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アンケート調査データ分析の際の留意点(2)

更新日:2013年02月06日

今回、自社サービスの利用満足度やイメージ等について、自社の商圏エリアでアンケート調査を実施した結果のデータを分析したいと考えています。アンケート調査データを分析するうえで注意すべきポイント等がありましたら教えてください。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

回答

アンケート調査結果から得られるデータには通常、誤差というものが含まれていますので、項目間のデータの差を比較分析する場合には、「その値の差は単なる誤差なのか、あるいは、意味のある差(有意な差)なのか」を考え、適切な分析手法で、差の性質を正しくとらえる必要があります。

解説

【有意差検定】

項目間のデータの差を比較分析する際には、通常、有意差検定という分析手法が用いられます。以下では、比較分析する双方の標本が充分に大きい場合(それぞれの標本内のデータ数がおよそ50以上の場合)を前提に考えていきます。

有意差検定では、下の式で計算される値(検定統計量と言います。)を求め、その絶対値が1.96よりも小さければ、95%の確からしさで、「その差は意味の無い誤差である」とみなされ、1.96よりも大きければ、95%の確からしさで、「その差は意味のある差(有意な差)である」とみなされます。

■検定統計量(大標本の場合)


※上の式の中の記号の意味は以下のとおりです。

    m…回答者のデータの平均(標本平均)
    σ…母集団のデータの標準偏差(母標準偏差)
    n…回答者数(標本サイズ)

※各記号の右下の数字は比較される2つの項目それぞれの数値であることを示しています。

また、母標準偏差は不明であることが一般的ですので、標本サイズが充分に大きい場合は、上の式の中の母標準偏差σは次の式で代用することが可能です。



以下では、例を挙げて説明していきます。

■有意差検定の例

「ある企業では、自社サービスの利用者を対象として、回答者を無作為抽出した標本調査を実施した。アンケートでは回答者に利用満足度を5点満点で評価してもらったところ、次のような結果になった。

    調査結果から得られた標本平均(m)…4.0点
    母標準偏差の代わりとして計算された標準偏差(s)…1.9点
    回答者数(n)…850人

なお、前年の同調査の結果は以下のとおりであった

    調査結果から得られた標本平均(m)…3.8点
    母標準偏差σの代わりとして計算された標準偏差(s)…2.1点
    回答者数(n)…800人

今年の回答者による満足度評価平均(4.0点)は前年の回答者による満足度評価平均(3.8点)と比べ0.2点増加しています。はたして、この差は偶然による誤差なのでしょうか?それとも、必然的な意味のある差なのでしょうか?

今年の回答者(または回答データ)を「標本1」、前年の回答者(または回答データ)を「標本2」とおいて、上の検定統計量の式に、m、s、nの各値をそれぞれ代入すると、z=2.02となります。2.02は、検定統計量の基準としている値の1.96を上回っているため、「前年と比べた満足度評価平均の差には意味がある(有意である)」と判断されることになります。つまり、「今年のサービス利用満足度は前年と比較して向上した」と言えるわけです。

上の例は、今年の標本平均が前年の標本平均を上回ったケースですが、逆のケースでも同様の分析により「z」の絶対値の大小を見て、差の有意性を判断します。

また、標本の大きさが50に満たないなどのような小標本の場合には、上述の検定方法ではなく、「t検定」や「ウェルチ(Welch)の検定」と呼ばれるものなどが用いられます。

いずれにおいても、項目間のデータの差を比較分析する際には、適切な分析手法で、差の性質を正しくとらえる必要があるといえます。

著者クレジット

専門社会調査士 出口義和(でぐち・よしかず)
修士(経済学)。同志社大学経済学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。 金融機関の顧客満足度調査分析や消費者動向の調査研究などを行なっている。