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サマータイム制度の導入

更新日:2012年08月22日

夏の節電を強化するために、当社でもサマータイム制度の導入を考えていますが、社内で意見が分かれ迷っています。サマータイム制度の導入を検討する上で押さえておくべきポイント等がありましたら教えてください。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

回答

節電への取り組みを強化する一環として、昨年よりサマータイム制度を導入する会社が増えていますが、メリットとデメリットをしっかりと整理して、デメリットに対する対策を予め講じた上で導入を進めることが重要です。

解説

サマータイム制度とは、始業・終業時間を30分から1時間程度早めることで、日の明るい時間帯を有効に使い、エアコンや照明などの電力を削減しようという節電対策の1つです。昨年3月の東日本大震災をきっかけに、各企業にて導入が進みました。今年も新たに導入を検討する企業が増えています。導入に際しては、まず、メリット・デメリットを整理することから始めましょう。

【メリット】

・節電効果がある
まだ涼しい早朝から始業することで、オフィス内で使用するエアコンの使用電力を抑えることができます。また、終業時間も前倒しになることで、明るいうちに帰宅する社員が増え、照明の使用時間も削減されることに繋がります。これらの結果、オフィスで使用する電力使用量が削減され、大きな節電効果を生みます。

・通勤ラッシュを回避できる

通勤時間帯が前倒しになるため、電車などの交通機関の混雑を避けて通勤できる従業員が増えます。このことで従業員にとって通勤時の負担が軽減される効果があります。

・終業後の余暇時間が増える

就業時間を前倒しすることで、帰宅時間が早まることに繋がります。その結果、終業後の余暇時間が増え、従業員にとってはプライベートの時間の確保というメリットもあります。

【デメリット】

・残業時間が増加する可能性がある
終業時間を1時間前倒しにして16時にしたとしても、取引先は17時や18時まで業務をしている場合が多いため、取引先への対応によって、結果的に18時まで残業するといったことが頻繁に発生するとも考えられます。活動時間を取引先に合わせることで、サマータイム制度導入前に比べると残業時間が増えてしまい、むしろコストアップになる可能性もあります。

・顧客企業などへの告知・理解が必要となる
サマータイム制度を効果的に運用するためには、取引先や顧客に対して充分な告知をし、その理解を得なければなりません。商取引を進める上で、例えばこれまで17時まで受け付けていたものを16時で〆切るなど、といった対応を徹底するためは、取引先や顧客の理解がどうしても必要となります。

・従業員の健康管理に注意が必要になる
従業員にとっては通常よりも早起きを強いられるため、睡眠不足に陥るなどといったことも予想されます。その結果、体調を崩す社員が現われたり、遅刻や欠勤が頻発し、社内のモラル低下に繋がる可能性もあります。これらを回避するために、従業員の健康管理や終業後の時間の使い方について、目を行き届かせることが必要となります。

【デメリットを回避するために】

上記のようなメリット・デメリットを整理した上で、デメリットに挙げたことを回避できる体制・対策を取ることが導入の前提条件となります。

・残業時間を増やさない管理体制
毎日、全社員の残業時間を把握する体制を敷き、残業が増えることのないよう管理するとともに、残業時間が増加している場合は、その原因を早期に発見して解決できるようにします。

・取引先や顧客の理解を得るための体制
導入を決定した場合、取引先や顧客に対してどのように伝達し理解を得ていくのかを最優先で計画立案します。取引先や顧客への告知は緊急事項と捉え、遅くとも実施の1カ月前には告知を終えていたいものです。

・従業員の健康管理体制
導入後、しばらくの間は、従業員の出社時間や健康状態を気に留め、少しでも問題が感じられた場合は、その従業員の退社後の時間の使い方や就寝時間などについて確認し、終業後の時間の使い方にまで踏み込み、解決をできるようにします。

【導入にあたって】

導入にあたっては、自社にとってのメリットとデメリットになる部分への対策について全社員に時間をとって説明されることをお薦めします。サマータイム制度導入には、上記に挙げた通り、取引先や顧客への協力依頼、残業や健康面の管理など、従業員一人一人が意識して取り組まなければならないことが数多く含まれます。そのため、導入前には全社員に対して、サマータイム制度導入で何がどう変わるのかを、正しく説明する機会が必要です。

実際にサマータイム制度を導入するとなった場合、就業規則の変更が必要になるケースがあります。すでに就業規則に「特別な事情がある場合は、労働時間を変えない範囲内で、サマータイム制度の導入等、始業時間・終業時間を変更することができる」といった内容が規定されているならば、従業員の同意を得た上で、サマータイム制度を導入することができると考えられます。

しかしながら、そもそもサマータイム制度を視野に入れた就業規則になっていない場合は、制度導入に合わせた就業規則の一部変更が必要となります。就業規則の変更は、労働契約法9条と10条(就業規則による労働契約の内容の変更)に基づいて行なわれます。いずれにせよ、従業員の合意の下での制度導入が必要だといえます。

著者クレジット

中小企業診断士 石田雅子(いしだ・まさこ)
WizBiz株式会社に勤務。小売、サービス業を中心とし、売上拡大、組織風土改善などの経営課題解決に向けた支援、各種助成金・補助金などに関するアドバイスを行なっている。