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インフォメーションとインテリジェンス

更新日:2007年03月29日

企業の不祥事や惨事の発端、はたまた大きな成功の始まりは、ほんの小さな情報でしょう。なにげなく見過ごし、聞き過ごしている毎日の情報のなかに実は大切な示唆があるのです。インフォメーションとインテリジェンスの違いを意識することで、失敗を回避し成功への道を進みたいものです。


インフォメーションとインテリジェンスの違い

最近、インフォメーションとインテリジェンスという言葉が流行っています。外務省の元分析官だった佐藤優さん、NHK記者だった手嶋龍一さんが国際情勢について語られる時、しきりに使って普及させたものです。

このふたつの言葉、日本語にするとどちらも「情報」です。でも、いまやインフォメーションとインテリジェンスは同じ流れの中にありながら、異なるものとして扱われています。どういうことなのでしょうか。

インフォメーションとは、文字どおり“ナマ情報”のことです。例えば、「社長が○○街道のラーメン屋にいるのを目撃した」等の情報ですね。これに、「先日は、△△駅前のラーメン屋でも社長が目撃された」という情報があれば、これから類推して「社長は、あちこちでラーメンを食べ歩いているんだ」という判断が加えられた情報を作り出すことができます。これをインテリジェンスというのです

国と企業の命運にかかわる活動

国の命運を左右する外交や軍事活動では、インフォメーションとインテリジェンスが決定的な重要性をもちます。インフォメーションを集めるのが情報収集活動、集めた情報に基づいて活動方針や戦略の決定のための判断素材であるインテリジェンスを編み上げるのが諜報活動だといえます。外交や軍事の場合にインフォメーションとインテリジェンスが国の命運を左右するのと同じで、いわば“市場という名の戦場”で闘っている企業にとっても、その命運がかかわる大事なものといえます。

インフォメーションとインテリジェンスは、相互に補完しあって成果が生みだされる分野です。しかし、それぞれには必要とされる別々の要素があります。
インフォメーションの分野で第一に重要なことは、生の情報をできるだけ多面的に集めること。判断を差し挟まず、伝わってくるもの、見たもの、聞いたものをそのまま忠実に記録し、組織に蓄積することが大事です。

多面的というのは、ある片面からだけ見たような情報、例えばお客さまの感想などは、AさんはAさんなり、BさんにはBさんなりの意見があるでしょう。個人の嗜好とかです。また、100人の感想が集まれば、商品やサービスに対する顧客満足度がいかなる傾向をもつのか、普遍性が見えてくる材料になります。インフォメーションの数が少なく多面的な視点が反映されないなら、判断材料としては不足なのです。

インテリジェンスの段階になると、集まった素材としてのインフォメーションを分析するわけですから、大事なのは経験ある人を含めた集団で検討すること、余談や偏見をもたずに素材を比較・分析するよう心がけることが大事です。ありがちなことなのですが、組織ではそれぞれのセクションを統括する幹部が配下からあげられてきた情報を抱え込んで、他のセクションとの競争心からタイミングを見て小出しにしたり、握りつぶしたりということがみられますね。じつは、政府でも省庁毎にこうしたことがあり、問題になっています。

セクションの垣根をなくして“全体の利益”のために

安倍総理は、就任される前から「日本版NSC」ということを打ち出されていました。これは省庁ごとに分散して蓄積されているインフォメーションとインテリジェンスの機能を集約し、垣根なしで日本全体の国益のために集団的にインテリジェンスを練り上げようということなのです。実際には道が険しくてなかなか進んでいないようですが。

しかし、企業は経営陣、中堅幹部、社員まで共通の利益で結ばれていることが国家よりも明瞭になりやすいと考えます。また、それを常に明瞭にさせることこそ、経営者の役割における最優先事項でしょう。

インフォメーションには、時にそれぞれのセクションにとって「マイナス査定につながるのではないか」と心配される内容もあがってくると思います。しかし、それを隠せばどうなるか?“病根”が広がるだけです。これは、最近大問題になった自動車メーカーの“リコール隠し”に典型的に現われています。

インフォメーションは生のまま正確に、多面的に集め、ネガティヴなものも含めてキチンと報告することが企業全体の利益となります。こうしたことを行なうセクションや幹部こそ、称揚したいものです。

こうしたインフォメーションに基づき、どのようなインテリジェンス、つまり判断の加えられた情報を練り上げるかが中堅幹部に求められる重要な資質です。そのために、お互いに切磋琢磨もしながら率直に、垣根なしに衆議をつくせる場をつくる必要があります。

また、インフォメーションとインテリジェンス、どちらの分野でも活動水準をあげて企業の前進に活かしていくためには、現場社員と幹部いずれも知的資質を高める努力を日々、積み上げなければなりません。日常のニュースを理解できる能力がなければ、入ってくるインフォメーションのどこにカギがあるか、感じ取ることができませんから。

今回の話に興味をもたれた方は、佐藤優さんと手嶋龍一さんの対談をまとめた『インテリジェンス 武器なき戦争』(幻冬舎新書)をまずご一読されることをすすめます。

軍事ライター 古是三春

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