました。その後、黒字転換したものの、水の自販機の価格が他社製品に比べ、格安だったことから、ライバル企業の激しい販売攻勢に合い、製品が売れなくなりました。さらに、従業員による売上金持ち逃げなどもあり、再び赤字に転落しました。そこでもう一度リストラを行なった結果、ここ2期は連続で黒字を達成しています。

――まるで、ジェットコースターのようですね。そうしたご苦労があっても、起業してよかったと思われますか?

もちろんです。かつて役員を経験していたといっても所詮、サラリーマンですから、すべてが自分の思い通りになるわけではありません。その点、今はすべて自分の判断で決められます。確かに資金繰りを考えると夜も眠れないほどですが、それでも、やはり自分がやりたい研究開発ができるのだから、楽しいですね。“定年したら、悠々自適な暮らしを”なんてことは、考えたこともありません。生涯現役を目指しますよ(笑)

――今後の事業展開を教えてください。
これまでは、浄水器と「アキュサイトクリーナー」が売り上げの中心でしたが、今後は、高電圧の殺菌システムの需要が伸びると考えており、実際、すでに引き合いも多数寄せられています。なお、食品工場などの殺菌システムとして導入する場合、設備の規模が大きくなるため、将来は、当社が提供するコア技術をシステム化する企業と提携して、事業を展開していきたいと考えています。

プロフィール&会社概要

株式会社アキュサイト 代表取締役 井川重信(いかわ・しげのぶ)
1939年9月生まれ。奈良県出身。立命館大学理工学部卒業後、1967年、日本バルブ製造(中山製鋼所関連会社)入社し、製鉄機械の制作に従事。三星機工(日本バルブ製造から社名変更)の取締役を経て、中山製鋼所の取締役に就任。取締役退任後、顧問を経て、2001年3月退職。同年7月、アキュサイト設立。

組織名:(株)アキュサイト
所在地:〒554-0022
大阪市此花区島屋4-2-7島屋ビジネスインキュベータ402号室
電話:06-6469-1772
URL:http://aquxite.sakura.ne.jp