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アンケート調査データ分析の際の留意点(1)

更新日:2013年01月30日

今回、自社サービスの利用満足度やイメージ等について、自社の商圏エリアでアンケート調査を実施した結果のデータを分析したいと考えています。アンケート調査データを分析するうえで注意すべきポイント等がありましたら教えて下さい。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

回答

アンケート調査結果から得られるデータには通常、誤差というものが含まれていると心得ておく必要があります。この誤差の存在を正しく認識しながら調査対象である母集団の性質を推定していくという工夫が求められます。

解説

アンケート調査結果の集計分析数値には、なんらかの誤差が含まれていると考える必要があります。調査対象とする母集団から標本抽出をしてアンケート調査を実施する標本調査の場合には、標本抽出に伴う誤差(標本誤差)が生じます。一方、調査対象とする母集団の構成員全員に意見を聞く全数調査においても、回答ミスなどによる誤差(非標本誤差)が生じます。もちろん、非標本誤差は標本調査においても生じます。
アンケート調査実施の際には、できるだけ誤差を無くす、また、誤差を小さくする施策が求められますが、アンケート調査データ分析の際には、この誤差の存在を正しく認識しながら母集団の性質を推定していくという工夫が求められます。

アンケート調査の関心事の一つは母集団の状態です。標本調査では、無作為抽出で選んだ回答者による回答結果を基に母集団の状態を推測します。母集団の状態を端的に示すデータとして、母平均(母集団におけるデータの平均)というものが挙げられますが、統計学的な手法を用いると、標本誤差の推定、そして、誤差を加味した母平均のとりうる範囲(信頼区間)の推定が可能です。
たとえば、信頼度95%(95%の確からしさ)における母平均の信頼区間は、下の式で表すことができます。そして、この信頼区間を用いて母平均の範囲を推定することを区間推定と呼びます。

以下では、標本サイズが充分に大きい場合(標本内のデータ数がおよそ50以上の場合)を前提に解説していきます。

■母平均の信頼区間(信頼度95%、大標本の場合)

m−1.96σ/√n<μ<m+1.96σ/√n

※上の式の中の記号の意味は以下のとおりです。

    μ…母集団のデータの平均(母平均)
    m…回答者のデータの平均(標本平均)
    σ…母集団のデータの標準偏差(母標準偏差)
    n…回答者数(標本サイズ)

また、母標準偏差は不明であることが一般的ですので、標本サイズが充分に大きい場合は、上の式の中の母標準偏差σは次の式で代用することが可能です。

計算式

<信頼度>
上の信頼区間の不等式内の係数1.96は信頼度を95%とした場合の係数(正確には、標準正規分布の下側確率97.5%時のパーセント点)ですが、信頼度を90%とした場合は1.645、信頼度を99%とした場合は2.576を係数として使用します。ただし、統計学では、95%という水準を信頼度で用いるのが一般的です。

以下では、例を挙げて説明していきます。

■区間推定の例

「ある企業では、自社サービスの利用者を対象として、回答者を無作為抽出した標本調査を実施した。アンケートでは回答者に利用満足度を5点満点で評価してもらったところ、次のような結果になった。

    調査結果から得られた標本平均(m)…4.0点
    母標準偏差σの代わりとして計算された標準偏差(s)…1.9点
    回答者数(n)…850人」

この例の場合、調査結果から得られた各数値を上の不等式に、m=4.0、s=1.9、n=850として、それぞれ代入すると、3.87<μ<4.13となります。すなわち、本サービスの利用者全体(母集団)の満足度評価平均(母平均)は、3.87点から4.13点の間に収まっているだろう、ということが95%の確からしさで言えることになります。

言い換えれば、調査結果から得られた満足度評価平均(標本平均)と真の平均(母平均)との間には、最大で±0.13点程度の誤差が生じているということになります。

以上は、標本誤差の一例ですが、アンケート調査結果から得られるデータには通常、このような誤差が含まれていると考えられます。標本誤差は、データのばらつきが大きい場合はもちろん、回答者数が少ない場合にも、大きくなる傾向がありますので、そのような場合には、項目間のデータ比較は慎重に行う必要があるといえます。

著者クレジット

専門社会調査士 出口義和(でぐち・よしかず)
修士(経済学)。同志社大学経済学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。 金融機関の顧客満足度調査分析や消費者動向の調査研究などを行っている。