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サンダルが小田原の新名物として地域活性化に貢献
ギョサン/松下靴店

更新日:2012年04月11日

終戦後から少し前まで、小笠原諸島だけで使われていたサンダルがある。滑りにくく履きやすい。知る人ぞ知るサンダルが、今人気を呼んでいる。
 


 
 
ギョサン 650円〜/1足(税込み)
ギョサン 650円〜/1足(税込み)
 
 
松下靴店・松下善彦店長
松下靴店・松下善彦店長。「インターネットでの口コミの力が、売り上げ増に大きく貢献した」
 
 
売り上げと共にカラーバリエーションも少しずつ増え、今では127色もの種類がある
売り上げと共にカラーバリエーションも少しずつ増え、今では127色もの種類がある
 
 
ギョサンは小田原の新名物
今やギョサンは小田原の新名物となっている。ギョサンを求めて人が来るようになり、小田原の町を活性化させている
 

小笠原諸島にしかなかった幻のサンダル

「もともとは、昔からトイレにあるようなサンダル」と、ギョサンを説明するのは、小田原の商店街に店を持つ松下靴店(神奈川県小田原市)松下善彦店長だ。

小笠原諸島で主に漁業従事者が使っていたサンダルだったことから「漁業従事者用サンダル」を略し、「ギョサン」と呼ぶようになったという。

松下氏がこのサンダルを知ったのは、2000年。ダイビングをやっている友人に、サンダルが壊れたため、同じものを仕入れてもらえないかと依頼されたことに始まる。

ギョサンは、漁業従事者が使っているだけあって、滑りにくく、履き心地がいい。形状はビーチサンダルに近いが、鼻緒と底の部分が一体化しているため丈夫だ。機能性が高いこと、小笠原以外ではほとんど売られていなかったことから、松下氏は自社でギョサンを取り扱ってみようと考えた。

ところが、当時はインターネットで調べても、情報が載っていない。どこのメーカーがつくっているのかもわからず、問屋を探して回った。「結局メーカーを見つけ、扱えるようになるまで2年ほどかかった」(松下氏)。

当初メーカーにあったのは茶色系の地味な色。それでも、小笠原にしかないものが小田原で買えるとなれば、買って行く人もいるだろうと、小笠原以外で初めて「ギョサン」という名称を使い、店先に置いた。「一日数個売れればいいと思っていた」と松下氏は語る。

だが、そんな思惑を下回るほど、仕入れたギョサンは売れなかった。「その年は結局1年で30足売れたかどうか」(松下氏)という散々な結果だったという。

カラーバリエーションで若者の心を掴む

ただし、「知る人ぞ知る」ギョサンは、デザインこそおしゃれには程遠いが、機能性だけはあった。

「もっと違う色でつくってみたら、欲しいという人が増えるのではないか?」松下氏は、思い切って「違う色をつくってもらえないか」とメーカーに交渉した。こうして06年、新たに追加されたのが、白、黒、ブルーの3色だった。

さらに松下氏はインターネットを活用した広告宣伝を行なった。オークションサイトにバナーを貼り、自社のホームページへ誘導したのだ。

ホームページには、ギョサンのページをつくり、歴史や使い心地のよさを説明する詳細なページを作成した。「ネットでは口コミ力が大切。ギョサンのよさは、ただ写真で見ただけではわからない。だからこそ、どういうところでどのように広まってきたのかというストーリーを知ってもらう必要があった」(松下氏)。

ホームページで興味を持った人が買い、実際の使い心地をネットに書き込む例が少しずつ増えていった。黒や白という、普通のビーチサンダルにはあまりない色を取り入れたことも功を奏した。06年は1000足ほどが売れ、そこから少しずつ売り上げは上向いた。

さらに、ギョサンが大きく売れ行きを伸ばしたきっかけは、08年、ラメ入りをつくったことだ。「売り上げは4割以上伸びた」と松下氏は言う。それまでは、釣りをやる人やサーファー、ダイバーなどがメインのユーザーだった。カラーバリエーションを増やし、ラメ入りをつくったことで、若い女性も履くおしゃれなサンダルとして、裾野が広がっていったのだ。

小田原の新名物として地域活性化に貢献

今やギョサンは老若男女、幅広い層に受け入れられ、使われるようになった。

現在、カラーバリエーションはなんと127色。ラメ入りで透明感のあるラメレッドやラメパープルなどが売れ筋だ。

また、滑りにくいことが評価され、医療従事者が業務中につかったり、リハビリの際に使う推奨商品となっていたりと、意外な使い道もあるのだという。

ギョサン販売のパイオニアとして知られるようになった同店には、商品を求めてやってくる若者も多い。ギョサンを買いに来たついでに小田原観光をしようという人もおり、同店のある商店街は、以前より人が増え、賑やかになってきたという。

さらに、10年、松下氏はギョサンを“小田原の新名物”として売り出した。小田原といえば「かまぼこ」「ちょうちん」だけでなく「ギョサン」。そう全国の人に認知されることによって、小田原の町をギョサンでさらに盛り上げていこうという考えだ。

11年には取り扱いメーカーが増え、これまでと違う新たなデザインのギョサンも売り出している。

ギョサン旋風は今後さらに吹き荒れそうだ。

Company Profile

松下靴店
神奈川県小田原市栄町1-16-33
資本金:300万円
従業員:6人
0465-24-2233