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アンケート調査実施の際の留意点(1)

更新日:2012年12月26日

今回、自社商品の認知率やイメージ等について、自社の商圏エリアでアンケート調査を実施することになりました。アンケート調査を実施するうえで注意すべきポイント等がありましたら教えてください。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

回答

アンケート調査を実施する場合は、まず、「回答者の集団が調査対象である母集団の特性を正しく現わしていること」と、「母集団の性質を見るために必要充分な回答者数が確保されていること」という、質と量の両方の条件が満たすことが重要だといえます。

解説

1.無作為抽出(ランダム・サンプリング)

調査対象とする母集団の構成員全員の意見を聞くような調査を全数調査と言います。全数調査は、母集団の規模が小さい場合には実施可能ですが、母集団の規模が大きくなると実施が難しくなります。母集団の規模が大きい場合には、その中の一部の人々の意見を聞くこと(標本調査)で、全体の性質を推定します。このとき、実際に意見を聞く人々を抽出するわけですが、この作業をサンプリング(標本抽出)と言います。

サンプリングによって選ばれる人々の集団は、母集団の特性をそのまま正しく受け継いでいる必要があります。そのため、性別、年齢、居住地や職業など、重要な属性が偏ってしまわないよう、サンプリングは満遍無く無作為に行なわれます。このために行なわれる作業が「無作為抽出(ランダム・サンプリング)」と呼ばれるものです。

通常のアンケートでは、母集団(調査対象)は明確に定義されているものであり、また、一度回答した人が同じアンケートに重複して答えることは原則ありませんので、アンケート調査の際に行なわれる無作為抽出は、正確には「有限母集団からの無作為非復元抽出」と呼ばれます。

無作為抽出の一般的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。

・単純無作為抽出法
これは、母集団の構成員全員の名簿などから、乱数表などを用いて無作為に回答者を抽出するものです。数ある無作為抽出法の中で最も基本的で、かつ最もシンプルな手法です。

・系統抽出法
これは、母集団の構成員全員の名簿などから、乱数表などを用いますが、一定の規則性も持たせて回答者を抽出するものです。

母集団や標本サイズが大きすぎる場合、単純無作為抽出法では、一人一人を乱数表などで抽出するため、手間がかかりすぎます。系統抽出法では、この手間を省くため、最初の1人のみをランダムに決め、他は名簿上、等人数間隔などで回答者を抽出していきます。

・多段抽出法
これは、母集団の構成員をいくつかのグループに分け、その中から無作為にグループを選ぶという作業を繰り返し、最終的に選ばれたグループの中から回答者を無作為抽出するというものです。グループの抽出過程は何段階であってもかまいません。
これも、母集団や標本サイズが大きな場合などに行なう簡便的な無作為抽出法の一つです。

・層別抽出法(層化抽出法)
これは、母集団の構成員を属性(年代など)で層別(20代、30代…)に分け(層化し)、各層の構成比等に従って、回答者を無作為抽出するものです。
層別抽出法には、各層からの抽出率が等しくなるようにサンプリングを行なう「比例抽出法(比例配分)」と、調査結果から得られる推定値(標本平均)の誤差を最小にする「ネイマン抽出法(ネイマン配分)」とがありますが、一般的には、比例抽出法(比例配分)がよく使われています。

・層別多段抽出法
これは、母集団の構成員を層化し、各層の構成比等に従って、回答者を多段抽出するものです。
たとえば、全国的な世論調査などでは、市区町村をまず人口規模で層化し、各層に属する市区町村数の比率に合わせて、実際に調査する市区町村を無作為抽出するということが行われたりします。この場合、最終的に選ばれた市区町村の集まりが母集団の特性を有している点、そして、アンケート実施の際に使用される名簿が選ばれた市区町村の数だけで足りる点がメリットとして挙げられます。

2.必要有効回答者数の確保

アンケートの調査分析結果が高い精度を保つためには、信頼度(確からしさ)という概念に基づき一定数以上の有効回答者数を確保しなければなりません。分析に必要充分な有効回答者数(標本サイズ)を確保することで「調査結果から得られる推定値(標本平均)」と「母集団における真の値(母平均)」との間の誤差を小さくすることができます(大数の法則)。

この誤差と回答者数との間には一定の法則(中心極限定理)があることが認められており、この法則から、アンケート調査分析に必要な有効回答者数を事前に算出することができます。母集団の大きさをN、質問に対し予測されるなんらかの回答結果の割合をpとすると、信頼度95%で、誤差をeポイント未満に抑えるために必要な有効回答者数nは、次の不等式を解くことで求められます。

不等式

具体的には、次のような例が挙げられます。

【必要有効回答者数の算出例】
「ある企業のサービス利用顧客5万人において、新サービスの認知率(標準で50%を仮定)を調べるに際し、95%の確からしさで、推定値と『真の認知率』との誤差を4.5ポイント未満に抑えたい。」

この場合、アンケート調査分析に必要な有効回答者数nは、上の式で、Nに50,000、pに0.5、eに0.045を代入すれば求められます。実際に計算しますと、n>469.8となり、470人以上の有効回答者数が必要だということになります。また、当該サービス利用者のアンケート回答率が10%程度と予想されるならば、必要な有効回答者数を確保するために、4,700人以上のサービス利用顧客へアンケートを送付しなければならない、ということになります。

アンケート調査を実施する場合には、上記のように質と量、両方の条件を満たすための手順が必要だといえます。

著者クレジット

専門社会調査士 出口義和(でぐち・よしかず)
修士(経済学)。同志社大学経済学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。
現在、金融機関の顧客満足度調査分析や消費者動向の調査研究などを行なっている。