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障害者雇用事業所への税制優遇措置

更新日:2012年01月25日

障害者を雇用していますが、税制面で優遇される措置があればご紹介ください。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

回答

税制上の優遇措置として以下の5つをご紹介します。
1.障害者(※1)を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度
2.障害者の働く場に対する発注促進税制
3.障害者を多数雇用する事業主に係る不動産取得税・固定資産税の課税の特例
4.障害者を雇用する事業所に係る事業所税の特例
5.助成金の非課税措置
※1 身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳等の手帳所持者

解説

1.障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度

《税制優遇制度の概要》
割増償却とは税務上の優遇措置の一つで、通常の減価償却限度額を上回る減価償却を認める制度です。通常の償却に加え、前倒しで多く償却費を経費として計上できるため、法人税の支払を繰延べる効果があります。
この制度では、障害者を多数雇用する事業主が保有する減価償却資産について、普通償却限度額の24%(工場用建物及びその附属設備は32%)の割増償却が認められます。
(適用期間は平成26年3月31日までです)

《対象要件》
対象となる減価償却資産は、減価償却を行なう事業年度またはその前5年以内に開始した事業年度に取得、製作、建設した機械装置、工場用建物およびその附属設備、並びに一定の車両運搬具です。

対象となる事業主は、次の要件を満たす事業主です。
(1)青色申告書を提出する事業主であること
(2)平成26年3月31日までに始まるいずれかの事業年度(個人事業主の場合は平成26年12月31日までの各年)において、次のいずれかに該当する事業所であること。
a.従業員に占める障害者の割合が50%以上(※2)
b.雇用している障害者数が20人以上(※2)で、かつ、従業員に占める障害者の割合が25%以上(※2)
c.法定雇用率1.8%を達成している事業主で、雇用している障害者数が20人以上(※3)で、かつ、雇用障害者に占める重度障害者(※4)の割合が50%以上(※3)

※2 重度障害者(短時間労働者を除く)は1人を2人としてカウント(ダブルカウント)。重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウント。
※3 短時間労働者は1人を0.5人としてカウント(重度障害者のダブルカウントなし)。
※4 重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者

2.障害者の働く場に対する発注促進税制

《税制優遇制度の概要》
これは、障害者の働く場に対する発注額を前年度より増加させた企業について、前年度からの発注増加額(※5)を限度として、その企業が有する減価償却資産の割増償却を認めるというものです。割増償却により法人税の支払を繰延べる効果があります。
発注には業務を下請けした場合のみならず、生産した商品を売買した場合等も含みます。
(適用期間は平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間です)

※5 前年度に発注がない場合は、当該年度の「発注額」がそのまま「発注増加額」となります。ただし、対象となる減価償却資産の普通償却限度額の30%を限度とします。

《対象要件》
対象となる減価償却資産は、事業に使用されているもののうち、現事業年度を含む過去3事業年度以内に取得したものです。
例)建物・冷暖房設備、照明設備、機械、車両、備品など「1年以上の長期保有資産」

対象となる事業主は、青色申告者であるすべての法人または個人事業主です。

対象となる発注先は、以下の施設です。
・就労移行支援事業所
・就労継続支援事業所(A型・B型)※6
・生活介護事業所
・障害者支援施設(生活介護、就労移行支援または就労継続支援を行なう施設)
・地域活動支援センター
・旧授産施設(身体・知的・精神)
・旧福祉工場(身体・知的・精神)
・障害者雇用促進法の特例子会社、重度障害者多数雇用事業所

※6  「A型」は障害者と雇用契約を結び、原則として最低賃金を保障するしくみの“雇用型”。「B型」は契約を結ばず、利用者が比較的自由に働ける“非雇用型”。

3.障害者を多数雇用する事業主に係る不動産取得税・固定資産税の課税の特例

《税制優遇制度の概要》
障害者を多数雇用する事業主に係る不動産取得税・固定資産税の課税の特例では、障害者を多数雇用する事業主に、一定の範囲内で不動産取得税および固定資産税の減税が認められます。
(適用期間は平成25年3月31日までです)

(1)不動産取得税
平成25年3月31日までの間に取得し、引き続き3年以上事業の用に供する事業用施設に係る不動産取得税のうち、当該税額から取得価額の10分の1に相当する額に税率を乗じて得た額が減額されます。

(2)固定資産税
平成25年3月31日までの間に取得した事業用家屋(取得から当初5年度分に限る)に係る固定資産税の課税標準となるべき価額の6分の1に障害者の雇用割合および税率を乗じた額が減税されます。

《対象要件》
対象となる事業主は、下記のa、b両方の要件を満たす事業主です。
a.障害者雇用割合(※7)が50%以上で、かつ20人(※7)以上障害者を雇用している。
b.「重度障害者等多数雇用施設設置等助成金」等(※8)を用いて事業用施設(作業用に限る)を取得している。

※7 短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人として、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウントする。
※8 雇用保険法施行規則第118条の3第1項の「重度障害者等多数雇用施設設置等助成金」および障害者の雇用の促進等に関する法律第49条第1項第6号の「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」をいう。

4.障害者を雇用する事業所に係る事業所税の特例

事業所税は、一定規模以上の事業を行なっている事業主に対して課税される税金で、事業所等の床面積を対象とする「資産割」と従業員の給与総額を対象とする「従業員割」とに分かれます。
この税金は都市環境の整備および改善に関する事業の財源に充てるための目的税で、地方税法で定められた都市だけで課税される市町村税です。

(1)事業所税 資産割
《税制優遇制度の概要》    
障害者を多数雇用する事業主に係る事業所税の資産割について、課税計算の基礎となる床面積から、当該事業所の床面積の2分の1に相当する面積を控除することが認められます。
(これは恒久措置であり、適用期間に制限はありません)

《対象要件》
対象となる事業主は、下記のすべての要件を満たす事業主です。

a.障害者を10人以上雇用している。
b.障害者雇用割合が50%以上(※9)
c.「重度障害者等多数雇用施設設置等助成金」等(※10)を受給している。

※9 短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人として、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウントする。
※10 雇用保険法施行規則第118条の3第1項の「重度障害者等多数雇用施設設置等助成金」および障害者の雇用の促進等に関する法律第49条第1項第6号の「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」をいう。

(2)事業所税 従業員割
《税制優遇制度の概要》
障害者を雇用する事業主に係る事業所税の従業員割について、課税計算の基礎となる従業員給与総額の算定および免税点の判定において、障害者は従業員から除くことが認められます。
(これは恒久措置であり、適用期間に制限はありません)

《対象要件》
対象となる事業主は、障害者を雇用する事業主です。

5.助成金の非課税措置

《税制優遇制度の概要》
障害者雇用納付金制度に基づき助成金を受けて固定資産を取得した場合、助成金のうち固定資産の取得または改良に充てられた金額は、総収入額に不参入(所得税)または損金算入(法人税)することが認められます。
(これは恒久措置であり、適用期間に制限はありません)

《対象要件》
障害者雇用納付金制度に基づく下記の助成金を受けて固定資産を取得すること。
・障害者作業施設設置等助成金
・障害者福祉施設設置等助成金
・重度障害者等通勤対策助成金
・重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
・障害者能力開発助成金

【よくある質問】

Q.各優遇措置を受けるときに必要な手続きについて教えてください。
A.最寄りのハローワーク(正式名称:公共職業安定所)で、要件を満たしていることの確認を受け、証明書を発行してもらいます。ハローワークで交付される証明書は、税務署に申告する際に掲示を求められた場合に必要となります。
また、「障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度」について申告をする際は「特別償却の附表」の添付が必要になります。

【問い合わせ先】

ハローワーク一覧:
http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
国税局・税務署一覧:
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/chizu/chizu.htm

著者クレジット

公認会計士・税理士 小駒望(こごま のぞみ)
小駒望公認会計士事務所所長。税務・会計に関するコンサルティングのほか、ファンドでの経験を活かし、事業承継や制度融資、事業計画の策定などのサービスにも注力している。