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お試しとネタ消費! 単発の習い事が盛況!
タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。

更新日:2012年08月29日

最近、習い事のスタイルが、従来主流だった毎週通うような定期講座より、月に1回程度や1日完結型の単発レッスンに人気が集まっているという。特に若い世代でその傾向が強く、そこにはお試しとネタ消費の対象という2つのニーズがみられている。
 


 
 タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 習い事は今、気軽さがポイント

ここ数年、カルチャー教室などの習い事にある傾向がみられ、その結果、月1回や1日完結型などのいわゆる単発レッスンが盛況となっている。その傾向は(1)本格的に通う前に体験してみたいという「お試し」で受講する人が多いことと、(2)自身のTwitterやFacebookの書き込みをアピールするために珍しいほか面白い習い事を受講する人が多いことだ。後者は、話題になることを狙って面白い商品やサービスを購入する消費動向を指しており、昨今では「ネタ消費」といわれている。2つのそれぞれの特徴をみてみる。

(1)本格的に通う前に体験してみたいという「お試し」ニーズ
ひとつ目に、定期的に通う前に体験して、時間や費用、内容を知った上で検討したいというニーズに対して、お試し感覚で受けられる単発の講座が人気になっている。人気の理由がいくつか挙げられる。

・初心者でも始めやすい。
・定期的に通うことが難しい場合も少ない回数から受講できる。
・長期的に通学してひとつのスキルを身につけることより、1回完結で小さくとも新しい発見があるスタイルの方が気軽に受講できる。
・複数の習い事を掛け持ちで受講できる余裕(時間、資金、気持ち)が生まれる。

女性に人気の百貨店「プランタン銀座」(東京・中央)が運営するカルチャー教室「エコールプランタン」では茶道の表千家のおけいこを3カ月(計5回)13,125円(税込み)で提供しており、受講生は月1〜2回のペースで通うことができる。20〜30代の女性会社員が通うことを想定し、彼女たちのライフスタイルを考えると、習い事に費やす頻度として月1〜2回程度が適当と考えられている。また、月1回程度であれば、もうひとつ別の講座を受講しようと考える人も多い。

習い事業界を賑わす「ネタ消費」

(2)ネタ消費の対象としての単発レッスン
単発レッスンが盛況の2つ目の背景は、昨今急速に普及し社会へ与える影響が大きいとして注目されているソーシャルメディアを意識したネタ消費だ。これは、「Twitter」や「Facebook」などのソーシャルメディアでアピールするために、面白いものやこだわりのあるものを消費することを指し、その対象として習い事が選択されている傾向がある。例えば、カルチャー教室で夏に向けて浴衣の着付けレッスンを受講し、その姿を写真に撮ってソーシャルメディアにコメントと共にアップする。

その書き込みを見た友人から「ステキですね!」「私も今年こそ自分で着たい!」といった反応があり、それを楽しむといったもの。周囲からの関心を集めたいという心理は誰もがもつもので、それがソーシャルメディアにより顕在化した形である。例えば料理教室大手「ABCクッキングスタジオ」(東京・千代田)では全国で約300もの1回完結の講座を設置しており、どの講座も好評となっている。

なお、このネタ消費とは、野村総合研究所が2011年11月に「ソーシャルメディアが描く未来」で発表したものである。同社は、このネタ消費には4つのパターンがあると説いている。(A)隠れオタク型、(B)エンターテナー型、(C)自己顕示・自分追い込み型、(D)愉快犯型。それぞれの特徴は、次の通り。(※以下、同資料より引用)

(A)隠れオタク型
消費者イメージ:何か強いこだわりをもっている人
対象商品・業種:皆がひとつは持っている、大好きなジャンルのモノ(アパレルやレジャー施設、コンテンツなど)

(B)エンターテナー型
消費者イメージ:サービス精神の強い人(コミュニティの中心人物)
対象商品・業種:限定品や、そのコミュニティで興味関心が高いモノ(お土産品・お菓子などのコモディティなモノなど)

(C)自己顕示・自分追い込み型
消費者イメージ:自分を追い込みたい/自分をよく見せたい人
対象商品・業種:ひとりで続けるのが難しいもの(英会話・ダイエット・読書などの自己研鑽関連など)

(D)愉快犯型

消費者イメージ:「ダメな自分」というキャラクター付けをしたい人
対象商品・業種:ベーシックな欲求に基づくモノ(酒・タバコ・ギャンブル・不健康な食品など)

ネタ消費の対象として単発レッスンの習い事を受講しようとする人は、まさに「自己顕示・自分追い込み型」に当てはまるように考えられる。なお、同社によるとネタ消費の現在の消費規模は約3,400億円、ポテンシャル消費規模としては約7,100億円になると試算されており、今後も商機の可能性があるとみられている。

不況下でも習い事の参加人口は微増!

元来、習い事といった余剰消費にあたるものは、不況が続くと参加人口が減少し市場が縮むと言われていたが、数字を見る限りでは一概に言い切れないことが分かる。日本生産本部の「レジャー白書」によると、ここ数年の不況下においても、習い事を表す「学習・調べもの」の参加人口は、2009年と比較した2010年は1.8%増加という結果となった。増加要因のひとつとして、消費者ニーズに応える形で、企業が月に1回程度や1日完結型の単発レッスンを充実させるたことが、新しい需要の受け皿となっているのかもしれない。

サービス業を展開する企業にとっては、この2つの傾向を踏まえてサービスを提供していくことがポイントとなる。その場合、長期的に毎週通う定期講座に比べると、収益の見通しが難しいことが懸念される。その対策として、受講料は定期講座よりも高めに設定するほか、受講者のリピートを促すため、1日完結型のレッスンであれば種類を増やすことや、同じコース内でもネタ消費を意識した毎回異なる趣向を盛り込むといった工夫が必要となる。

いずれにしても、次のステップへ進むこと(リピート)の魅力を打ち出すことが大切であり、その場合、受講者がネタ消費目的なのか、お試し目的で時間・費用・内容などを調べに来ているのかを見極め、目的に応じた販促活動が行えるのが理想だ。

■参考
野村総合研究所「ソーシャルメディアが描く未来」
http://www.nri.co.jp/publicity/mediaforum/2011/pdf/forum162.pdf