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AR(拡張現実)の成長の勢いは止まらない
タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。

更新日:2012年04月04日

2007年あたりから、「AR」技術を利用した新たなサービスに注目が集まっている。これは実環境の上にバーチャルの情報を表示させるものである。ビジネスにおける販促をはじめ、観光などでの利用拡大が期待されているARの今をみていく。
 


 
 タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。
セカイカメラで六本木の交差点を見たもの。エアタグに「アマンド」「マツモトキヨシ」の文字が現れた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

バーチャルではない、“現実”に即した情報を得られるAR

最近、「AR(拡張現実)」という言葉をよく聞くようになった。例えば、こんなことがある。旅先で、専用アプリを入れたスマートフォンのカメラをかざすと、まるで現実の景色に看板でも掛かっているかのように、画面には現実の風景の上に観光名所の情報が表示される。これは、ARの技術をもってできること。ほかにも、東京オリンピック誘致活動を行なった2009年、建設予定のスタジアムを表示させた時にもこの技術が利用された。今回は、ARとはなにか、どんなことができるのか、という基本情報を中心に紹介していく。

ARとは、英語のAugmented Reality(オーグメンティド リアリティ)の省略形であり、拡張現実と表現される。実環境の上に、なんらかの情報を追加して表示(重ねて表示)することによって、現実世界の意味を“拡張”する技術。実環境に情報を付加するという点で、すべて仮想で成立するバーチャル・リアリティ(VR)と対を成すものである。大分すると2つになる。ひとつはGPS(全地球測位システム)の位置情報を基にした「位置情報型」、もうひとつは内蔵カメラからマーカー(※)や画像を認識して使う「画像認識型」になる。技術自体の歴史は古く、1960年代の発明からはじまり、VRや画像認識技術、映像表示技術などの向上に加え、IT技術の進化により情報処理能力の向上、さらに昨今のモバイル式の情報端末(スマートフォンなど)の普及が深く関連している。
※マーカーとは、ARで用いられる図形のことで、言語や音声など追加される情報を表示する位置を決めるための目印になるもの。

2012年の市場規模は約980億円

世界でみると、1990年後半頃からARを使ったコンテンツ提供がはじまり、日本ではゲームやアニメのフィギアを実環境に表示させるなど、当初はアニメ好きの世界に留まっていた傾向があった。そんななか2009年に発表された「セカイカメラ」(頓智ドット株式会社)の登場が、大きな転機となったといえる。これは、iPhoneやAndroid上で動作するARソフトウェア(無料)。セカイカメラを起動させて実環境にかざすと、「エアタグ」と呼ばれる半透明のアイコンが現れ、タグをタッチすれば詳細な情報が読める。また、自分でコメントを残すことができ、ユーザー同士の情報交換も可能。日常生活で簡単に使って遊べるとあって、アニメ好きの人以外の関心も集めた。写真は、セカイカメラで六本木の交差点を見たもので、エアタグに「アマンド」「マツモトキヨシ」の文字が現れた。

では、ARを活用したサービスの市場規模をみてみる。株式会社シード・プランニングが2010年に発表した調査研究レポート「AR(拡張現実感)のインパクトと新市場創出の可能性―位置情報の活用で普及・拡大するサービスの展望を探る―」によると、モバイルコンテンツやモバイルコマース(モバイルを介した電子取引)などの8つの分野から算出されており、2009年の200億円から年々成長し、2012年には770億円になると予測されている。

AR活用サービス市場予測
出所:株式会社シード・プランニング「AR(拡張現実感)のインパクトと新市場創出の可能性―位置情報の活用で普及・拡大するサービスの展望を探る―」(2010年6月4日発刊)、調査期間2009年9月〜2010年5月
http://www.seedplanning.co.jp/press/2010/2010070501.html

ビジネスでは販促活動に、観光では宣伝活動に

AR活用サービスは、前記の株式会社シード・プランニングでは8つに分類されている。

(1)モバイルコンテンツ(モバイルを介した情報)
(2)モバイルコマース(モバイルを介した電子商取引)
(3)モバイル広告
(4)デジタルサイネージ(電子看板)
(5)ゲーム
(6)放送
(7)教育
(8)観光

実は、取り組みによっては一通りの分類が難しい点もあるため、ここではイメージがつきやすいよう2011年の企業・自治体の事例を中心に紹介する。

取り組み(企業) 概要
洋服の疑似試着を体験
(衣料品専門店ライトオン)
デジタルサイネージ「ライトオンARミラ−」を導入し、ミラーの前に立った人の年齢や性別を識別して、同店の新作服を疑似試着できる。
部屋にマッサージソファを疑似配置
(パナソニック)
カタログに付いたマーカーをアプリで撮影することで、自宅でソファ型マッサージチェアの設置シミュレーションができる。モバイルコンテンツで販促活動を実施。
建設現場でマンションを疑似完成
(三菱地所レジデンス)
モデルルーム内に貼られたマーカーをアプリで撮影すると、建設現場に完成前のマンションの外観のほか、床や柱の構造など3Dで表示される。モバイルコンテンツで販促活動を実施。
セカイカメラと連携でクーポン
(ファミリーマート)
セカイカメラを起動させ、店舗風景を映し出すと、商品画像が現れて、それをタッチするとクーポンを受け取れる。モバイルコンテンツで販促活動を実施。広告の要素も高い。
「江」の地で観光案内サービス
(滋賀県)
アプリを導入し、約80カ所の観光地で端末をかざすと、その場所の歴史や文化に関する案内が表示される。観光客増につなげる狙い。

出所:筆者作成

2012年は専門家もARに注目!2015年には1800億円規模に!

このように、ARへの関心が高まっていることがわかる。前記の調査によると、ARサービスの市場規模は2015年には1800億円と予測されている。日経トレンディ「2012年ヒット予測ランキング」でも、大人気のトレーディングカードの最新版として「ゲーム機連動ARトレカ」が2位に入っている。さらに、日経消費ウォッチャーでは「専門家100人 2012年ヒット予測」で31位、新市場創造度という項目では16位にランクインと、特に2012年はAR活用サービスへの期待が高い。

これは、通信技術の向上との関連性が高く、これからはLTE(携帯電話の高速データ通信仕様のひとつ)などが普及することで、AR活用サービスのメリットを享受できるとあり、企業でも知見を深める傾向がおきている。併せて、コンテンツの制作会社への関心も高まるだろう。日本では、「AR三兄弟」(※)というAR技術探求のために結成されたユニットがさまざまな取り組みを行ない、業界を牽引してきている。こういった、キーパーソンの言動にも注目したい。

※AR三兄弟とは、「ALTERNATIVE DESIGN++」に所属する3名の開発ユニットで、ARの技術の開発と伴に、ARを活用した施策のプロデューサーとして活躍し、ARに関する著書も複数ある。
http://alternativedesign.jp/