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サロンサービスを自分で手がける「セルフサロン」の登場
タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。

更新日:2012年05月23日

消費者が景気の回復を感じられる日がいつ来るのか予想がつかない昨今、割安感と手軽さから、「セルフサロン」に注目が集まっている。ネイルやエステ、マッサージなどのサービスを消費者が自ら行なうことで圧倒的な低価格を実現している。
 


 
 タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

スーパーマーケットから始まった「セルフサービス」の歴史

最近、消費者が自分でネイルやエステ、マッサージなどのサービスを手がける「セルフサロン」が登場し、注目を集めている。従来、ネイルやエステなどのサービスは、サロンと呼ばれる店でプロに施術してもらうのが普通であったが、それをセルフサービス化したのだ。では、そもそものセルフサービスの誕生とそのビジネスモデルの特徴を見ていき、セルフサロンの現状と今後について考えたい。

セルフサービスとは、スーパーマーケット(以下、スーパー)の登場がまさに始まりである。小売業においては古くから店の従業員と消費者がやり取りをして商品を選び購入するという流れであったが、この従業員とのやり取りを省き、消費者が自ら商品を選んで、会計場所へ自身で運ぶスタイルを導入したのがスーパー。元々アメリカで誕生し、低価格で短時間の買い物ができるとあって世界中に広がった販売方法である。その後、会計自体も消費者が行なう「セルフサービスレジ」も登場し、日本でも徐々に普及が進んでいる。

現代では、セルフサービスはスーパーに限らず、ほかにもさまざまな業態で取り入れられており、この10数年で台頭したのが「セルフ式ガソリンスタンド」と言っていいだろう。アメリカでは主流であった、セルフ式スタンドは、日本では安全面の観点から従業員が給油を行なっていたが、1998年の消防法改正により規制緩和され、消費者に自ら給油などをさせる給油取扱所が登場した。昨今の原油高の高騰により、価格競争の打開策としてセルフ式ガソリンスタンドに転換するガソリンスタンドも増えている。

セルフサービスはノーサービスではない

次にセルフサービスのメリット・デメリットを見てみる。企業にとっての最大の利点は、従業員数を抑えられ、人件費の軽減につながることである。企業、そして消費者の視点と合わせて、下記の表でまとめてみる。

  メリット デメリット
企業 ・人件費の軽減
・割安価格の提供が可能
・消費者の理解浸透 →サポートの必要性
・消費者との接点の軽薄
・犯罪(盗難・強盗)の恐れ
→監視など防犯コスト計上
消費者 ・割安価格の享受
・利用の気軽さ
・慣れるまでの手間発生

出所:筆者作成

企業は、人件費が抑えられた分、通常のサービスを提供する店と比較して割安な価格設定が可能となり、それを呼び水に集客につなげる。昨今の不景気を考えると、多少なりとも安いものを求める消費者がいて当然であり、利用の気軽さが加われば、そこにビジネスチャンスが生まれる。

一方、セルフサービスを導入することで生じる課題も少なくない。まず、従来型のスタイルに馴染んでいる消費者へ、利用方法などを教える普及活動が必要となる。たとえば、スーパーにセルフレジを導入した当初、利用方法が分からない消費者が敬遠することが想定された。うまい具合に誘導できた場合にも、使い方に戸惑うことを考慮すると常時スタッフを配置する必要性も生じる。

また、消費者との接点が少なくなることで、接客といった付加価値を打ち出すのが難しくなる。さらに、従業員数を抑えていることで、盗難や強盗などの防犯対策を強化する必要があるため、その設備投資は否めない。こういった面で、直接的ではない間接的なサービスが重要となる。つまり、セルフサービスは、消費者を放っておく「ノーサービス」ではないことが分かる。

「セルフサロン」は美容産業だけに留まらず、ペット産業にも


スーパーからはじまった、セルフサービス方式は小売業や飲食業、そしてガソリンスタンドといった、比較的オペレーションが簡単な業種であることが前提となっていた。しかし、最近はセルフサロンと呼ばれ、これまで、プロが手間をかけて行なっていたサービスへの導入が進んでいる。また、プロが手がけることもあり、本格的な施術を受けるとそれなりの費用がかかっていたのが、この方式で圧倒的な低価格を打ち出す店舗が出てきている。消費者を魅了している特徴としては、次のことが挙げられる。

(1)プロの道具を使える
(2)プロのアドバイスを受けられる
(3)割安な価格
(4)自分の自由に行なえる

登場しているサービスの一部を紹介する。

●ネイルサロン
「YuNail(ユーネイル)」(東京都町田)は、ジェルネイル(爪に特殊なジェルを塗りUVライトで硬化させるもの)をセルフでできるネイルサロン。通常プロの施術では両手で1万円程度かかるところを、同店では3150円と3分の1の価格設定。使い方はじめデザインのアイデアなど、プロのネイリストが手厚いサポートをする。
http://yunail.jp/

●エステサロン
「Natural skinセルフクレンジングサロン」(東京都中央)は、スキンケアのセルフサロン。エステで使うプロ仕様の機器をアドバイスを受けながら自分自身で施術できる。
http://natural-s.com/salon/

「ファイテンIPサロン」銀座店(東京都中央)は、運動やリラクゼーション、エステがセルフで行なえる。マッサージチェアやストレッチ機器など、10種類以上のセルフマシンがあり、月会費1万4490円で1回3時間、月4回利用で自由に使える。
http://phiten-ipsalon.com/

※複合型
「NAIL & BEAUTY Self Style」(東京都世田谷)は、ジェルネイルとフェイシャルエステ、そしてホワイトニング(歯の美白)のメニューを揃えており、女性のビューティーケアをワンストップで行なえるとあって支持を集めている。いずれのメニューも専門知識をもつスタッフがサポートする。
http://www.self-s.com/

※そのほかにも
まつ毛のエクステンション(化学繊維などでできた人工毛を地毛に接着するもの)や、脱毛のセルフサロンをメニューとしている店舗も登場している。

●ペットのトリミングサロン
「わんわんぱらだいす」(東京都中野)は、24時間利用できるセルフシャンプーコーナーを設置しているトリミングサロン。プロにシャンプーを依頼した場合5000円程度かかるところ、500円でシャワーが15分、100円でドライヤーが10分使うことができ、いずれもプロ仕様のため自宅でシャンプーをするより効率的、かつ自宅を汚すことがないとあって人気を集めている。
http://www.wanpara-nakano.com/

割安に加え、「自分でやりたい派」に響く


景気の低迷は消費者の購買意欲を喪失させ続けており、消費者間では割安な価格が支持され、業界では価格競争が激化している。そんななか、安いに加え、「自分で行なうことが楽しい」といったサービスも存在し、その点では消費者に響く新しいポイントかもしれない。このセルフサロンの成功のカギは、ひとつに圧倒的な低価格、そしてプロの技を素人でも使いこなせるマニュアルのほか、手厚いサポートが必要だ。

さらに、サロン内の施設など使用機器の充実化も必要だろう。そこには、エステサロンであればプロ使用の美容機器であり、ネイルサロンであれば、消費者に飽きられない色やデザインのバリエーションを揃えることである。それらをうまく発信していくことで、ますます普及すると考えられる。